森美術館館長・片岡真実×朝日新聞DIALOG現代アートが切り開く「多様で平等な世界」:朝日新聞DIALOG

森美術館館長・片岡真実×朝日新聞DIALOG現代アートが切り開く「多様で平等な世界」

Text by 乙部修平 with 朝日新聞DIALOG編集部
Photo by 北村玲奈

朝日新聞DIALOGと朝日新聞本紙の共同企画「明日へのLesson」は、次代を担う若者と第一線で活躍する大人が世代を超えて対話するシリーズです。今回は、日本の現代アートをリードする「森美術館」(東京都港区)館長の片岡真実さん(55)に、食にまつわる事業をプロデュースする 周栄 しゅうえい あきら さん(30)と美術家のスクリプカリウ落合 さん(27)が話を聞きました。

今年1月、女性で初めて森美術館の館長に就任した片岡さんは、2018年にオーストラリアで開かれた国際美術展「第21回シドニー・ビエンナーレ」の芸術監督を務めるなど、数多くの現代美術展を手がけています。また、今年、世界の美術館の館長やキュレーター(展示企画者)らでつくる国際美術館会議(CIMAM)の会長にも就任。非ヨーロッパ人として初めて選出されました。

テクノロジーを駆使して新たな飲食業のあり方を模索する周栄さんと、日本とルーマニアにルーツを持ち、差別や偏見といった問題にアートの力で向き合う落合さんは、どのような質問をぶつけたのでしょうか。

どんな生き方をしたと思って死にたいか

落合: 私の父はルーマニア人、母は日本人です。ダブルルーツの私は二つの母国に根を下ろすため、「土地と人の結びつき」をテーマに、両国の祭りをリサーチして撮影するなど、民族や国を超えて人々がつながる瞬間を可視化する作品を制作しています。

周栄: 僕は、食×テクノロジーとかコミュニティーづくりといった文脈で飲食店などのプロデュースをしています。東京・渋谷のWIRED CAFE で障害者が遠隔操作するロボットを従業員にするといった社会実験的なことにも取り組んでいます。

片岡: 最初に私から質問してもいい? お二人は、人生を終えるとき、どんな生き方をしたなあと思って死にたいですか?

片岡真実さん

周栄: 僕は、世の中に対して「+1」ができたかどうか、自分の存在が世の中に対していくらかでもポジティブな影響を与えられたかどうかを一番気にすると思います。

落合: 私は、生まれたときから死ぬまでに自分の価値観をどこまで拡張できたかが、人生全体の満足感につながる気がします。価値観を広げることは、一人ではなかなかできません。作品発表を通じていろんな人とかかわり、互いに影響を与え合えたらいい。そして、世の中を少しでもよくできたと実感して生涯を終えたいです。

片岡: 二人とも、社会や世界に貢献したいという思いが強くあるんですね。もう一つだけ質問させてください。現代アートとはどのようなものだと考えていますか?

落合: 造形美だけでなく、もっと複雑な文脈やレイヤーを忍ばせることができるものだと思います。私にとっての現代アートは、社会背景や文化、世界の問題などを乗せる船のようなものですね。

周栄: 現代アートは、その時代の文脈とか空気感を表すもので、社会情勢や、その時代に生きる人々の言語化できない感情が作品に表れる。社会と作家が対峙するなかで生まれるものだと思います。

片岡: 分かりました。では、その共通理解のもとにご質問をうかがいましょう。

世界を知るために現代アートを体系的に学ぶ

落合: 片岡さんは大学生のとき、アメリカに留学されました。留学のきっかけと、留学先がアメリカだった理由を教えてください。

片岡: 父がキリスト教の牧師だったため、20歳までイギリス国教会の敷地内に住んでいました。海外の人がしょっちゅう家に滞在していたり、親戚がニューヨークにいたりと、海外へ行くことに違和感がない環境で育ちました。アメリカへ行ったのは、私が通っていた愛知教育大学(愛知県刈谷市)の交換留学制度があったからです。

落合: その時点で、アメリカでは現代アートが盛んだと知っていましたか?

スクリプカリウ落合安奈さん

片岡: 20世紀の美術史についてアメリカで多くを学びました。留学先が東海岸だったので、ワシントンやニューヨーク、ボストンにある「本物」にバスや電車で会いに行ける距離感でした。本物を数多く見たことで、現代アートに強く かれるようになりました。

特に好きになったのは、ジャスパー・ジョーンズという、ポップアートが始まる前のネオダダと呼ばれる時代のアーティストです。ジャスパー・ジョーンズからポップアートにかけて、日常的なオブジェクトがそのままアートになっていく、大衆芸術とハイアートと呼ばれるものが逆転する、もしくは大衆芸術がハイアートの文脈に入っていくという流れを肌で感じました。生まれ育った環境からか、どうすれば平等な社会をつくれるのかということを幼いころから考えていたので、無価値なものに価値を与えていくという現代アートの営みに、感覚的に強く惹かれたのかもしれません。

落合: 留学前に日本で現代アートに触れる機会はありましたか?

片岡: あまりなかったですね。留学前は愛知県美術館に友人たちと日展を見に行くぐらいでした。それが宿題だったので(笑)。落合さんは東京芸術大学の博士課程に在籍中とのことですが、現代アートについてはどのように学びました?

落合: 今の日本の美術教育では、現代アートの面白さに気づくことはなかなかできないんですよね。私自身、浪人時代に予備校で初めて現代アートのロジックを知りました。東京芸大の油画科の学部時代は主に、各先生が独自に指定した本を読んできて、みんなで議論するというスタイルで現代アートを学びました。そのため、学生のやる気によって学習成果が左右されるうえ、授業を通じて現代アートの一連の流れを体系的に学ぶことは難しかったです。

片岡: 1990年代生まれの人でも、いまだに現代アートの歴史について公教育で習っていない。ましてや、東京芸大でもそんな状況だと聞くと残念です(苦笑)。

20世紀の美術を体系的に知る教育ができていないことは、憂慮すべきことだと思います。私自身、自分で体感しながらパズルを埋める感覚で現代アートの流れを学んできました。現代アートを知ると、社会的な背景を学ぶこともできます。20世紀のアートの流れについては、小学校から義務教育で教えてもらいたいなと思っています。アーティスト育成とは別に、むしろ将来の鑑賞者を育てないといけないし、社会も歴史も科学も算数も音楽も全部関係している現代アートを通して「世界」を学んでほしいです。

アジア太平洋地域のことをよく知ることが必要

周栄: 日本では美術史だけでなく、日本や世界の歴史でさえ文脈をぶつ切りにして教えていて、体系的に学べない傾向があると思います。

周栄行さん

片岡: よく言われることですが、過去から順に歴史を学んでいくと、近現代史を学ぶ時間がなくなってしまう。また、西洋の歴史を中心に学んでいることも問題です。アートの世界でも西洋中心という考え方はもう古い。現代アートというプラットフォームのなかで、世界各国がそれぞれの位置づけを模索しているのが現状でしょう。

これから先の世界の大きな動きを考えると、潜在的に成長するエネルギーを秘めているのはアジアです。日本では欧米と同様に、完成された社会が徐々に縮小していく。そうしたなかで、成長するアジアとともに、よりよく成熟していくには、日本という立ち位置からアジア太平洋地域のことをよく知っておく必要があると実感しています。アートの世界にいると、「日本はアジアの植民地化の問題についてどう捉えているのか」といった質問は、当たり前のように聞かれます。

周栄: 僕は日本生まれ日本育ちですが、大学生のころ、父母の出身地である上海に留学していました。そこで第2次世界大戦当時の日本の振る舞いなどについて質問され、なかなか答えられない日本人留学生を大勢見てきました。そうした知識は必須だし、見えづらいものとの接点を与えてくれる現代アートがこれからますます重要になってくると感じました。

片岡: 私もそのことは本当に強調したいんです。政治や経済の世界は弱肉強食の競争という面が強いですが、現代アートの世界では平等な世界観がつくれるのではないかと思っています。それは全てが同じという意味ではなく、異なる多くの価値観が同時に存在し得るテーブルです。一つの正解を求めようとしないアリーナは、すごく重要です。宇宙人が遠くから地球を見たときに、「なんてキラキラと輝いて豊かな星なんだろう」と思うかもしれないくらい、地球は多様な生き方、在り方であふれている。ミラーボールのように様々な色を映し出している。そこには人間の飽くなき欲望や愚かさも当然映り込む。そういう地球の在り方を想像することで、いろいろなものを受容できる気がします。

時代性を後世に伝えることが美術館の責務

周栄: 西洋以外のアートが表に立ち上がりやすくなってきているのは、その地域が経済成長しているからでしょうか。経済とアートの関係性についてはどのように捉えていらっしゃいますか?

片岡: 経済とアートの関係は本当に密接で、経済成長が著しい地域ではアートも成長していきます。コレクターは基本的に富裕層と重なり、バブル経済のころには日本の美術は世界の注目を集めました。その後、中国、インド、中東などが注目され、そのあと東南アジアがきて、というふうに経済と並走しています。

周栄: そうしたなかで、最近はクラウドファンディングなどのシステムが少しずつ広がって、経済とアートの関係性が変化してきているようにも感じるのですが……。

片岡: クラウドファンディングは一つの在り方だと思います。例えば、森美術館の「会田誠展:天才でごめんなさい」(12年)はクラウドファンディングでの資金調達を試みました。企業のスポンサーシップは難しいと判断しましたが、個人として彼を支持する層が厚いことは分かっていました。集団の意思ではなく個人の意思に期待することで、成功事例となりました。

落合: 私は作家として、美術作品の価値とマーケットの市場価格が 乖離かいり していることにモヤモヤします。うまく適応していくしかないと割り切ってはいますが、美術教育が変われば、その乖離も縮小していくのでしょうか。現時点では、「持ちやすい」といった物質性などによって作品の価格が左右されている気がします。

片岡: それで乖離が縮むかというと疑問ですね。アートマーケットで流通する作品は、絵画とドローイングと彫刻で90%以上を占めていると言われています。つまり、家に置いたり、掛けたりできる「モノ」が人気ということです。個人のコレクションってそういうものだと思うんですよ。ビデオアートやインスタレーションはその性質上、どうしても市場価格が高騰しにくい。

そうしたメディア(表現方法)による格差を是正するためには、美術館や国際展が頑張らないといけません。美術館のコレクションは、アートの様相をバランスよく反映したものであってほしい。コレクションがその時代の美術を投影するものだとすれば、物理的な収納可能性を超えて、同時代に見られる表現をきちんと後世に伝える責任が美術館にはあります。実際、歴史に残るパフォーマンスなどが再展示されるような動きも、この10年ほどで見られるようになっています。

展覧会はドラマとして構成する

周栄: 森美術館の展示の工夫について教えてください。昨年夏~秋に開かれ、66万人以上が来場した「塩田千春展:魂がふるえる」は、純粋なアートとしての面白さにとどまらず、SNS映えすると話題になりました。インスタレーションやパフォーマンスを扱うにあたって、鑑賞者の体験が外に広がっていく動線を意識して展示を作っているのですか?

片岡: SNSで写真を見て満足するのではなく、実際に足を運ばないとできない体験を重視しています。その一つが、スケール感です。「塩田千春展」ではたくさんの写真がSNSで上がっていましたが、多くの人が最初の展示室の巨大なインスタレーションに驚いていました。スケール感は写真からは伝わらないからです。SNS映えが力を持っているがゆえに、温度やにおいなど五感を使った体験もいっそう重要になると思います。

私は展覧会を一つのドラマだと思っています。入り口から出口まで、驚くコーナーや、じっくり観察したくなるコーナー、逆に素通りするコーナーなど、すべてがドラマです。全体のつながりから、角を曲がった途端、何が見えるかというディーテールまで、いずれも重要なので、図面上の展示計画を経ても、設営中は会場を動線順にグルングルンと何度も回っています(笑)。こうしたことは、SNS上の断片的な写真からは伝わりませんよね。

私はアーティストと作品を切り離すことができません。その人がどういう生い立ちで、どういう社会を生きて、どういう価値観のなかで思想を形成していったのかを理解しながら作品を読み解くことで、自分の中で説得力が高まっていきます。そこから作家への理解や共感が生まれる。体感することと、知識として理解することを、どうやって一つの体験として展覧会内で提示していくかが、今後ますます重要になってくると思います。

もっと大きなダイバーシティーを語ろう

落合: 留学先のアメリカで現代アートに衝撃を受けた後、作家ではなくキュレーターの道を選択したのはなぜですか?

片岡: 大学では陶芸をやっていましたが、その道を究めるために土や火といった自然の秩序に従う準備が自分にはできていないと感じ、早々に諦めました。帰国後は、いったん名古屋のギャラリーで働き、上京してニッセイ基礎研究所というシンクタンクに就職しました。契約社員として、ギャラリーなど文化施設の立ち上げや文化政策、国際芸術祭の調査などに携わりました。

「東京オペラシティアートギャラリー」(東京都新宿区)もそうしたプロジェクトの一つで、開設時に移籍し、キュレーターとして引き続き担当することになりました。コンサルタントとして提案するだけでなく、意思決定をする側にならないとダメだと思ったんです。ちょうどセゾン美術館というデパート系の現代美術館が閉館した時期で、次はどのようなモデルが可能なのかという実験が重要だと思いました。

その後、オペラシティのアドバイザーだったデヴィッド・エリオットが森美術館の初代館長となり、誘われました。森美術館は大きくて大変そうだなあと思ったのですが、オペラシティの仕事が10年を超え、一区切りついたタイミングだったので、別のことを始めてみてもいいかなと(笑)。キュレーターをやりたいというより、あるべき美術館の形を実現したいと思って、ここまでやってきました。

学生時代は自分が何になりたいか分からなかったし、極端な言い方をすると、いまだに職業は何でもいい。この社会をどのようにより良いものにしていくかが、最もエキサイティングなことなので。私は死ぬときに、「あ、自分はちょっといいことしたかも」と思えたらいい。そういう意味では職業はなんでもよかったんですよね。

落合: 片岡さんは森美術館の初の女性館長ということでも注目を浴びました。一方、昨年の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」では、私は重要な取り組みと捉えていますが、男女同数のアーティストが起用されたことに対し、わざとらしいという批判の声も上がりました。ジェンダーギャップについて、どう考えていらっしゃいますか?

片岡: 私自身は鈍感だからか、「ガラスの天井」をあえて意識せずに生きてきました(笑)。しかしそれは、前の世代の多くの女性の努力があってこそだと思います。もちろん、まだまだ是正されるべきジェンダーギャップの問題はたくさんあります。一方、LGBTや少数民族、様々なマイノリティーなど、もっと大きな意味でのダイバーシティーについて語られ始めています。

アートの世界にもその流れは反映されていて、男性白人アーティストに偏っていたコレクションのバランスを是正し、ダイバーシティーを確保しようとする動きが見られます。元植民地から旧宗主国に移された美術品や文化財を返還したり、先住民の表現を再評価したりするなど、美術史にも大きな変化が生まれています。女性初の館長という立場を活用して、より広くダイバーシティーについて考えるためのプログラムを日本でも行えたらと思います。

森美術館では今秋、70歳以上の女性作家の企画展「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力――世界の女性アーティスト16人」を開催します。ここでは、女性であることだけでなく、年齢の問題も取り上げます。現代アートというと、どうしても若者のイメージがあるし、官民の支援制度も若手対象が多いですが、年齢にかかわらずアーティストを継続的に支援していく必要があります。参加するアーティストの方々は、興味深いキャリアをもったエネルギッシュなおばあさんたち。年齢を感じさせないし、新しい挑戦を長いこと続けている。今、改めて世界各地の美術館がそういう女性たちに注目しています。展覧会の導入として「70歳以上の女性」という枠組みを使いながら、展示を見終わった後には性別や年齢なんて関係ないということが伝わればいいなと。

周栄: 僕は飲食店をプロデュースするにあたって、コミュニティーや景色、動線といった街づくりの観点をすごく意識するんですが、アートを使った街づくりについて、どう考えていらっしゃいますか?

片岡: コミュニティーの問題は今後、より深く考えていきたいなと思っています。森美術館は開館以来、国際性と現代性を意識し、グローバルスタンダードを目指してきましたが、六本木ヒルズの53階にあることもあり、コミュニティーとどう関係性を作るかは後手に回ってきました。対極的なものを同時に存在させる絶妙なバランスに関心があります。グローバルなものとローカルなコミュニティーは確実に接続させることができると思っています。

周栄: 2030年の未来はどうなっていると思いますか?

片岡: 2030年はSDGsの目標設定年ですよね。気候変動やダイバーシティーの問題など世界全体で取り組まなければいけない課題がたくさんあります。日本にいるという立ち位置を意識すると同時に、世界の中にいるという感覚を持つことは、日本が世界にどう貢献できるかを考えるために大切だと思います。自分自身だけではなく、人類あるいは地球の生命といった世界全体の純利益を考えたときに何を選択していくのか、という大きな視点を持てているといいですね。

インタビューを終えて

それでは最後に、インタビュアー2人の感想をご紹介します。

一見、必要のないものを通して、かけがえのない価値を創造したい(周栄行)

もともとアートはものすごく好きで、片岡さんがかかわってきた展示は「会田誠展」「塩田千春展」など個人的に印象深いものが多く、インタビュー前からお目にかかるのが非常に楽しみでした。実際にお話しして、片岡さんのアートに関する 俯瞰 ふかん 、視座に大いに感銘を受けました。アートは歴史や時代の文脈と切っても切り離せないものであり、大きな社会の流れの中に存在していることを、改めて考えさせられました。

アートという一見、生きるうえで必要のないものを通して、社会にとってかけがえのない価値を創造し、それによって世の中を動かしていくことは、とても人間らしい営みだと思います。それは僕がかかわる外食産業も同じだと思っています。業種・業態は違えども、僕自身がこれから進みたい道の本質を、片岡さんという人生の先輩を通じて学ばせていただいた思いです。本当に素晴らしい機会を得られたことに感謝しています。片岡さん、ありがとうございました。

「現代アート」から「歴史」を学ぶ授業は画期的(スクリプカリウ落合安奈)

片岡さんから、政治・経済は弱肉強食で数値化される世界だが、現代アートは数値化できるものではなく、フラットで、他者との差異を認めることができる領域だとうかがいました。私は教育の中で、十分には語られてこなかった侵略や植民地化なども含む「歴史」と、充実しているとは言いがたい「現代アート」の二つがどう変わっていくべきなのかをずっと考えてきました。その二つを結びつけ、様々な問題を可視化するビジュアルランゲージとしての「現代アート」から「歴史」を学ぶ授業が必要、という片岡さんの提言は、とても画期的だと思いました。

国内外の政治やニュースを追っていると、分断や差別の連鎖、マイノリティーへの想像力の欠如、環境問題など、大きな困難の存在を思い知らされ、暗い気持ちになります。でも、今回のインタビューで、日本と世界の現代アートを動かす片岡さんが、ダイバーシティーを着実に実現しようと努めていらっしゃることを知ることができて、大いなる希望を感じました。

【プロフィル】
片岡真実(かたおか・まみ)
森美術館館長。国際美術館会議会長。1965年、愛知県生まれ。ニッセイ基礎研究所都市開発部研究員、東京オペラシティアートギャラリー・チーフキュレーターを経て、2003年から森美術館に。20年1月から現職。第9回光州ビエンナーレ(12年)共同芸術監督。第21回シドニー・ビエンナーレ(18年)芸術監督。京都造形芸術大学大学院教授、東京芸術大学客員教授。文化庁アートプラットフォーム事業・日本現代アート委員会座長。美術評論家連盟会員。

周栄行(しゅうえい・あきら)
襷株式会社代表取締役。1990年、大阪市出身。上海、ニューヨークへの留学を経て早稲田大学政治経済学部を卒業し、外資系投資銀行へ就職。独立後は食にまつわるプロデュースを中心に活動。飲食店の経営からホテル、地方創生まで、食を軸にした幅広いプロジェクトにかかわっている。

スクリプカリウ落合安奈(すくりぷかりうおちあい・あな)
美術家。1992年、埼玉県生まれ。東京芸術大学油画専攻を首席、美術学部総代で卒業。同大学院修士課程グローバルアートプラクティス専攻修了。 同大学院博士後期課程美術専攻彫刻に在学中。日本とルーマニアの二つの母国に根を下ろす方法の模索をきっかけに、「土地と人の結びつき」についてのインスタレーションや写真、映像、絵画などを制作。

pagetop