DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2020/08/31

変容する災害リスク 「まさか」に備えて
9・1 防災の日 専門家と考える 

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 9月1日は、関東大震災にちなんで制定された「防災の日」。地震だけでなく、台風や津波といった災害に備え、身の回りのことを見直す日です。新型コロナウイルスの感染が広がる中、何に気をつけるべきか、どんな準備をすればいいか——。地震・災害情報、そして地球温暖化の専門家2人にアドバイスをもらいました。インタビューしたのは、朝日新聞DIALOGの学生記者です。

【後半】パワーアップする異常気象

大地震でも犠牲なくせる コロナ禍だからさあ一歩を
大木聖子・慶應義塾大学環境情報学部 准教授

聞き手 藤崎花美(DIALOG学生記者)

——近年の日本における地震の傾向について教えて下さい。

 有感地震が増えてくると、「そろそろ大きな地震起きますか」と皆さん聞いてきます。ですが、有感地震が増えると大きい地震がくるというものではありません。日本はいつでもどこでもマグニチュード7くらいの地震は起こりえます。それが日本の定常状態です。

——有感地震って何ですか。

 体に感じる地震のことです。体に感じないものを合わせると、日本では1日に何回くらい地震が起きているか知っていますか?

——え、わかりません……。

 30日間だと平均して2万回くらい。多いと3万回くらいの時もあります。今日(インタビューした8月4日)までの30日間をみると1万9672回。ですので、日本だけで1日500〜1000回くらいの地震が起きているのです。北海道で起きているから東京で揺れを感じてないということもあるし、東京の真下が震源だけどマグニチュードが小さいから感じない場合もあります。

 有感地震の頻度が高くなるとみんな心配し始めますが、実は、地震は1日に何百回も起きているのです。日本の中でのリスクは、どこでもどんぐりの背比べです。まずやるべきことは、マグニチュード7クラスの地震に誰もが備えることです。

 今の日本では、地震は起きたらもう命おしまい、という災害ではありません。備えることで被害を格段に減らせます。日本でマグニチュード5の地震は1か月に何回も起きることがありますが、建物や個人の行動など対策が整っていますよね。ですが、海外にはマグニチュード5の地震で何百人も亡くなってしまう国もあります。

 つまり、「地震が起こること」と「被害が起きること」は別なのです。家が強くなれば倒壊しなくなる、家具を固定しておけば家具に殺されなくなる、消火器があれば火を消せる、このようにコントロールすることで生き残ることができるのです。

 私の子どもには将来、「今はマグニチュード7の地震が来ても大丈夫」と言わせたい。私の母の時代は、台風で千人亡くなることも度々ありました。気象予報の精度が高くなったり、避難のやり方が改善されたりしたことで、今では千人もが亡くなることはなくなってきました。それと同じでマグニチュード7の地震も、家を強くして、家具を固定すれば、犠牲は減らせるからです。

大木聖子(おおき・さとこ) 2001年北海道大学理学部地球惑星科学科卒業、06年東京大学大学院理学系研究科にて博士号を取得後、カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋学研究所にて日本学術振興会海外特別研究員。13年4月から現職。専門は地震学・災害情報・防災教育など。

「宿題」やらないままでいい?

——地震は研究で解決することができないのでしょうか。

 地震の予測はできません。地震は、方程式で書けない現象です。複雑系の科学と呼ばれていて、この手の問題は、現在の英知だけで解かれたものは一問もありません。では、どうするかというと、実験するんですね。実験である程度、統計的に出してみようという方法に移します。

 ですが、地震はそもそも実験できません。科学としては致命的です。次にどうするかというと、過去のデータで統計的に考えます。でも、マグニチュード9の地震って、前世紀今世紀合わせて5回しか起きていません。統計も取れないのです。複雑系・実験できない・統計データがない、この三つの理由から地震予知は極めて困難です。

 でも、ある時ふと思ったんです。技術が発達して「明日、地震が起きますよ」と言えるようになった時、みんな何をすると思いますか? 家具が倒れてきたら嫌だから、きっと慌てて家具を固定しますよね。さらには、買い占めも起こると思います。そこでよく考えてみたら、予知できてもできなくても、やることは一緒だと気が付いたんです。

 「予知できないから防災はやらない」。これって、提出期限ぎりぎりまで宿題をやらないのと一緒なんです。宿題はいつか提出しなくてはいけないわけで、早めにやっておこうという話です。私も、夏休みの宿題を最後までやらないタイプなので、その気持ちもわかりますが……。

 なので、私は地震のサイエンスよりも、「どうやったら宿題を気持ちよく、早めにやる気分になるか」という研究をするために防災に転向したんです。

阪神・淡路大震災で、阪神高速3号神戸線が折れるように崩落。長距離スキーバスが車体の前部を宙に浮かした状態で間一髪助かった=1995年1月17日、兵庫県西宮市

防災も災害も進化する

——今年(2020年)は阪神・淡路大震災から25年。来年2021年は東日本大震災から10年です。地震を通して、学んだことは何でしょうか。

 地震のメカニズムは昔から変わっていません。「何が災害になるか」が変わってきています。災害はその時々の社会の脆弱(ぜいじゃく)性をついてきます。

 阪神大震災が起きた当時は、大都市の直下で地震が起きた経験があまりなかった。この地震を通して、大都市の直下で地震が起きると、何が起きるかがわかったのです。高速道路が崩れてしまうこと、渋滞が起きてしまうこと、火災が住宅から住宅へ移ってしまうこと、避難生活が長引くこと。その結果、避難所の運営など、防災についての議論が生まれました。

 東日本大震災では、津波の恐ろしさを痛感しました。震源から離れた東京も大混乱に陥り、帰宅困難者が大量に発生しました。ガソリンもなくなり、インターネットもつながらなくなりました。

 振り返ってみると、昔はライフラインにガソリンやインターネットは入っていません。馬車や人力車の時代には必要ないものです。依存するものが増えたことで、被害に含まれるようになったのです。

——新たに被害を受けると考えられているものはありますか。

 高層ビルやタワーマンションなどの災害です。高い建物は、周期の長いゆっくりとした揺れで共振してしまいます。南海トラフ地震が起きたとしたら、東京の高層マンションはすごく揺れるだろうことが指摘されています。これも高層ビルを人類が作ったことで生まれた災害です。

防災グッズ まずは1セットから

——私も早く防災しなくちゃと思いました。

 予言しておきましょう。今週末までにやらないと、絶対にやらないまま地震を迎えますよ。この話を聞いた今、いちばんリスクに対する認知が高いですよね。だから、講演会でも「皆さん、この講演聞いて何もやらなかったら、講演聞きに来なかった人と同じですからね」と言っています。講演を聞いて防災のことを知って、災害に強くなったと思いがちですが、違います。家具を固定しなければ、結局、講演を聞く前と一緒なんです。

 防災グッズも、多くの種類があるので悩んでしまうと思います。だけど、そんなのどれでもいいんです。とにかく1個買えば、他のも気になって集めるようになると思います。水が1人1日3リットル×3日とか色々ありますが、全部忘れてとにかくセットになっているものを1個買ってみてください。

家族の「プチイベント」に

——家族とコミュニケーションを取るのも大事ですね。

 家の中の防災は、家族と話すネタになりますよね。授業の課題で「被災後3日目を想定した食事で1食すごす」という課題を出しました。冷蔵庫は停電している想定です。肉や魚、多くの野菜は初日に食べ終わっているので、日持ちのする野菜か缶詰、乾物、アルファ米(非常食用の乾燥ご飯)と1人1リットル以内の水を使って作ってもらいました。ガスも電気も使ってはいけないので大変です。

 親にやってもらう学生もいるんじゃないかと初めから想定していました。実は、これも戦略のうちなんです。親もこの機会に挑戦して、家族のために作ろうと思ってくれたら嬉しいです。そしてあわよくば、防災食にはまってくれたらいいなと思います。課題の結果も面白かったです。いろんな麺類を水で戻してレポートしてくれました。私の授業で「こんなことをやった」とツイートしてくれている学生もいました。

——ツイートを見て、自分もやってみたいと思ってもらえるかもしれませんよね。

 「被災後3日目食レシピ」がたくさん出来たらいいなと思っています。私の家では、(4年に一度の)オリンピックの年に防災食を買い替えることにしています。今年はその年なので、最近、賞味期限が切れかかっているものを何日かに1回食べることにしています。

 この前、息子に「地震が起きたら電気が消えてキッチンでお料理できないから、こうやってご飯食べるんだよ」と話しながら、アルファ米にお湯を入れてご飯を作りました。普段とは違うのでイベント感もあって、「めっちゃうまい!」と喜んで食べてくれました。

 防災食を作る練習になったし、災害時の不安な中で初めて食べるものでもなくなりました。防災の日を理由に「プチ家族イベント」のような感じで気軽に取り組んでもらえるといいなと思います。

義務と思わない 楽しむが勝ち

——コロナで在宅の家族も多いから、取り組みやすいですよね。

 コロナで家にいることが多くなった分、家のことを見直そうという風潮が強まった気がします。以前、課題として出した家具の固定を家族で取り組んでくれた学生は、家具固定と一緒に「家具の上も掃除しよう」となったことを教えてくれました。感想には「小学校以来の家族みんなでの大掃除になって楽しかった」と書いてありました。防災ってこれだ、と思いました。

 防災は起きないかもしれない未来のための投資です。経済的なコストもかかるし、時間も使います。これで起きなかったら損したみたいに思ってしまいますよね。もちろん、命に関わることなので損得の話ではありません。でも、それを説き伏せるよりも「防災をネタに楽しいことができる」という考え方に持っていけたらいいのだと思いました。

 防災食の買い替えも義務と考えるのではなく、子どもと「どんな食べ方にするか」「味はどうするか」と話しながらピクニックやキャンプのように取り組めたらいいなと思います。

 私は、自宅を最高の避難所にするというコンセプトで暮らしていて、非常食も、災害用トイレも、水も用意してあります。1週間は家のなかで過ごせるようにしようと思って。

初めの一歩 もう踏み出している

——最後に読者へのメッセージをお願いします。

 緊急事態宣言が出て、多くの家庭が麺類やお米をストックしたと思います。実はこれって防災なんですよね。今までより家にいる時間が長い分、どうやって家の中を安全にするかということを考えるようになりました。

 小さいお子さんのいる家庭は特に考えたことがあると思いますが、病院で院内感染がでると診療が停止します。そうすると、子どもがけがをしたときに診察を受けられる病院がなくなってしまいます。だから、みなさんきっと家の中の安全を多かれ少なかれ考えているでしょう。

 コロナを通して、リスクとどう向き合うかということを多くの人が考えていると思います。これは、災害をどうとらえるかという点とすごく似ています。コロナ対策をする中で、皆さんは知らない間に地震や水害の防災対策も進めているのです。

 いつもよりもはじめの一歩を踏みだしやすい状況です。あとは最後の仕上げとして、ハザードマップの確認や災害用トイレの準備をしておきましょう。

パワーアップする異常気象 温暖化に向き合う
国立環境研地球環境研究センター副センター長・江守正多さん

聞き手 溝口恵子(DIALOG学生記者)

江守正多(えもり・せいた) 1970年神奈川県生まれ。1997年に東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程にて博士号(学術)を取得後、国立環境研究所に入所。2018年より地球環境研究センター 副センター長。社会対話・協働推進オフィス代表。専門は地球温暖化の将来予測とリスク論。著書に「異常気象と人類の選択」「地球温暖化の予測は『正しい』か?」など。

——近年の異常気象の特徴と、温暖化との関連について教えてください。

 2017年に九州北部豪雨、2018年には西日本豪雨と、関西空港が浸水した台風21号。去年は台風15号によって千葉県で大停電が起き、19号で東日本各地が浸水しました。記録的な大雨が毎年のように起きています。

 「大気の川」と気象学では言われていますが、大気中に水蒸気の大きな流れが形成されることがあります。それが日本の降水システムに流れ込み、雨が持続することが指摘されています。気温が上がるほど大気中の水蒸気量は増えます。そして、梅雨前線や台風といった大雨を降らせるパターンが起きた時、水蒸気量が多いことによって記録的な大雨になる。言ってみれば、これまでにもあった「普通の異常気象」が、温暖化によって「記録的な異常気象」にパワーアップしてしまった。そんなふうにとらえたらいいのではないでしょうか。

化石燃料ゼロへ アクションを

——温暖化を抑えるために、社会システムはどういった変化を迎えるべきですか。

 世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定を達成するには、2050年にCO2排出量を実質ゼロにしないといけません。

 今年はコロナで外出自粛が続きましたが、世界のCO2排出量は去年と比べて、せいぜい7〜8%の減少と見込まれています。現在はエネルギーの8割程度が化石燃料を燃やして作られているので、普通に社会システムを動かしているだけで大量のCO2を出してしまう。ですので、火力発電をなくして自然エネルギーだけにしたり、ガソリン車をなくして電気か燃料電池車だけにしたり、ソーラーパネル付きの家など環境に優しい家しか売らなかったり、そういう社会になっていく必要があります。

 しかし、化石燃料を売る企業がこれまで通りの経済活動を続けると、CO2は減らないのではないかといった懸念もあり、大きな意味では、社会システムの深いところの変化について考えないといけないかもしれません。

 そのためにも、自分の生活から出るCO2を減らして満足するのではなく、政府や企業に対して声を上げ、CO2排出ゼロを掲げる企業や政治家を応援し、自治体で活動をする。そうしたアクションこそが必要です。

——省エネを意識しても、地球に役立っている実感がわかず、続かない人も多いと思います。

 自分がやらなくても、声をあげなくても、そんなに変わらないと思うかもしれない。でも、情報に触れれば、世の中の流れに自分も参加して後押ししている気分になると思うんです。ヨーロッパは、このコロナで落ち込んだ経済をただ元に戻すのではなく、「グリーンリカバリー」といってEU予算の約3割をCO2排出ゼロに向けた気候変動対策に投資するといいます。アメリカやヨーロッパの大きなエネルギー会社だけでなく、日本でも東京ガスが2050年にCO2排出を実質ゼロにすると宣言しましたし、石油会社もガス会社も再生可能エネルギーに投資しています。

 ただ、世界の流れが動いているとはいえ、今のままではスピードが足りません。こういった情報に触れて、流れを後押しするメッセージを発信する人がもっと増えてほしいと思います。

2018年の西日本豪雨で、あふれた水が屋根の下まで迫った住宅=岡山県倉敷市、朝日新聞社ヘリから、加藤諒撮影

経済と環境 両立できる

——災害や温暖化に関する報道は、どうあるべきだとお考えでしょうか。

 温暖化に対する懐疑論者とか、経済と環境を対立する構図で捉えて、経済の方が大事だと考える人たちは、危機感に訴える報道を批判しますし、逆に、危機感を本当に感じている市民は、それを抑制するような報道に対して批判的になるということが起こっていると思います。

 政府のほうでも「環境と成長の好循環」と言っているように、今は気候変動を止める方向に経済を発展させることが常識になってきています。僕としては、経済と環境を二項対立で捉える考えや、環境を良くするためには経済を我慢しなくちゃいけないという考えは、なくしていったほうがいいと考えています。

 また、日本には膨大な無関心層がいます。そもそもニュースを見ない人たちにアプローチしていくのは、もはや新聞などではないのかもしれません。

——情報を受け取る私たちは、どういうスタンスで見るのがいいでしょうか。

 社会にはいろんな考え方の人がいる。自分のものの見方が絶対的で、違う意見は間違っていると思ってしまうと、対立や分断が深まり、自分自身が学ぶ機会も減ってしまいます。僕は、自分にも偏りやバイアスがあると意識して、自分と違う人の意見や違和感のある報道を含めてみるように気を付けています。その方が学びやコミュニケーションの幅が広がるのではないかと思います。

江守さんは「地球博士」として、子どもたちへの講義・啓発にも取り組んでいる=2019年8月、横浜市、国立環境研究所社会対話・協働推進オフィス提供

共助の大切さ 改めて意識を

——コロナの影響で家族と話す機会が増えている中で、家庭でできる防災についてお聞かせください。

 ご近所との関係について考えていただきたいです。自助・共助・公助という三つのキーワードがあります。自力で身を守る自助。国や地方自治体が助けてくれる公助。その間に共助があります。「近所のお年寄りは大丈夫かな」とか「誰々の家は小さい子が一人でいるけど大丈夫かな」とか、地域やコミュニティーで防災をするのが大事です。都市では近所づきあいが疎遠になっているので、改めて意識しないとできません。身の回りを思いやることが、巡り巡って自分を助けることにつながるかもしれません。

 自助について言うと、大雨などの災害が来たら避難所に行かなくちゃいけないところに住んでいるかどうか、まず、それを分かっているかどうかが大事です。食料や水、携帯用トイレなどのほかに、今なら感染症対策としてマスクや消毒液など防災バッグにプラスするといいかもしれません。

常識は変わる 変えられる

——読者の方や大学生に向けて、メッセージをお願いします。

 常識が変わることを前提にしてほしいですね。2年前の西日本豪雨で岡山県真備町に大雨が降ったときは「今までここは洪水なんてなったことないから大丈夫」と逃げない人がたくさんいましたが、その常識が通用しなかった。どうしても、自分にとってここ数年常識だったことが常識であり続けるような気がしてしまうかもしれない。けれど、常識が変わるということを前提にして、いろんなことを考えていくのは大事だと思います。

 今回のコロナでも、よほどのことがない限りオンラインで会議することが僕の新たな常識になりました。これから、災害に関する常識も変わるはずですし、気候変動に関して言えば、社会に必要なエネルギーをまかなうには化石燃料が必要だという常識も変わっていく。

 社会の常識については、むしろ変わるというよりは自分が声をあげて変えていけるものだという前提で生きていくことが大事だと思います。


「面倒」やめて ポジティブに

 DIALOG学生記者の藤崎花美です。大木先生は実は私の中高の先輩で、私が在校生の時に学校にお話しに来てくださったこともあります。私が理系を専攻し研究者を目指そうと思った憧れの先輩でもあります。

 「研究が進んで地震を予知できるようになってもやることは変わらない」という言葉がとても印象に残っています。確かに周りの多くの人は、防災よりもいつどこでどれくらいの地震が起きるのかということばかり気にしている気がします。

 大木先生のお話の中で出てきた「明日地震が起きると教えてもらっても、地震を食い止めることはできない」という視点は、これまで考えたことがありませんでした。地震が起きる前にどう対策するかで災害の大きさが決まってしまう。このことを学んだからには、すぐに防災だと思い、家族にこの話を共有して、自宅を最高の避難所にする第一歩を踏み出しました。

 防災は面倒くさいものではなく、楽しいものとしてもっと認知されればいいのにと思います。私自身、防災のお話を聞いていてワクワクしました。災害のリスクをネガティブにとらえるのではなく、ポジティブな観点から包んでいくことの可能性を感じました。

一人ひとりの行動こそが

 DIALOG学生記者の溝口恵子です。「自分の生活から出るCO2を減らして満足するのでは困る」。江守さんは「個人から社会へ」意識とアクションの輪を広げる大切さを教えて下さいました。

 私はプラスチック製品の購入を控えたり、野菜は農家から直接買ったりして、個人的に環境負荷の削減に協力してきたつもりでした。しかし、それだけでは足りない。一人ひとりがアンテナを高くして情報を取り入れ、周囲を巻き込んだアクションにつなげることが大切なのだと痛感しました。「私たちが常識を変える」という気持ちこそが、世の中を変えていくのだと思います。

 共助についても考えさせられました。私は横浜市に住み、あまり近所づきあいをしたことがありませんでした。でも最近、近所の一人暮らしのおばあさんの足の具合が悪いと知り、母と一緒に買い物を手伝うようになりました。

 先日、おばあさんが私の家を訪ねてくれました。歩くのは大変だっただろうに、若いころ大切にしていたというブローチをプレゼントしに持ってきてくれたのです。私が思いがけずに喜んだからか、おばあさんは少し驚き、そして、安心したようにほほえみました。

 「都会では近所の人と触れ合わないのが当たり前」。そんな自分の中の常識が変わりました。災害が起きた時、今なら「おばあさんは大丈夫かな」と、すぐに気が付くと思います。

 新型コロナ流行が長引き、家にいる時間が長い今、世界や日本、地域のことに思いをはせながら、身の回りでできることがないか考え、一歩を踏み出すチャンスだと思います。

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