DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2020/03/31

世界の学生がSDGsにデザインで取り組む
『SDGsデザインインターナショナルアワード2019』グランプリが決定!

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「デザインで世界を変えよう!」というメッセージのもと開催された『SDGsデザインインターナショナルアワード2019』(九州大学主催、朝日新聞など共催)。3月14日(土)、最終プレゼンテーション・表彰式が九州大学大橋キャンパスで行われた。当日は5グループが最終プレゼンを行い、この中からグランプリをはじめ各賞が発表された。

社会問題をデザインで解決

『SDGsデザインインターナショナルアワード2019』は、SDGsへの関心が高まる中、若い世代に人類共通の課題解決への取り組みを促す国際イベント。世界中の学生から課題解決のアイデアを募集し、13か国・88大学から223通の応募があった。

募集テーマは、
A 自然災害による被害の対策につながるデザイン
B 美しい海の豊かさを守るデザイン
C 民族、国籍、年齢を超えて多様な人が共生するためのデザイン
の3つ。社会問題を解決するためのさまざまなデザインが学生たちから寄せられた。主催する九州大学大学院・芸術工学研究院の教授で審査員長を務める平井康之氏は、「SDGsに掲げられた人類の課題解決のための目標を達成するには、サイエンスだけではなく、クリエイティブなデザインの考え方を取り入れることが重要である」と、今回のアワードの意義を話している。

ファイナリスト5組のプレゼンテーション

最終プレゼンテーション・表彰式は、3月14日に九州大学大橋キャンパスで開催された。
1次審査・2次審査を通過したファイナリスト5組が最終プレゼンテーションを行ったが、新型コロナウイルスの影響で、海外の学生や審査員はインターネット中継で参加した。5組のプレゼンテーション概要は以下の通り。

①「延伸する島(EXTENDED ISLAND)」
中国浙江農林大学 景観ランドスケープ専攻チーム
プレゼンター:張清(ジャン・チン)さん
21世紀の中国では、都市化と産業化によって土地不足が顕在化しており、特に沿岸地域ではその傾向が強い。そのため干拓ニーズが高まっているが、干拓事業は生態系の破壊や漁業被害などの問題を引き起こしている。

そこで私たちは伝統的な海苔の養殖事業に注目した。海苔は化学物質を効率的に吸収することで知られ、窒素やリンを吸収することで海水を浄化する。この「海苔の浮島システム」により、海の環境は改善され、干拓地帯の生態系を修復することができる。種の多様性を保つことでエコツーリズムの土台となるほか、地域産業も持続可能なものとなる。

②「THE MOBILE FOOTBATH」
プレゼンター:東京工業大学 環境社会理工学院 建築学コース 伊藤まゆみさん
九州大学大学院・芸術工学府 森山陽介さん
都市ではさまざまな人が行きかうが、私たちは似た立場や所属の人と小さな輪を作り、そこを超えて人と関わる機会を思ったほど持っていない。立場や所属を超えて人々が交流する仕掛けがあれば、それは社会的包含の第一歩になると考えた。

フィンランドのモバイルサウナと日本の足湯を組み合わせたこのデザインは、人力のみで運ぶことができ、サイズや利用者の目線など、会話が生まれやすいよう設計した。足湯の周囲では不思議とその輪を超えた対話が自然に生まれる。ヘルシンキのさまざまな場所に置いて実験したところ、大きな交流の輪が生まれ、社会的包含を実感できた。

③「Baby Cocoon」
ダルムシュタット応用科学大学
プレゼンター:リリス・ライスさん
事故や災害時には助けや支援が必要だが、特に乳幼児は親に依存しており、切り離すことができない。親の移動時や休憩時にも乳幼児を確実に守る仕組みが不可欠と考え、「ベイビー・コクーン」のデザインを発想した。

素早く簡単に乳幼児を入れて抱くことができ、乳幼児は安定的な座位姿勢を獲得できる。防水加工のハードシェルで乳幼児の全身を守り、折りたたみ式の頭部覆いを使えば、周囲に見られず授乳することもできる。丈夫な軽量素材を使っているため、燃えにくく、防音性や保温性にも優れている。美学的なデザインにより、日常生活で使用することもできる。

④「TOMODACHI CONNECTION」
九大芸工バングラデシュ調査チーム
プレゼンター:九州大学大学院・芸術工学府 若原千有希さん、田中遼太さん、小倉範子さん
昨年9月、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを現地調査し、難民と地元住民の深刻な軋轢を目にした。そこで「ロヒンギャ難民と地域住民をつなぐ、交友関係見える化ツール」を作成し、民族間の問題解決を目的としたデザインを行った。

現地の人の「共通の友人がいるとわかると急速に打ち解ける」という特徴に注目し、子どもがネームプレートを用いて友人関係を視覚的に捉えられるツールを考案した。ネームプレートは身近な材料で作成でき、友人と交換しながらプレートを縄でつないでいく。難民と地域の子どもの交友により、異民族が手を取り合うきっかけとなることを期待する。

⑤「Capricious Growth, Tenacious Growth」
中国浙江農林大学チーム
プレゼンター:趙燁樺(ジャオ・イェホア)さん
近年、広西省防城港市にある漁村は、台風や海面上昇の危険にさらされている。私たちは中国最古の石橋「洛陽橋」が何千年にもわたって崩落しない理由を調査し、牡蠣由来の基礎強化方法を考えた。また、竹と牡蠣を用いた頑丈な土台を修復に生かす伝統的な方法を取り入れた。

考案したのは二重構造の牡蠣防波堤「オイスターリーフ」。牡蠣の養殖からヒントを得た牡蠣いかだを作り、防波システムを形成する。牡蠣は耐久性に優れ、浮遊物をろ過する性質があるため、水質浄化に役立つ。漁村の抱える経済不均衡の課題解決にもつながる。

「延伸する島」がグランプリを獲得

 審査の結果は以下の通り。
【グランプリ】「延伸する島(EXTENDED ISLAND)」
【準グランプリ】「THE MOBILE FOOTBATH」
【優秀賞】「Capricious Growth, Tenacious Growth」
【特別奨励賞】「Baby Cocoon」/「TOMODACHI CONNECTION」

グランプリを受賞した中国浙江農林大学のプレゼンター張清さんは、
「とても光栄なことでドキドキしている。島で地元の人々の暮らしを見て、何か助けになることができればと思い、このデザインを考えた。この賞をきっかけに、私たちの考えをもっと大学生に広めていき、問題解決につなげたい」
と喜びを語った。

●総評=平井康之審査員長
アワードに応募してくれた世界の学生のみなさんに感謝したい。SDGsはテーマが広範にわたり、企業や行政のアプローチが多い。デザインの視点からSDGsを考えることで、人間中心、生命中心のアプローチを提供できると思う。今回のみなさんの発表を見て、SDGsは、未来を自分ごととして捉えることだという意を強くした。このアワードが、私たち自身が、未来の私たちの社会をデザインしていく第一ステップになれば、大変意義のあることだと思う。

企業グラント賞に「くっつくばんく」

また、企業グラントとして西日本シティ銀行が「キャッシュレス時代における銀行店舗の新しいデザイン」というテーマでデザインを募集。九州大学共創学部の木村紗彩さんの「くっつくばんく」が企業グラント最優秀案を獲得した。

「くっつくばんく」は、キャッシュレス社会やネットバンキングサービスの広がりを背景に、若者が銀行を訪れる機会が減少している点に注目。銀行・若者・地元企業が交流できる屋台をデザインし、カフェトーク形式で利用できる屋台を銀行店内に設置することで、業界研究を行う若者とのマッチングを行うというアイデアを提案した。若者が銀行に足を運ぶ目的を多様化し、企業は意欲の高い人材確保につなげられるほか、銀行も若者に金融情報などを提供する機会を得られるなどメリットが多い。

『SDGsデザインインターナショナルアワード』はすでに第2回の開催が決定している。『SDGsデザインインターナショナルアワード2020』では、今年5月から8月にかけて募集テーマの発表・受付開始、11月10日に最終プレゼンテーションと授賞式が「ヒルトン福岡シーホーク」で開催される予定。より多くの学生たちからの応募が期待されている。

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