

コロナ禍で海外渡航が難しい昨今ですが、海外でのインターンシップやボランティア 、語学留学、バックパッカー旅行など、普段の学校生活や社会人生活から離れた環境で学びを得る経験、ギャップイヤ―(GY)がここ数年、注目されています。様々な主体的な実体験を通じて、人生の可能性を開く。その魅力と意義について、専門家と経験者、大学生が語り合いました。
【無料】3月4~6日にウェビナーを開催
国際交流基金アジアセンターは、グローバル人材の強みに詳しい企業の人事担当者や、海外経験がありメディアで積極的な発信を続けるクリエイティブディレクター、そして、同アジアセンターの「日本語パートナーズ派遣事業」の参加者で、海外経験を就職活動や仕事に活かしている方々を招いたウェビナーを開催します。下記よりぜひ、お申し込みください。

佐々翔太郎 リクルート勤務。中央大学在学中にフィリピンに滞在。その後、ミャンマーで長期インターンシップと起業を経験。東南アジア出身者と日本人のシェアハウス「ASEAN HOUSE」ファウンダー。
王翔一朗 大学1年。社会デザインやコミュニティーに興味があり、海外での長期のインターンシップや研究に関心がある。
砂田薫 ギャップイヤーの調査研究などを手がける団体「ギャップイヤー・ジャパン」代表。お茶の水女子大学大学院や宇都宮大学でキャリア教育を担当後、現在は奈良県橿原市で古民家カフェ「ももや」を経営。
ギャップイヤーとは——砂田さん解説
GYは、1960年代ごろからイギリスで、大学入学前に海外旅行やボランティアをする習慣として広がりました。自由度や計画性などから4階層に分けられます(表参照)。
日本では2011年の東日本大震災以降に本格的な議論が始まりました。中国の経済発展や、GAFAの台頭もあり、「0から1を生み出す人材育成の必要性」への認識が、産官学で高まったことが背景にあります。
フィリピンで語学留学、ミャンマーで起業
佐々 大学2年の春休みに1ヶ月半、フィリピンの語学学校で英語を学びながらボランティアをしました。その後、大学3年を終えた後に1年休学し、ミャンマーでNPO法人のインターンシップに参加しました。教育支援団体のプロジェクトリーダーとして、山間部で暮らす中高生に映像授業を届けるプロジェクトを半年間担当した後、起業しました。
NPOでは、勉強へのモチベーションが低い生徒に多く出会いました。「勉強して何になれるのか」と。そこで、キャリア教育のメディアを作ろうと思い立ち、進学やキャリアのロールモデルとなる方にインタビュー。動画を80本以上、記事を500本以上作り、Facebookで配信。100万以上の「いいね!」を得るサイトになりました。

「何かやりたい」 やるなら大胆に
王 私はまちづくり、特にデンマークの先進事例に興味があって、在学中に海外で学びたいと思っています。渡航のきっかけや事前準備について教えてください。
佐々 フィリピンの時は、自分に自信を持てるきっかけが欲しかったんです。部活や受験で苦労したのもあって。行ってみて、現地の人たちのたくましい生き方に学ぶことが多く、次は長期で行こうと決めました。ミャンマーでも、目の前の人の困りごとを何とかしたいと向き合ううちに、起業することになりました。起業の「き」も分かりませんでしたが、やるなら大胆にやろうと。現地の日本人起業家と毎日のように会食し、「教えてください」ってアグレッシブにやっていました。
帰国後の就職活動では、困ることがなかった気がします。ミャンマーに行き、将来したいことが明確になったからです。面接では正直に「いずれは途上国で起業したい」と話しました。海外で身につけた異文化コミュニケーション力やチャレンジ精神などを、説得力をもってアピールできたと思います。
王 アグレッシブさは、どういうモチベーションから。
佐々 「自分を変えたい」という単純な気持ちです、たぶん。

具体的な計画よりも まず行ってみる
王 GYの前に具体的に計画をすることが大事だと思っていましたが、より重要なのは、まず行ってみて、経験したことを次に活かしていくことなんだと感じました。
砂田 佐々さんは、GYで身につくといわれるスキルを、ほぼすべて習得されたように感じました(表参照)。世界中の人がTwitterでつぶやいている言葉が、"I don't know what to do."(何をしていいかわからない)。若者も大人も皆、不安なんです。それがわかると、行動や決断するとき、少し楽になると思います。

東南アジア チャレンジしやすい
王 帰国子女や留学経験者ではなくても参加できるプログラムや、非英語圏へのプログラムが広がってほしいと思います。
佐々 東南アジアの良さは、競争が少なくてチャンスが広がっていること。特にミャンマーは親日で文化も近く、日本人が少なく、チャレンジする場所としてそんなにハードルが高くないことです。
人生100年 若者だけでなく
砂田 GYは自分に負荷をかけ、コンフォートゾーンから抜け出すことが目的です。ウォーミングアップとして、国内の離島や農山村に「留学」するのも手かもしれません。GYは若者だけのものではありません。「人生100年時代」において、非連続なキャリアは、大人にとっても成長の機会になると思います。
王 GYの経験者からお話を伺う機会がなかったので、チャレンジする勇気が湧きました。
佐々 「海外に出たい」と思う若者が、もっといていい。日本はパスポートが世界で一番強い国のひとつであるはずなのに、もったいないと思います。好きなこと、興味のあることを、とことんやってみる。一生懸命取り組むことで、やりたいことが見つかっていくと思います。
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