「いいね!から連帯」「一緒に未来を描こう」大学SDGs ACTION! AWARDS 2020 受賞リポート:朝日新聞DIALOG
2021/02/25

「いいね!から連帯」「一緒に未来を描こう」
大学SDGs ACTION! AWARDS 2020 受賞リポート

準グランプリ 日本ガイシ賞
大阪大学「アクティヴに学べる実験・ものづくり授業を子どもたちへ!新興国での理科教育コンテンツ製作と効果検証」

理科教育支援学生団体「Bamb-EE」 中村省太、山西康太

※受賞者の生の声を生かすため、リポートを原文のまま掲載しています。

発展途上国の教育格差を解消したい

 私たち「学生団体Bamb-EE」は、発展途上国に質の高い理科授業を届けたいという想いのもと日々活動に取り組んでいます。本団体は2017年に設立された比較的新しい団体であり、現在バングラデシュをターゲット国として、大阪大学に所属する工学系の学生5人で活動しております。これまで、実際に現地に渡航してモノづくり授業を行うだけでなく、より良い授業づくりのために現地法人へのヒアリング、日本国内でのテスト授業等を行ってきました。

 バングラデシュは、過度な暗記型教育や満足のいく教育環境が揃っていないといった現状に直面しており、子供たちの理科系科目への理解度や興味・関心が非常に低いという社会問題を抱えています。そこで、私たちBamb-EEは自分たちで企画・制作したモノづくり授業を通して、バングラデシュの子供たちに理科をもっと好きになってもらい、自分で考えて学習することの楽しさを知ってもらえるようなモノづくり授業を提案、実施してきました。

バングラデシュの子どもたちがタブレットを活用して空気鉄砲を自作している様子

現地でのモノづくり授業

 2018年、バングラデシュにてモノづくり授業を行いました。現地でモノづくり授業を実施する上で、“教員の数や質の問題から教員に依存しない授業構成が必要”、“現地で調達・作製可能な物品のみで実施可能”といった条件を考慮しなければなりませんでした。

 これらを踏まえ、タブレットを活用した空気鉄砲作りを題材として選定し、子供たちにグループワーク型のモノづくり授業を提供しました。結果として、子供たちを笑顔にするだけでなく、普段文字でしか認知してこなかった物理的現象を実際に見て、手を動かして学んだことにより、知識だけでなく思考力や想像力、主体性に協調性などの重要な能力の養成に貢献しました。

 また、私たちの活動は、現地の方々に共感してもらえなければやる意味はありません。そこで現地のニーズを探るべく、現地の小学校をはじめ、NPO・NGO法人といった様々な機関に対してヒアリングを行いました。ヒアリングを通して、現行の授業形態が抱える問題は何か、また現地の子供たちが何故十分な理科教育を受けられないのか等、現地でしか聞くことのできない貴重な意見をいただきました。

新たなモノづくり授業の実施に向けて

 私たちの活動の一環として、国内の小学校で私たちの企画したモノづくり授業を実施するという活動も行っております。この活動は、発展途上国で行うモノづくり授業のテストという側面もありますが、国内の小学生に理科の面白さや楽しさを知ってもらう貴重な機会として毎年出張授業を行っています。2019年には、国内の小学5年生を対象に、風力発電を題材としたモノづくり授業を開催しました。この授業では、実際に風力発電機を自作するだけでなく、どのような羽を作れば効率よく発電出来るのかをみんなで考えることで、思考力や知識を楽しく養える授業を提供することが出来ました。また、モノづくり授業を行ったことで、多くの子供たちから理科が好きになったという意見をいただき、非常に うれしく思いました。

コロナウイルス蔓延の影響を受けて

 現在、多くの団体がコロナウイルスの影響を受け、様々な活動に影響が出ていると思います。私たちも多分に漏れず、2020年3月に予定していたバングラデシュでの出張授業を断念することとなりました。しかし、こういった時だからこそ少しずつでも地道に活動を続けていかねばなりません。コロナ過中、私たちは現地に渡航できない期間を活用し、国内の協力者獲得に尽力しております。準グランプリをいただきました日本ガイシ様との協賛、AWARDSでの賞金を活用した新たなコンテンツ作り、国内小学校でのテスト授業実施に加え、イベント出展等を企画して私たちの活動を認知してもらうなど、できることはたくさんありました。私たちの活動が国内外の方々に認められ、様々な協力を得て発展途上国の子供たちに必要とされるモノづくり授業を提供することで、子ども達の笑顔を少しでも増やすことができればこれ以上うれしいことはありません。

SDGs ACTION AWARDSに参加する皆さんへ

 今、世界中がコロナで変わろうとしています。大きな方向転換を強いられ、何から始めればいいのかわからなくなる時もあるでしょう。しかし、私たちの気持ちや活動を理解して助けてくれる方々はたくさんいます。自分たちの想いや周りの方々を信じて、少しずつでも歩みを止めずに目の前の目標に取り組んでください。きっといつか皆さんの気持ちや活動が実る日がくるはずです。大学SDGs ACTION! AWARDSは私たちに非常に大きなチャンスを与えてくれました。是非、チャレンジしてください。皆さんのこれからの活動を心から応援しています。


準グランプリ 住友金属鉱山賞
横浜市立大学「古着を布ナプキンへ!~アフリカの月経貧困を解決する~」

吉葉怜美、知念璃未、休場優希

※受賞者の生の声を生かすため、リポートを原文のまま掲載しています。

受賞してからの活動

 受賞後は、受賞時に審査員や参加者の方々から頂いたご意見や課題点について話し合い、プロジェクトの仕組みや方向性の見直しを行いました。残念ながら今年度は海外渡航が難しい状況であった為、国内でワークショップを開催し、実践経験を積むという目標を立て、活動を進めていきました。昨年12月には、学生を対象とした、生理をテーマとしたオンラインワークショップを行いました。また、月経貧困の知識や理解を深め、私たちの活動の課題へのヒントを得るために、既にアフリカ地域で類似活動を行なっている方や団体にヒアリングを行いました。今年度は、アフリカ現地での実践に向けた土台づくりの1年となったと感じています。(吉葉)

 受賞後は、コロナの影響で、当初目標としていたアフリカでのワークショップ活動はかなわなくなってしまいました。しかし、アフリカで活動されている方々へのインタビューを実施したり、国内でのワークショップ開催を目標として活動することができました。布ナプキン作りのワークショップは未だ開催することができていませんが、その一歩手前の活動として、生理に関しての知識を共有したり、新しい生理用品について学んだり、生理に関してどのような悩みがあるのか話し合ったりすることができました。新しく目標設定をしたり、活動方法を話し合ったりして、グループメンバーと自分たちでできること、やりたいことを目標として活動することができ、充実した活動をすることができたと感じています。(知念)

受賞前のアフリカでの活動の様子=横浜市立大学チーム提供

 受賞後は頂いた活動資金を使って「アフリカに行って布ナプキン作りワークショップをする」ことを目指していました。ですが、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)によって、残念ながら今年度はその計画を実行に移すことはできませんでした。ただそこで活動を追えたくなかった私たちは、元々目指していたことを実現させるための準備期間の1年にしようと決めました。具体的には、すでにアフリカで月経貧困の問題に取り組む方々にヒアリングを行い、活動の課題点を検討したり、国内で月経について気軽に話をするワークショップを開催し、ワークショップ開催の知見を溜(た)めました。悔しいスタートになりましたが、その分活動についてもう一度考え、何が必要かを検討する大切な1年になったと感じています。(休場)

参加したことによる、自分たちの成長

 SDGs ACTION! AWARDSへの参加は、自分がふだん課題意識を持っていることや、それに対するアイデアを発信する機会となり、とても良い経験となりました。自分たちの発表を聞いて共感してくださった方や、“月経貧困”について関心を持ってくださる方が沢山(たくさん)おり、自信にも繋(つな)がりました。参加を通して、「『なんとかしたい』という思いを抱えているだけでは何も変わらない。自分が出来ることは何かを考え、実践することが大事だ」と強く実感しました。また、受賞後は、多方面から注目を頂き、プロジェクトを知って頂ける機会が増えたと感じています。発表の場に留(とど)まらず、様々な人脈や発信の場を得ることができ、参加して良かったと心から感じています。(吉葉)

 初めて大きな舞台で自分たちのプロジェクトを発表することができてとても緊張したと同時に、とてもワクワクして充実感溢(あふ)れる貴重な経験をすることができたと感じています。発表するにあたり、プロジェクトの内容を練り直したり、どのように発表したら自分たちの考えをより効果的に伝えることができるか吟味したりすることがとても勉強になりました。(知念)

 「月経貧困」という課題についてより多くの人に知ってもらえるきっかけとなったことがとても嬉しかったです。月経はどこかタブーの意識があり、社会では「見えない領域」です。それについてアワードで発表できたことはとても意義があることだったと思います。何より嬉(うれ)しかったのは、私たちの発表に対して「いいね!」と言ってくれた人が沢山いたことです。「いいね!」から始まる連帯の輪をさらに広げていきたいと思うようになりました。また、今回の受賞をきっかけにチームの結束力と実行に対する意志が強まりました。(休場)

今年の参加者へメッセージ

 SDGs ACTION! AWARDSには、たくさんのチャンスや刺激、出会いがあります。受賞してもしなくても、きっと後悔のない、有意義な経験になると思います。ぜひ、熱い思いやアイデアを、自信を持ってプレゼンして欲しいと思っています。本番はとても緊張するかと思いますが、応援しています。(吉葉)

 自分たちのプロジェクトを言葉にして誰かに伝えることができるとても良い機会であるうえに、他のプレゼンターのユニークなアイディアを聞くことができて、これからの人生においても忘れられない貴重な経験をすることができると思います。ぜひ多くの人に知ってほしいし、挑戦してほしいです。(知念)

 これを読んでいるあなたには必ず何かしらの想いがあると思います。想いは語ることでしか、伝わりません。語ることで共感を生み、糸が紡がれるように形になっていきます。皆さんの素敵な想いを聞かせてもらうのを楽しみにしています。(休場)


スタディツアー 瀬戸内町×JAL賞
麻布大学「AGM Project(あおねグリーンマッププロジェクト)」

三橋晴香、西山香瑠

※受賞者の生の声を生かすため、リポートを原文のまま掲載しています。

 AGM Project(あおねグリーンマッププロジェクト)は、学生が中心となって活動している団体です。企業・地方自治体・団体・子ども・若者が、一緒になって自分たちの地域を見直し、持続可能性を考えて行動につなげられるよう、手軽に取り組める仕組みをつくり、世界中に広げる活動を進めています。

 活動のきっかけとなったのが「グリーンマップ」です。自然や文化、環境に配慮した暮らしを表す「アイコン」を使い、自分たちが住む街を見直しつつ自分たちで作る地図で、世界65か国で作られています。

 アイコンは「グリーンマップアイコン」と呼ばれ、世界共通で使われています。何を表しているのかが、子どもや高齢者など誰にでもわかりやすいというメリットがあるほか、単なる地図記号ではなく、持続可能な社会の実現に必要なテーマも表現しています。

 ただ、このグリーンマップには弱点がありました。作るだけで終わってしまい、見直して活用したり、行動したりすることができないという点です。

 そこで私たちは、グリーンマップをSDGsと関連づけ、地域の未来を描ける地図にした「SDGs未来グリーンマップ」を開発しました。グリーンマップアイコンにより環境、資源、課題などを「見える化」し、「地域の人と協力して作る」という特性をいかして自分たちが住む街を見直しつつ、環境に「良いもの」「悪いもの」を表すことができる地図です。

 これを使うことで、多くの人がSDGsを自分のこととして捉え、未来に向けて行動するきっかけにしてもらいたい——私たちの「SDGs未来グリーンマップ」には、そんな思いが込められています。

 昨年の「大学SDGs ACTION! AWARDS 2020」では、この「SDGs未来グリーンマップ」について発表し、「スタディツアー瀬戸内町×JAL賞」を受賞することができました。

 受賞をきっかけに大学から働きかけがあり、私たちのAGM Projectは大学公認の「学生団体」となりました。現在、学生だけでなく社会人も含めた約25人の仲間とともに、「SDGs未来グリーンマップ」をより多くの人に知ってもらえるように、活動を続けています。

写真=麻布大学チーム提供

 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの活動にも大きな影響を与えました。そもそも、大学の授業もオンライン中心となり、さらにこれまではなかったグループ分けもされるようになりました。同じ学科の同じ学年の友人であっても、顔を合わせる機会がほぼないような状況です。

 AGM Projectの活動は、現地に実際に足を運んで住民の方とお会いすることで広がっていきます。しかし、この状況ではなかなか実現が難しいのが現状です。全国各地から依頼をいただいていた講演や出張ワークショップも、すべてキャンセルとなってしまいました。

 メンバー同士の打ち合わせ会議もすべてオンラインとなるなか、この状況で何ができるのか、模索を続けています。

 ただ、今回の受賞で機会をいただいた鹿児島県瀬戸内町へのスタディツアーだけは絶対実現したいと思い、昨年3月の受賞直後から準備を進めてきました。

 今回のスタディツアーは、奄美大島の南部にある瀬戸内町西古見地区におうかがいし、「SDGs未来グリーンマップ」を活用して、住民の人たちとともに地域の良さを発見することが目標でした。

 まず自分たちがSDGsやグリーンマップについて、さらに勉強して理解を深めることから始め、瀬戸内町役場の担当者の方とも電話やZoom、メールで何度も連絡を取り合いました。

 現地で行うワークショップの企画や設営も私たちの仕事です。今回のツアーを実現するためには、通常の準備に加えて新型コロナ対策も重要なポイントでした。

 最初は、机や椅子の間隔をどれくらい取ればいいのか、消毒はどのようにすればいいのかといったことも手探りでしたが、私たちが普段、大学で学んでいる衛生に関する知識も役立てながら、手作りでマニュアルを作っていきました。

 そして昨年9月、学生と社会人合わせて16人で、瀬戸内町を訪問することができました。

 私たちが活動を展開した西古見地区は、奄美大島の西側にある小さな集落です。瀬戸内町の中心部からさらに車で2時間ほど掛かり、車ではなく船で移動した方が速い場合もあるという、そんな場所にあります。

 自然が豊かで、釣りやホエールウォッチング、夕日がきれいに見えるスポットなどの観光資源もある一方、人口減少が止まらず、その対策もできていないのが現状でした。

 新型コロナの問題は、現地でも発生しました。事前に想定していた施設が、急遽使えなくなってしまったのです。まずは会場の椅子・机を確保するところから始め、事前に考えていた配置や進行案なども、すべて作り直しました。

 それでも、現地の方の案内でツアーをして、マップ作りを始めると、新たな発見がありました。

 一見、きれいに見える海も、漂着するごみを住民のみなさんが片付けているという現実がありました。その一方で、色彩が鮮やかな南国の鳥は、現地の人たちにとっては当たり前の存在でしたが、私たちは観光資源になると指摘。新しい視点を提供したことで感謝されました。

 住民、学生、公務員など、様々な視点を取り入れて「SDGs未来グリーンマップ」を作ることで、全員の視点が共有され、地域の様々な特徴や問題点を「見える化」できることが、マップ作りの最大の長所です。

 私たちはスタディツアーから戻った後も、現地で書ききれなかった特徴を書き加え、瀬戸内町にマップを送りました。フェリーを活用した観光開発や、海岸に打ち上がるサンゴを活用したアクセサリー作りなどのワークショップなど、住民のみなさんを元気づけられるような提案を続けていきたいと思っています。

 私たちのプロジェクトはもともと、「グリーンマップ作り」というテーマで緩いつながりを持った団体でした。

 2019年夏ごろにSDGsとグリーンマップの連携というアイデアを実現するために動き出し、その年の10月にAGM Projectとしてスタートしました。

 SDGsや地域のまちづくりに興味があっても、何から始めたらいいのかわからない、という人は少なくないと思います。そういう人たちを支えたいというのが、私たちの活動の重要なコンセプトです。

 思いついたことをどう表現するか、この「見える化」がマップ作りの原点です。行動に「正解」はありません。マップ作りを通じて様々な人たちと一緒に行動を起こすことで、ちょっとした思いつきをかたちにすることができればと思っています。

 これからも、たくさんの方々と一緒に活動を続けていきたいと思っています。私たちと一緒に「SDGs未来グリーンマップ」で未来を描いてみませんか?


スタディツアー 下川町×JAL賞
大妻女子大学「Yellow Dream Project~持続可能な女性支援プロジェクト~」

重松詩乃、丸山千裕、原稚葉

※受賞者の生の声を生かすため、リポートを原文のまま掲載しています。

 私たちは主に大学卒業後保育園、幼稚園、小学校の先生になることを目指した学科に所属していて、ゼミではアートを通して子どもたちのイマジネーションや創造性を豊かにすることを学んできました。ネパールの子どもたちの教育支援を長年続けてきたゼミの先生から「村のためにアートは何ができるか」という問いがあり、それが今回の活動の出発点にありました。

 最初は竹なら現地でも手に入るというので、みんなで竹笛を作ったり、竹の飾り物を考えたりしました。先生から支援を続けている2015年の大地震で大きな被害を受けた村ではウコンを栽培しているけれども、布をウコンで染めることは知らないみたいだという話を聞きました。そこでゼミの活動としてウコン染めに挑戦することにしたのです。ウコン染めはもちろんのこと、染色もほとんどやったことのない私たちでしたので、まずは化学染料で黄色に染めるところから始めました。真っ白な布が美しい黄色に染まるのは新鮮な体験でした。ウコン染めについてもいろいろ調べて、色を定着させるためにはどんなものを使ったらよいかなど実験してみました。

 そんなとき、大学の掲示板に貼ってあったポスターを見て大学SDGs ACTION! AWARDSのことを知ったのです。締め切りまで数カ月しかありませんでしたが、ゼミでの活動の方向と一致していたのでゼミのメンバー全員でチャレンジすることにしました。正直なところ、それまでSDGsについての知識もあまりなかったのですが、AWARDSが具体的な目標になると、ネパールの村の持続可能な発展のために何ができるのか真剣に考えるようになりました。ゼミのメンバーは13名いますので、それぞれの得意分野を生かして進めることにしました。裁縫が得意なメンバーは染めた布でクッションカバーなどの試作品づくり、文章が得意であれば、応募の文章作成、映像に関心があれば、提出する動画の撮影と編集といった具合です。ゼミの時間以外にも、昼休みや授業が終わった後の時間を使って準備をしました。本番のステージまで進み、最終的にスタディツアー下川町×JAL賞を受賞することができたとき達成感というものを感じました。

 ネパールもロックダウン状態になり、ムラバリ村の村人たちも村の外に行けない状態が続いています。幸い、この村にはまだ感染者が出ていないそうですが、病院のないこの村でひとりでも感染者が出たらたいへんなことになってしまいます。最近もこのプロジェクトの現地でのコーディネイターを引き受けてくださっている村の学校の先生から、マスクのない村人のために200人分のマスクを配ったという話を聞きました。私たちのプロジェクトからもマスクの寄付を考えています。日本でもウコン染めのマスクが販売されているので、使い捨てではないウコン染めのマスクの作り方も伝えられたらと考えています。

写真=大妻女子大学チーム提供

 コロナ禍の状況の中でも、ムラバリ村でYellow Dream Projectが着実に進んでいることもあります。受賞後、Yellow Dream Projectの計画の中にあった黄色い果物を植えるという計画の一部として春に植えたミカンの苗が育っているという報告がありました。コロナによるロックダウン状態であっても、スマホを使ってネパールの山奥の村とも連絡を取り合うことは可能です。

 また、村の女性たちの手によって新しく染めた布のカーテンの写真も送られてきました。昨年から竹を用いた村の集会所の建設が進められていますが、私たちのYellow Dream Projectにちなんでその建物の壁をライトイエローで塗ることにしたという写真も送られてきました。正に持続可能な発展を象徴する建物だといえるでしょう。このように私たちの始めたプロジェクトが形になってくるのを見るとほんとうに嬉しくなります。振り返ってみると、このプロジェクト自体がクリエイティヴなひとつのアートだったようにも思います。

 私たちはこの3月に大学を卒業することになりますが、Yellow Dream Projectのことをゼミの後輩に伝えていくとともに、卒業してもゼミの仲間たちと何かの形でこのプロジェクトをサポートしていきたいと考えています。

 新型コロナウイルスの感染状況が拡大し、残念ですが、北海道下川町へのスタディツアーの機会も実現できないまま卒業を迎えなければなりません。コロナの問題がいつ解決するのか、何年先なのか、まったく予想がつきませんが、終息したときには、社会人としてさまざまな職場で働くゼミのメンバーみんなで北海道の下川町を訪れ、このプロジェクトの将来について語り合えたらと思っています。

 私たちは受賞するまでのプロセスで多くのことを学ぶことができました。このような素晴らしい機会を提供してくださった方々に改めて感謝したいと思います。ありがとうございました。

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