2019/01/18

大学SDGs ACTION! AWARDS 受賞者リポート②
徳島大、獣肉から「食べ物」に変身したソーセージ

Written by 髙橋優子(徳島大学 狩猟サークルRevier Jagt)

「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の実現に向けて活動する学生や若手研究者を対象としたコンテスト「大学SDGs ACTION! AWARDS」(朝日新聞社主催)。2019年2月の第2回開催に向けて、前回受賞した皆さんからの活動報告をお届けします。今回は、ジビエソーセージの製造・販売で鳥獣害問題の解決に取り組む、徳島大学の狩猟サークルRevier Jagtからのリポートです。

「私たちの問題」としての鳥獣害問題

近年、都市部の周縁でも野生動物出没のニュースが頻繁に報道されています。シカやイノシシを多数捕獲しないと個体が増え、鳥獣害問題が起きてしまいます。人口減少時代の日本は、野生動物マネジメントのあり方を再構築する必要があります。

私たちの暮らす徳島県では、中山間地域に限らず徳島市内でもイノシシなどによる鳥獣害が発生しています。鳥獣害問題は「どこかの誰かの問題」ではなく、他ならぬ「私たちの問題」だと感じ、その解決のために、一市民としてどのように“参加”すればよいのかを考え、始めたのがジビエ商品開発です。

新規狩猟者の育成や若手狩猟者の確保を目的としたさまざまな取り組みが進められていますが、市民が鳥獣保護管理に参加するには、猟師になるしかないのでしょうか。問題は、「捕獲の担い手」をどのように確保するかだけでなく、それらも含めた野生動物マネジメントに市民がどのように“参加”できるかという点です。野生動物に関するサービスを、誰が、どのくらいのコストで、どのように提供するかが考慮されなければなりません。従来のような行政任せの意識を改め、野生動物マネジメントをNPOやNGO、市民団体、企業、そして私たち市民が担う可能性について検討したいと考えました。

県内で年1万頭以上が捕獲されるシカ、食肉になるのはわずか

よく捕獲される野生動物のうち、イノシシは猟師自身が食味を好んで消費することが多いようです。他方、シカは、徳島県内だけでも年間1万頭以上が捕獲されていますが、そのうち数百頭しか利活用されていません。また、猟師には、捕獲に対する日当や報奨金などが税金から支払われており、地方財政を圧迫する一因になっています。そう考えると、ほとんど利用されていないシカ肉の資源化は、コスト面からも重要な課題です。ジビエのブームが過ぎ去りつつある今だからこそ、野生獣肉の消費の仕方について再考することが必要です。

試行錯誤で「食べ物」として認められたジビエソーセージ

大学SDGs ACTION! AWARDSでNTTドコモ賞を受賞した私たちは、ジビエソーセージの素材や味、サイズなどを試行錯誤しながら、大学内を中心に計4回販売しました。このソーセージは、捕獲・解体を担う徳島県内の猟師と処理施設、ソーセージを製造する大阪の飲食店、販売のコンセプトを考える私たちが連携して作りました。

最初に販売したジビエホットドッグ

初めて販売したのは、2018年5月26日の徳島大学五月祭でした。ジビエソーセージを入れたホットドッグが1日で約250個売れました。シカ肉に豚肉を合わせることで、ほどよく脂身のある食べやすいものに仕上がりました。また、幅広い年代に受け入れられるよう、シンプルな味付けにしました。購入者の多くはシカ肉を食べるのが初めてでした。そのため、シカ肉の食味やソーセージのレシピ、鳥獣害問題への取り組みなど幅広い話をしながら、ジビエホットドッグを手に取っていただきました。

ジビエソーセージのホットドッグを初めて五月祭で販売

五月祭でうかがった意見や感想などをもとに、ジビエソーセージのレシピ、サイズ、提供方法などを改良しながら販売を重ねていきました。リピーターも少しずつ増え、通信販売をしてほしいという声をいただくようになりました。説明しながら販売していたジビエソーセージが“食べ物”として認識されつつあるのだと感じました。

ジビエソーセージの通信販売を計画中

この活動を通じて私たちが感じたのは、獣肉を社会に流通させることは重要だが、決して簡単ではないということです。しかし、「また食べたい」という声や通信販売を希望する声が届いていることからも、ジビエソーセージは“野生獣肉”から“食べ物”への変換が進みつつあるといえそうです。私たちは、普段食べていなかった“野生獣肉”に“食べ物”という価値を与えることに取り組んできました。

サイズやレシピを変更して改良したジビエソーセージ

野生動物という「資源」をマネジメントする方法の一つとして、2019年1月ごろから、クラウドファンディングサイト(https://otsucle.jp/)でジビエソーセージを販売する予定です。ぜひお買い求めください!

2017年に利用したクラウドファンディングのページ(https://otsucle.jp/cf/project/revier-jagt.html

最終的には、私たち大学生がいなくても、このジビエソーセージが持続的に製造・販売されることが目標です。私たちのプロジェクトは、学生による企画から社会実装のステージに進みつつあります。

「個人の疑問」を「社会の問題」に捉え直してみよう

学生が鳥獣害問題に関わるのは珍しいことだと思います。私たちは、新商品を開発したり、目立つ企画で注目を浴びたりしたいと思ってジビエ商品の開発を始めたわけではありません。鳥獣害問題を「私たちの問題」だと感じ、その解決に参加したいと考えたことが始まりでした。

今年の大学SDGs ACTION! AWARDSを目指す皆さんも、日常生活の中で個人的に疑問に感じたことを社会の問題として捉え直し、その解決に向けた活動を進めていってください。それがきらびやかなプロジェクトでなくても、社会問題を解決するための重要な一歩になると思います。

大学 SDGs ACTION! AWARDS 2019~SDGs達成のために、キミが出来ることは?~
社会課題の解決につながるアイデアを募集(賞金50万円など)

国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け、いま国や企業は様々なプロジェクトに取り組んでいます。この目標達成のために欠かせないのが、次代を担っていく若者たちの力です。
そこで朝日新聞社では、若者の活動を後押しするための「大学 SDGs ACTION! AWARDS」を創設。
日頃の研究・活動実績に基づくSDGs達成のための企画・アイデアが、昨年度はおよそ100もの団体・個人から寄せられました。
第2回となる今年度は、さらにパワーアップして開催決定! 皆さんの企画・アイデアをぜひご応募ください。

応募要領

対象

学生(大学学部生、大学院生、高専学生、短大生、専門学校生)、若手研究者(35歳以下)、ゼミナール、学生NGO、学生NPO、学生団体、サークル など

応募・選考の流れ

(1)エントリー 締切1月28日(月)
(2)一次選考(結果は2月6日〈水〉までに連絡)
(3)最終選考・プレゼンテーション大会(参加無料)
※一次選考通過チーム代表2名をご招待(交通費・宿泊費〈遠方の場合〉事務局負担)

日時:2月20日(水)13:30~18:00(予定)
会場:有楽町朝日ホール (アクセスはこちら

内容
一次選考通過チームのプレゼンテーション
SDGsワークショップ
最終選考、結果発表、表彰式

賞金
グランプリ 50万円
企業賞 30万円 ※特別協賛社複数社予定
オーディエンス賞 20万円
他 審査員特別賞、ファイナリスト賞

審査基準
ユニーク性・先進性/クリエイティブな発想や新たな価値があるか
社会的インパクト/社会への大きな影響・波及効果を期待できるか
実現可能性/アイデアを実現するための実績や計画、情熱が十分にあるか
パートナーシップ/多様な人との協働によって生まれるものであるか

応募の受付  締切1月28日(月)

応募フォーマット(Excel)に必要事項を記入し、メール(sdgsaction@asahi.com)でお申し込みください。
※PR動画(3分以内)※推奨

応募フォーマット(エクセル) ▶

教職員、先生方へ

応募要項を下記よりダウンロードいただけます。ゼミなど学生の皆さまへの周知にご協力ください。

応募要項(PDF) ▶

お問合せ

大学SDGs ACTION! AWARDS事務局(お問合せ窓口:株式会社クレアン)
sdgsaction@cre-en.jp

主催:朝日新聞社
特別協賛:
後援:文部科学省、外務省、国連広報センター、独立行政法人国際協力機構( JICA)、
ESD活動支援センター  ※申請中、予定
連携協力: SDGs-SWY

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