「普通」って、なに? 小説「ニキ」から考えるDIALOG学生部ラジオ:朝日新聞DIALOG
2021/10/19

「普通」って、なに? 小説「ニキ」から考える
DIALOG学生部ラジオ

By DIALOG学生部

BGM:MusMus

 普通の考え、普通の暮らし、普通の生き方……ついつい使ってしまう言葉ですが、そもそも「普通」って、なに?

 「自分は普通ではない」と考えて生きてきた高校生の主人公が、「人には言えない秘密を持った」美術教師との出会いをきっかけに、何かを変えようともがく姿を描いた青春小説「ニキ」を題材に、大学生が考えます。

 

語り合ったメンバー
 うちこ(大学2年) 揺さぶられた「普通」 出版社の覚悟も感じた
 あき (大学3年) 留学、インスタ……見直した自分の「イタさ」
 さち (大学1年) 「変」は良さ 本当の自分は貫き通したい

(2020年10月収録。学年などは当時のものです)


「ニキ」(夏木志朋・著、ポプラ社)

 高校生・田井中広一は黙っていても、口を開いても、つねに人から馬鹿にされ、世界から浮き上がってしまう。そんな広一が「この人なら」と唯一、人間的な関心を寄せたのが美術教師の二木良平だった。穏やかな人気教師で通っていたが、それは表の顔。彼が自分以上に危険な人間であると確信する広一は、二木に近づき、脅し、とんでもない取引をもちかける——。嘘と誠実が崖っぷちで交錯し、追い詰め合う二人。生徒と教師の悪戦苦闘をスリリングに描き、読後に爽やかな感動を呼ぶ青春小説。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。

 

私たちはしゃべりたかった。

「このままならない世の中に、答えなんてない」
大人たちはいう。

同じ口で大人は希望を語る。
「進め、行動してみよう。だって、若者には、未来があるのだから」

ある大人が問うた。
「生きづらくないですか?」

よくわからなかった。
相反するものを、未完成のこの身体に押し込めているのは誰だ。

私たちはしゃべりたかった。
まだ何者でもない、ただの大学生だけれど。
気になること、モヤモヤしていること。
大切にしていること。

言葉は難しい。
それでも、伝われと願うから。

私たちはしゃべりたかった。
だから、
ラジオをはじめる。


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