イギリス留学→現地就職 海外ではばたく チャンスをつかむ佐々木桃美さん×DIALOG学生部:朝日新聞DIALOG

イギリス留学→現地就職 海外ではばたく チャンスをつかむ
佐々木桃美さん×DIALOG学生部

By 猪又玲衣(DIALOG学生部)

 自分の環境を変えるきっかけは思っている以上に身近にあるのかもしれません。一歩踏み出してみたのなら。

 佐々木桃美さん(26)は日本で小中高の学校生活を送った後、イギリスの大学に留学。現地で就職し、インフルエンサーマーケティングの分野でマネージャーを務めています。現地で就職した人の話を聞く機会は少ないのではないでしょうか。選択の理由をDIALOG学生部メンバーに語ってくれました。

イノベーターセッション DIALOG学生部は、若い起業家やアーティスト、社会活動家など、明日を切りひらこうとする人たちを定期的に招いています。活動への思いや生き方、めざす世界を共有して、その果実をDIALOGウェブサイトで発信します。

25歳でマネジャー 自分のチーム

——これまでの経歴と現在の職業について教えてください。

 高校は青山学院高等部に通い、イギリスのシェフィールド大学に進学しました。大学2年次にはドイツに交換留学にも行っています。その後、イギリスで現地就職し、マンチェスターのハットグループで働いて3年になります。業務内容としてはSNSマーケティングとPR、ダイレクトマーケティングを中心に行っています。

——日本の企業との違いはどんなところにありますか?

 現在自分のチームを持ち、部下が2人います。25歳でマネジャーになったため、日本の企業よりも全てが速いスピードで進められていると感じています。

英語大好き 周りから浮いて…

——仕事の楽しさについて教えてください。

 先日、YouTuberの東海オンエアさんとのコラボ動画がアップされました。そのような著名なインフルエンサーとやりとりを行い、仕事を行うことができるのは大きな企業ならではです。また、ダイレクトマーケティングは売り上げを全て目視でき、リンクからの売り上げなのか、広告からの売り上げなのか全て数字わかるのは面白いです。

——英語にハマったきっかけについて教えてください。

 小学校で友達に『ハイスクール・ミュージカル』を借りたことがきっかけです。小学4年生のとき、近所に有名なECCの先生がいて、英会話のレッスンに通い始めたこともあって英語にハマりました。自分で工夫しながら勉強して、話せるようになるのが楽しかったです。

 地元の中学に進学すると、海外好きで英語が話せたため、外国人のように扱われて、周りから浮いていました。

国連に入りたい 高校時代の夢

——海外の大学に進学しようと考えたのはなぜですか。

 私が通っていた高校では、英語が得意な人が多く、レベル別の英語のクラスでは帰国子女が3分の1ほどいました。その中で高い評価を得ることは難しく、10段階中10の評価を取ることができたのはフランス語のみでした。

 そんなとき、高校の近くにある国連大学で無料の講義に参加して、国連に入りたいと考えるようになりました。「国連に入るなら英語はマストだよな」と思って、英語圏への進学を考えるようになりました。

——大学での経験を教えてください。

 最初の1年間が一番大変でした。大学進学の前段階にファウンデーション(基礎固め)コースというものがあるのですが、そのコースの学期末テストのスコアで進む学部が決まります。なので、例えば政治学部に行きたい場合でも、数学などの科目もクリアしなければいけないんです。達成しなければいけない点数が決まっていることがとてもプレッシャーで、泣きながら勉強していました。

アジア人でよかった 優しさに触れた

——自我の崩壊や、アイデンティティーを見つめ直す機会などはありましたか。

 私は日本で育ち、日本語ネイティブの「ザ・日本人」なので、そこまでのアイデンティティーの崩壊はありませんでした。ただ、自分自身のことを「アジア人」なのだと再認識する機会にはなりました。

 日本にいるときには中国人、韓国人と分けて考えることが多いですが、ヨーロッパにいると、東南アジアも含め、「アジア人」というカテゴリーになります。

 私がアジア人であることで、助けてくれたり優しくしてくれたりする子が多く、アジア人でよかったなと感じました。アジア人として生活する中で、この見た目とかアイデンティティーを受け入れる環境を経験し、これでいいのだと、これが私の個性なのだと考えるようになりました。

多様性に出会う 柔軟に受け入れる

——異文化の受け入れにくさなどはなかったですか。

 こちら側に「受け入れよう」とする姿勢があれば大丈夫です。ロシア人と理解し合うためにロシア語を学び、ロシアの食べ物を食べてみる。医学部生の恋人がいたときは、医師の国家試験の勉強会に一緒に行っていました。

——海外で学ぶよさ、魅力はありますか。

 日本では出会うことができないような、いろんな国の人に会えることが魅力だと思います。ドイツ留学をしたときには、シリア難民の人と食事をして、食べたことのないシリア料理も食べました。

 それに、実際に住んでみることと、オンライン授業だけを受けることは、だいぶ違います。今後、海外で働いてみたいと考えているなら、実際に住んでみないと超リスキーだと思います! 気候との相性、人との相性、治安などは住んでみないと分かりません。

 また、イギリスには、ソサエティーと呼ばれるサークルのようなものも、たくさんあります。

 私は保守党ソサエティーやティーソサエティーに入っていたのですが、そういった場所で、日本では出会えない人に会えることが楽しかったです。交流の中で、改めて気づく日本のよさがありました。大学生は新しい価値観や異文化を柔軟に受け入れることのできる年代だと思うので、いろんな国の人と交流することをおすすめします。

チャレンジしたいなら 覚悟を決めて

——高校生、大学生へメッセージをお願いします。

 海外に出るということを、身近に捉えてもらえるとうれしいなと思います。例えば、イギリスの場合、イギリスの大学を出れば2年間就労できるビザがもらえる制度があります。フランス、ドイツの公立大学では学費がとても安く抑えられます。また、私立大学の場合でも、ハンガリーなどは学費が安い。方法はいろいろあると知ってほしいです。

 あと、「人生のどこかでチャレンジしたい」と思っていたり、現状に不満を持っていたりするなら、変えるきっかけを作らなければいけないと考えています。それが私の中では高校への進学や、イギリスの大学に進学したことでした。「なんとなく、やだな」と思っているだけでは何も変わりません。どこかで覚悟を決めて変わろうとするのなら、大学進学や就職の際、海外という選択肢もあるのだということを思い出してみてください。

世界が舞台 チャンスを生かす
猪又玲衣(DIALOG学生部)

 「人生を変えるきっかけを自分で作らなければいけない」。この言葉がとても印象的です。

 佐々木さんのキャリアは自身できっかけやチャンスを見逃さず、その都度努力してきたからこそつかめたのだと思います。中学生や高校生の頃から自分はどうありたいのかを見つめ続け、選択肢を広げていくことは誰しもにできることではありません。佐々木さんはきっかけを逃さないということを私に教えてくれました。

 私は周囲の影響もあり、「早く就職先を決めなければ」「日本で働くことが無難」「海外に行きたいとしても、日本の海外支社のある企業に入ろう」などと考えていましたが、自分のキャリアを見つめ直し、何が自分に合っているのか考え直すよい機会となりました。「海外」という選択肢があれば、私を含む多くの若者の可能性が広がると思います。


佐々木桃美(ささき・もなみ)

 イギリス在住マーケター。1995年、千葉県生まれ。英シェフィールド大学卒業後、現地で就職。マイプロテイン日本市場のインフルエンサーマーケティングをはじめとしたマーケティング全般、PRを担当し、インフルエンサーのYouTubeへの出演も多数。撮影ディレクションや国内外でのイベント実施のため、主に日本とイギリスを行き来している。

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