みんなで訳すターゲット 出張授業でアイデア次々SDGs169ターゲットアイコン日本版制作プロジェクト:朝日新聞DIALOG
2020/11/12

みんなで訳すターゲット 出張授業でアイデア次々
SDGs169ターゲットアイコン日本版制作プロジェクト

【PR】住友林業、大和証券グループ、フラグスポート、ライオン
伊ケ崎忍撮影

 国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を、みんなの力で達成しよう——。そんな思いで始まった「SDGs169ターゲットアイコン日本版制作プロジェクト」。これまでに慶応義塾中等部(東京都港区)、青山学院中等部(東京都渋谷区)で出張授業がありました。動画やワークシートを使った課題や、SDGsに取り組む企業から「先生」を招いた講義。生徒たちの話し合いから生まれた、生き生きとした言葉やアイデア。こうした動きが全国に広がるように、SDGs169ターゲットアイコン日本版制作委員会の取り組みを紹介します。

 「SDGs169ターゲットアイコン日本版制作委員会」は、サポート企業(住友林業、大和証券グループ、フラグスポート、ライオン)とともに、各地の学校で出張授業を実施しています。コピーは11月末まで、こちらで募集しています。

専門家 動画でアドバイス

 出張授業では、まず一人ひとりが動画を見て学びます。

 一つ目の動画は、SDGsを専門とする慶応義塾大学大学院の蟹江憲史教授。169ターゲットの意味と重みを説明して「169ターゲットを丁寧に見て、考えるプロセスが大切」を訴えます。


 二つ目は、SDGs17ゴールの日本語コピーをつくった博報堂クリエイティブディレクター井口雄大さん。ターゲットごとに「一番伝えたいことは何か」を考えてほしいと語り、「かっこいい言葉を作るよりも、伝わる言葉つくるのが目的。丁寧に考えてほしい」とアドバイスします。


 さらに、学校ごとに、SDGsに取り組む企業から、関係するゴールの説明とメッセージも寄せられました。

 これらの動画は、プロジェクトの応募してくださる学校などで、自由に使っていただけます。


生徒のみなさんへ 企業からメッセージ(要旨)

住友林業から慶応義塾中等部へ

 建築やバイオマスエネルギーなど、森を育み、木を活用する仕事をしています。「持続可能な森づくり」がキーワード。2041年に向けて木造高層ビルの研究開発をするなど、木の用途を広げる努力をしています。日本の森林は力があり、育てた木を一本一本無駄なく使うことがSDGsにつながります。日本の森林の機能、力を知ってほしいと思います。

大和証券グループから青山学院中等部へ
 SDGs達成に向けて「SDGs債」という有価証券を発行し、投資家や企業からお金を集めて社会課題に資するプロジェクトに充当しています。ワクチン債、女性応援、水資源の確保、グリーンエネルギーの開発など、あらゆる社会課題の解決に寄与する可能性があります。社会に役立つお金の流れをつくるため、みなさんにできることは何か、楽しく考えてください。

フラグスポート(マニフレックス)から和洋九段女子中学高等学校へ
 イタリアの「マニフレックス」という寝具メーカーの商品を日本にお届けしています。創業当初から環境に配慮した商品を念頭に置いています。人間は消費をしないと生きていけない、しすぎてもいけない。消費は身近な行為です。商品の製造過程や物語を視野に入れて選んでいただくことで地球環境に影響すると感じていただければ、SDGs達成に近づくと思います。


ワークシート工夫 取り組みやすく

 授業で使ったのは、工夫を凝らしたワークシート。英語の原文は難しい単語や文法が多く、いきなり日本語コピーに取り組むのは大変です。そこで、まずはウォーミングアップから。アイコンを見て、何が言いたいのかを想像してもらいます。

 次に、原文を見て、分からない単語や文法を辞書で調べます。自分の言葉で訳してみたら、すでに公表されている日本の外務省などによる仮訳で「答え合わせ」。でも、外務省の仮訳は長文だったり、難しい表現が多く使われていたりします。なぜ、このターゲットが設けられ、どういう取り組みが必要なのか——。一人ひとりが調べて、より短く、やさしい表現にできないかを考えます。

 そして、締めくくりに日本語コピーを考案。一つだけはなく、いくつかの案が思いつくように、思考の幅を広げます。

ワークシートの構成(例)
Warming Up! アイコンからターゲットを予想してみよう
Step 1 英語の原文からターゲットの意味をとらえよう
Step 2 このターゲットが設定された背景について知ろう
Step 3 ターゲット達成に向けた取り組みについて知ろう
Step 4 英文コピーをヒントに、 オリジナルの日本語コピーを考えてみよう
Step 5 このターゲットを達成するためにできることを考えよう

グループワーク 一人ひとりの考え尊重

 出張授業では、みんなで考えを共有して尊重し合えるよう、グループワークに力を入れます。5人前後に分かれ、テーマごとの課題、解決への道、そして日本語コピーを1人ずつ発表。どの表現がより多くの人に届くか、相談しながらグループとしての案をまとめていきます。

 慶応義塾中等部では、森林保全を考えたグループで「全世界に豊かな自然を持続させる資金を」「世界の森林の復元に協力しよう」といった案が出ましたが、分かりやすい表現をみんなで考えた結果、「未来にも豊かな緑を保ち続けられる資金を」というコピーが生まれました。

 青山学院中等部でも、医薬品やワクチンの普及について考えたグループで「誰にでも平等に医療」「全員で健康になろう」といった案が出ましたが、最後は「空気のように広がる健康」という詩的な表現にまとまりました。

 身の回りのことに引きつけて考えることも大切です。慶応義塾中等部では学校法人の所有する「慶應義塾の森」の活用法を議論。青山学院中等部でも「私たちが考えるSDGs債(SDGsに活用される債券)」をテーマに話し合い、たくさんのアイデアが集まりました。

中高大 塾も対象 全国から応募

 プロジェクトには、すでに全国のみなさんが参加しています。小・中学校・高校・大学・大学院・専門学校などのほか、塾やクラブといった教育団体、社会人学生なども対象。個人でもグループ単位でも応募でき、169ターゲットのうち一部を除くほぼ全ての日本語コピーを考え、応募してくださった方もいます。

 SDGsへの理解を深め、世界の未来を切りひらくために―。11月末の締め切りに向けて、ぜひみなさんもご参加ください。

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