2018/10/31

人と人をつなぐ「小さなコミュニティー」が地域社会を変える!
Social Innovator’s EXPO for 2025 ~未来社会を考える3日間 2日目レポート[PR]

[PR]2025日本万国博覧会誘致委員会 協力 日本財団、朝日新聞社

■2日目(9月16日)
テーマ「新たな仕組みが地域を変える。」

9月15~17日の3日間にわたって東京・渋谷で開かれた「Social Innovator’s EXPO for 2025 ~未来社会を考える3日間」(2025日本万国博覧会誘致委員会主催)は、2025年大阪・関西万博の誘致活動で掲げている「SDGs達成への貢献」について、若きソーシャル・イノベーターたちとともに考えようという試みです。
2日目のテーマは「新たな仕組みが地域を変える。」。2025年大阪・関西万博がめざすのは、地域の活性化によって人と社会、人と行政、人と人がよりよい関係で結ばれる社会です。経済産業省の武田家明・博覧会推進室長の基調講演に続き、キーノートスピーチや事例紹介、パネルディスカッションなどが行われました。

【キーノートスピーチ】
●鈴木雅剛氏(株式会社ボーダレス・ジャパン副社長)

「私たちの会社は『ソーシャルビジネスしかやらない会社』として2007年に創業しました。日本だけでなく台湾、韓国などに計120棟以上のシェアハウスを運営する会社のほか、バングラデシュで700人以上の革職人が働く工場、ミャンマーでハーブを栽培して雇用を生み出している会社など多くの社会起業家たちが集まるグループです」
株式会社ボーダレス・ジャパンの鈴木雅剛副社長は、ソーシャルビジネスがもたらす「自走型社会づくり」をテーマに語り始めた。それは、持続可能な社会をめざすSDGsとも深くかかわる。

「SDGsとは、『良い社会をつくろうよ』ということだと解釈しています。それには、世の中で多くのプレーヤーが、良い社会づくりに向けて動いていかなければならない。その中で、私たちビジネスパーソンが持続可能な事業として何をやっていけばいいのかを考え、社会実験の場としてのボーダレス・ジャパンを運営しています」
ボーダレス・ジャパンに入社しようとする人はまず、自分が解決したい社会課題とそれを解決するためのビジネスモデルを提示する。
「それに対して、会社側がソーシャルビジネスとして有望だと判断すれば、会社のリソースを駆使して起業のためのノウハウや資金調達をバックアップするシステムです」
底辺に流れるのは、ビジネスを通じて地域を変え、活性化させる、という発想だ。途上国の職人を育成して革製品をつくり日本で販売したり、昼間の営業収入を資金として活用した持続可能なビジネスモデルの“子ども食堂”を運営したり、その活動はさまざまな分野に広がる。
「社会起業家が100人いれば100のアプローチ、100万人いれば100万のアプローチができます。『より良い社会をつくる』ためのソーシャルビジネスの活動領域は多種多様で、それだけに可能性も高いと思います」

【事例紹介】

続いて、地域活性化によって社会を変えていく挑戦を続ける2社の事例紹介が行われた。

●林篤志氏(一般社団法人Next Commons Labファウンダー)

「未来を予測して合わせていくことは難しい。それならば、自分たちの手で未来をつくっていけばいい。そのほうが確実だし、早い」
そう語るのは、一般社団法人Next Commons Labファウンダーの林篤志氏だ。同法人は、「ポスト資本主義社会の具現化」を掲げて活動している。資本主義社会の土台は変えずに、自治体・企業・起業家など多様なセクターと協業しながら、その上に新たなシステムを持った無数の小さな社会をつくれないか、という考え方だ。
「具体的には、2011年から高知県の土佐山という過疎地に移り住んで、村全体を土佐山アカデミーという名の学校にしました。外から若い人材を受け入れ、地域資源を活かし、自然の中で生きていく英知を次の世代に残していく取り組みです。そこで培った経験を全国の地方の問題解決、プロジェクト支援に役立てる活動をしています」
かつて日本の社会は、地縁・血縁が共同体を維持する重要な要素だった。林氏は「新しい時代の新しい社会は価値観=共感によって結ばれる」と言う。そのために、まずは日本の地方を舞台に、そのオペレーティングシステムの開発に取り組んでいる。

「地域をフィールドに新たな仕事やプロジェクトを立案し、自治体や企業の協力を得ながら共感してくれる人の移住を進めています。たとえば、岩手県遠野市は、ビールの原料として欠かせないホップの日本有数の産地ですが、生産量がピーク時に比べて4分の1に落ち込んでいました。そこで、キリンビールと協力して遠野を『ホップの里』から『ビールの里』へ発展させるために、新たなまちづくりを始めています」
この試みは、加賀(石川県)、南相馬(福島県)など全国10か所にまで広がっているという。
こうした地域活性化と同時に進めているのが、「共感」をベースにした経済圏の構築だ。
「具体的には、ブロックチェーンの技術を使って誰でも通貨を発行できる仕組みをつくろうという発想です。特定のコミュニティーで通用する通貨、共通の趣味を持った人たちの間で使える通貨を、国家のサブシステムとしてつくっていく。スマホの中に、日本円のほかに複数に仮想通貨が入っているイメージですね」
資本主義を変えるのではなく、資本主義の上に新たなルールを構築して社会を変化させる。林氏がイメージするポスト資本主義社会は、常に複数の価値観が並存し、「自分が信じたいものを信じられる社会」だという。

●小松洋介氏(NPO法人アスヘノキボウ代表理事)

NPO法人アスヘノキボウは、2011年3月11日の東日本大震災で800人以上が亡くなった、宮城県女川町で復興に取り組んでいる。民間の立場から復興計画作成に携わり、2012年には被災地初のトレーラーハウス宿泊村「エルファロ」の企画・立ち上げで注目を集めた。
同法人代表理事の小松洋介氏が、こうした活動の意義について語った。
「地域の外部からソースを集めてきて、課題解決の事業を起ち上げるのが、私たち“ヨソモノ”の存在意義です。課題の抽出から事業化まで一貫して取り組んでいますが、それにはいまある課題をデータ化して“見える化”する必要があります。ところが、こうした作業はどの被災地でもまったくやっていなかったので、まずそれを実行しました。そして、それをもとに80ページの復興計画をつくったのです」

そこから復興に必要な事業の起業を支援したり、女川のブランディングプロジェクトに参画したり、と活動は広がっていったという。
「プログラムは現在も続いていて、地方で起業するためのノウハウを学ぶ『創業本気プログラム』や、シェアハウスに滞在しながら女川での暮らしを体感してもらう『お試し移住プログラム』などが稼働しています。女川の場合、震災ですべてを失ってしまったことが、逆に復興を早めたともいえます。ここで実行されたさまざまな試み、復興のソフトは、日本だけでなく世界に広げられるものだと思っています」
まさに新たな仕組みづくりが、地域を変えてきた例といえるだろう。

【パネルディスカッション】

モデレーター
丸山ひかり(株式会社朝日新聞社)
パネラー
中川翔子氏(歌手・女優、万博誘致スペシャルサポーター)
浅井隆平氏(キリン株式会社CSV戦略部)
鈴木雅剛氏(株式会社ボーダレス・ジャパン副社長)
林篤志氏(一般社団法人Next Commons Labファウンダー)
小松洋介氏(特定非営利活動法人アスヘノキボウ代表理事)

基調講演や事例紹介で登壇したメンバーに、歌手で女優の中川翔子氏とキリン株式会社CSV戦略部の浅井隆平氏も加わって、パネルディスカッションが行われた。モデレーターを務めたのは、朝日新聞社のSDGsプロジェクトにも参加している東京社会部の丸山ひかり記者だ。

浅井 東日本大震災で被災した岩手県遠野市で、日本産ホップというビールの原料を通じた地域活性を担当しています。女川町でも、女川水産業体験館「あがいんステーション」開設の支援をさせていただいています。さらに飲料を通じた地域づくりの一環として、小松さんと一緒に「女川ハイボールプロジェクト」を起ち上げました。女川の猟師さんたちがジョニーウォーカーを船に積んで航海の苦労をしのいだ歴史があり、それを町の復興につなげていこうというプロジェクトです。

中川 なぜ企業が、そういう復興支援をしようと考えたのか知りたいですね。その考えは、きっとSDGsにもつながるんじゃないでしょうか。

浅井 社会課題へのアプローチだと思っています。飲料会社の得意なことを通じて、私たちにしかできないアプローチをさせてもらっています。

丸山 中川さんの興味ある社会課題はありますか。

中川 今回、万博誘致スペシャルサポーターに任命していただき光栄です。万博がテクノロジーや文化の発展の基点になるだけでなく、SDGsを達成していく大きな基点になるということが興味深いな、と思っています。

丸山 ボーダレス・ジャパンの取組みとして、どこがソーシャルイノベーションだと考えていますか。

鈴木 「恩送り」というキーワードがあります。人間関係のなかでこの仕組みをつくり、お金だけでなく、お互いが助け合う信頼資本につなげているのが特徴かな、と考えています。起業は難しいけど、それを成功させないと社会的損失にもなってしまう。それならば、成功させるために共同相互扶助でやる。それが、うちの仕組みです。そうやって「恩」を順送りして、起業を成功させていく仕組みが発展してきたわけです。

 「社会を変える」ということではなく、「社会をつくる」ということじゃないでしょうか。いちばんの問題は、誰もルールをつくれないことだと思うんですよ。いまあるルールの中で、いまの環境の中だけで、どうするか、と考えがちなんですね。問題の本質を問うていくと、ルールをつくっていく姿勢が必要になってくる気がしています。

小松 女川町で流されたのは建物だけではなくて、実は社会の仕組みも流されてしまったわけです。だからハードも大事なんですが、いままでの仕組みがダメだった、これは違うよね、と真剣に議論するのが復興のまちづくりの本質だと思うんです。

浅井 企業にしてみると、地域との接点を自分たちからつくっていくのは大変なことで、不得手なところなんですね。林さんと小松さんは、その接点となるプラットフォームをつくってくれた。さらに2人には、企業側の意図も汲みながら、地域と接するディレクションをしてもらっています。だから企業も、企業にとっての価値を考えて地域にかかわり続けられるんですね。

丸山 SDGsが掲げる目標の17番目に「パートナーシップで目標を達成する」という項目があります。多くの人を巻き込む仕組みづくりのポイントはありますか。

鈴木 重要なポイントは、「顔が見えるかどうか」です。たくさん情報はあるけど、そこから行動に移すには、まずは同じ目標を共有できる近くの人と話してみることです。その小さなコミュニティーが、有形無形につながっていって、良い社会をつくっていく。だから、どうやって小さなコミュニティーをつくるかが大事だと思います。

 そのとおりです。効率を求める時代なんですけど、結局、一緒に飯を食べる、お酒を飲む、汗を流す、といった非効率なことが、多くの人を巻き込むことにつながっていくのではないかと思います。いちばんの課題は、それをつなぎ合わせて、編集して温め続けるコーディネーターが、とにかくいないんですね。本当に特殊な能力だと思いますよ。小松さんなんて、天然のコーディネーターなんです(笑)。そういう天然は希少なので、これから養殖していく必要があるのではないでしょうか。それをやらないと、テクノロジーが発展したところで、人間が追いついていかないですよ。追いついていくには、コーディネーターが必要です。

小松 天然物の小松です(笑)。行政とか民間とかのくくりは関係なくて、結局は人対人のレベルだと思います。これを解決したいよね、こうやったら変わるかもね、って顔を突き合わせて、共感をつくっていくことが大事なんです。コーディネーターの力は、どんどん焚きつけていって仲間をつくっていくことではないですかね。

浅井 ホップを作りたいと新規就農で遠野に移住してくれた人が、この3年で11人います。その募集では「人手が足りなくて大変なので、誰かホップ農家になってください」といったメッセージはいっさい発信していません。「いまビールの里に向かっている遠野が、世界のビア・カルチャーを席巻するかもしれない。そのビールの里をつくるためのプレーヤーを募集します」というメッセージで、未来からのバック・キャスティングなんですよね。移住してきた人たちに理由を聞いてみたら、「その地域に行ったらコミュニティーに入れることが分かったから」との答えでした。これは、驚きましたね。共感できるビジョンが人を集める、ということかなと感じました。

 これまでの社会は一元管理をして、できるだけシンプルに効率よく秩序を保っていくことを前提にしていたと思うんですね。しかし、人間社会って本来は複雑なんですよ。その複雑な状態でやっていけるテクノロジーの使い方とか、そういう多様性を認める社会の実現の仕方を、2025年の万博では発信できる気がします。

鈴木 同感です。海外における支援はどこか「上から目線」なんですよ。でも日本は「一緒にがんばろうよ。一緒につくっていこうよ」という考えが根本にある。それは、日本人の美徳だと思います。万博を機に、その美徳を世界に発信することで、より良い社会づくりを世界に発信していく。これは世界にとって意義のあることだと思います。

小松 女川町の復興に取り組んできて、「一緒にやろうよ」という意識は強いなと感じますね。「みんなでやろうよ」という気持ちでやったことのほうが、長続きしています。

中川 「みんなで」という言葉に「怯えないで生きていける」という意味が込められている気がします。みんなで楽しんで、みんなで問題を話し合って解決していける、「未来には楽しいことしかないぜ」という気分だし、それを伝えていきたいですね。

丸山 2025年の大阪・関西万博が大きなプラットフォームとなって、いろいろな人たちが出会って、より良い社会につながる機能を果たしてくれたらいいな、とディスカッションを聞いていて思いました。本日は、ありがとうございました。

2025年万博の開催国は今年11月23日にBIE(博覧会国際事務局)総会で決定します。
2025年万博を日本、大阪・関西へ
詳しくは、こちら(2025日本万国博覧会誘致委員会のページ)をご覧ください。
https://www.expo2025-osaka-japan.jp/

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