DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2020/01/20

大学SDGs ACTION! AWARDS受賞者リポート②インドネシアの障害者に雇用機会をつくりだし、視点を変えるプロジェクト「Plushindo」

Written & Photos provided by ディッサ・シャキナ・アーダニサ(立命館アジア太平洋大学)
ケブメンでのワークショップ後に参加者たちと(写真は全て2019年9月撮影)

朝日新聞社は、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて活動する学生や若手研究者を対象に、2018年からアイデアソン「大学SDGs ACTION! AWARDS」を開催しています。ここでは、2019年に行われた第2回の受賞者の活動報告をお届けします。インドネシアで、障害者の就労支援を手がけるプロジェクト「Plushindo」に取り組む、立命館大学アジア太平洋大学のディッサ・シャキナ・アーダニサさんのレポートです。

私はインドネシアで「Fingertalk」という団体を立ち上げ、障害者、特に聴覚障害のある方の社会的平等を理念に掲げて活動しています。2018年から、聴覚障害のある若者たちと共に、インドネシアで絶滅の危機にある動物をモチーフにしたぬいぐるみを制作し、国内の600人以上の学童に配布してきました。活動を続ける中で、ぬいぐるみの制作や販売が、子どもたちに障害者や環境問題について学ぶ機会を提供するだけでなく、障害者の就労機会の拡大という経済的な価値を持つことにも気づきました。インドネシアでは障害者が差別を受けることが少なくなく、雇用の機会も非常に限られている現状があります。

プロジェクトの趣旨について説明する筆者
ToTで材料を準備するトレーナー

このたび、「大学SDGs ACTION! AWARDS2019」でグランプリを受賞したことをきっかけに、より多くのインドネシアの障害者にとって良い社会的影響力をつくり出したいと考え、「Plushindo」というプロジェクトを立ち上げました。

このプロジェクトでは、インドネシアの若い障害者を対象に、国内で絶滅の危機にある動物をモチーフにしたぬいぐるみ(Plush)や、バッグ、ポーチといったクリエイティブな商品をつくる手法と、商品のマーケティングの研修を実施します。ぬいぐるみは、以前のものからデザインを改良しました。バッグなど、商品のラインアップを増やしたのは、多様な市場ニーズに対応しながら、障害者の社会的包摂や環境保護を訴えていきたいと考えたからです。

商品の制作方法などについて手話通訳者と共に説明しました
トレーナーが参加者に作り方を説明しました

私たちは、2019年8~9月にかけて、ジャカルタから約450km離れた中部ジャワ州の「ケブメン」という町でPlushindoのワークショップを実施しました。ケブメンはジャワ州で最も貧しい町の一つであり、この町の障害者にとって、仕事の機会は非常に限られています。私たちは、プロジェクトを通じて長期的に雇用機会や経済成長の機会を創出したいと考えました。

障害者向けの研修の前に、「Training of Trainers(ToT)」、彼らの先生役となるトレーナー向けの研修を実施しました。障害者団体の10人の代表者をトレーナーとして招待し、材料の選択方法や商品の制作手順、販売方法などについて説明しました。「ToT」を通じて、トレーナーたちはそれぞれの団体で、研修を再現することが可能になりました。

研修当日は、町の様々な地域から50人超の障害者が参加しました。聴覚障害のある若者、車椅子の人、精神障害のある人や、身体障害者もいました。近くの村からわざわざ人力車で来た人もいて、その熱意に非常に感動しました。研修には手話通訳者にも入ってもらい、聴覚障害のある参加者も内容を理解できるように工夫しました。

精神障害のある子どもとその母親たちが、
パンダのポーチをつくりました
聴覚障害のあるタミさんは、
ミシンをかけて商品を完成させました

商品が多くの人の手に渡り、プロジェクトが持続可能になるよう、私たちは現地で若者団体や観光大使と会い、障害者の社会参加や就労の重要性について話しました。また、障害者協会と若者団体とともに、販売促進に向けた長期的なパートナーシップを構築しました。さらに、町の社会福祉部門の担当者および、企業経営者とも会談しました。あるビジネスオーナーからは、Plushindoの商品の宣伝協力も取り付けることができました。

このほか、ケブメン滞在中には、近隣の村で講演に呼ばれました。障害のある人とどのように協力し、雇用や起業の機会をつくり出せるかについて、私たちの経験を共有させていただきました。

私たちは今後も継続的に、ケブメンの障害者団体と協力しながら、彼らの商品を宣伝し、ジャカルタにあるFingertalkギャラリーで販売していきます。また、ろうの人たちのコミュニティや、障害者団体などの代表者の交流プログラムなども計画しています。

「大学SDGs Action! Awards 2019」のグランプリ受賞をきっかけに、このプロジェクトが実施できました。参加した障害者、自治体の担当者、ケブメンの若者だけでなく、町の多くの人々に障害者の社会参画や環境保護について考えてもらうきっかけづくりができたと思います。また、地元企業とのパートナーシップの構築により、長期的にこの活動を展開する基盤づくりもできました。今後もこの活動を続け、差別を受けている障害者に対する社会の認識と視点を変えることに挑戦していきたいと思います。

ケブメン町の福祉部長(中央)とともに、「インクルーシブ」の頭文字の「I」を手話で表現しました

お知らせ
大学SDGs ACTION! AWARDSの最終選考会は2月15日(土)午後に東京・渋谷で開催されます。当日は、100組以上の応募者から選ばれたファイナリストが公開プレゼンテーションを行うほか、来場者全員が参加してSDGsをテーマにしたワークショップも行います。来場者は事前登録制(1月31日締め切り)で、大学SDGs ACTION! AWARDSページから申し込めます。振るってご参加ください!

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