2018/07/24

量子コンピューターが人工知能を加速する、
働く世代の資産運用はテクノロジーでどう変わるか
どうすればIoTは暮らしを豊かにできるのか?
AIフォーラム DAY5 講演ダイジェスト

朝日新聞DIALOG編集部

「朝日新聞DIALOG AI FORUM 2018」最終日は、人工知能(AI)による影響を最も受けやすいと言われている金融機関のチャレンジ、遺伝子検査とAIによる社会変革の可能性、AIとロボットの関係性といったテーマのほか、これからのAI社会を支えるインフラとして期待される量子コンピューター、AIによる資産運用、そして私たちの暮らしに身近な話題でもあるIoTについて語られました。その概要をリポートします。

ハードウェアである量子コンピューターが、AIというソフトウェアを加速

東北大学大学院情報科学研究科の大関真之准教授は、「AIというソフトを動かすために、ハードのさらなる進化が不可欠。これまでのデジタルコンピューターの処理能力は限界に近づきつつある」と課題を提起しました。
そこでいま注目されているのが、量子力学を応用した「量子コンピューター」です。現在、素因数分解と検索の分野では、デジタルコンピューターの処理速度を上回っています。すでに、カナダのベンチャー企業が組み合わせ最適化問題解決に特化したマシン「D-Wave 2000Q」を開発し、クラウドでサービスを提供しています。
東北大学では震災が起きたときに津波のシミュレーションや、住民一人ひとりに最適な避難経路を教える技術を研究しており、「量子コンピューターを駆使したAIを社会インフラとして活用する時代が来る」と大関さんは期待を寄せました。

働きながら資産運用をする、新たな時代をサポートする資産運用ロボとは

AIを活用した資産運用ロボアドバイザーが、いまなぜ必要とされているのか。その背景について、ウェルスナビ株式会社の柴山和久代表取締役CEOは「働く世代の退職金が減少するうえ、年金も減額される時代が到来し、これまでのようなライフプランが成立しなくなってきた」と説明します。
対策としては、働きながら資産運用することが必要ですが、日本人の個人資産約1800兆円のうち半分は預金。他の手段で資産運用しない理由としては、「やり方が分からない」「相談する相手がいない」といった声が多いそうです。
「これからは富裕層だけではなく、みんながテクノロジーを使って投資すべきだ」という柴山さん。世界レベルの資産運用をAIが全自動でサポートする「WealthNavi」は、こうした課題の解決に役立つと話しました。

個別の価値をまとめることで、暮らしはもっと豊かに

「IoTという概念は30年前からあった」と話すのは、東京大学生産技術研究所の野城智也教授。「これまではそれぞれの家電が個別の役割や価値を提供していたが、通信ネットワークを介してつながれば、ひとまとまりとしての価値を提供できる。複数の人工物の連携がもたらす新たなユーザーエクスペリエンスを私たちはこれから体験する」とIoTの可能性を説きました。
例えば、トイレは毎日使う健康管理センターになり、冷蔵庫は食材の在庫管理を行う手段となり得るのだそうです。
一方で、実用化への課題としては、「日本はデータリッチであり、センシング技術は高いが、組み合わせて活用することに関してはまだまだ進んでいない」と指摘しました。

5月20日から5日間に渡って開催した「朝日新聞DIALOG AI FORUM 2018」。
日本を代表する研究者や実務家が60人以上登壇した39のセッション・セミナーは、無事、終了しました。本当にありがとうございました。

社会実装が進む人工知能と、どう付き合うか。
その方策を考えることは、ビジネスや行政の最前線に立つ人にとって、避けられない課題でしょう。
今回のフォーラムが、そうしたみなさまのお役に少しでも立ったなら幸いです。

朝日新聞DIALOGは今後も、テクノロジーの最新の息吹が伝わるイベントや記事をお届けします。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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