防災から考える2050年 学生が社会人に授業複合災害 そのとき私は…インフラ企業の使命感:朝日新聞DIALOG
2022/03/11

防災から考える2050年 学生が社会人に授業
複合災害 そのとき私は…インフラ企業の使命感

【PR】明電舎、東亜グラウト工業

 私たちの暮らしには欠かすことのできない「社会インフラ」。その事業に携わる株式会社明電舎と東亜グラウト工業株式会社は、立場や世代の壁を越えて、もっと自由に未来への想(おも)いや価値観を語り合ってみようという声から、朝日新聞DIALOGとともにGuessイイ(下水イイ)!!プロジェクトに続く新たなコラボレーション企画に取り組んでいる。

 2050年はどんな世界になっているのだろう?

 私たちは、どこで、どんな暮らしをしているのだろう?

 想像の翼を広げる、そんな問いからスタートした企画は前回、学生や社会人が集まって話し合い、それぞれの価値観を共有した。

【前回】2050年——どんな自分?どんな世界?

 今回はそのときに得た学びを元に、大学生による社会人への「授業」を行った。

 講師役はDIALOG学生部の徳田美妃さん(教育学部3年)、保浦真美香さん(理工学部2年)、三嶋健太郎さん(経済学部3年)。そして、学生たちが悩みに悩んで選んだテーマは「防災」。若手社員とともに学び、考え、見えてきたのは、「想定外」にも立ち向かうインフラ企業としての大きな責任と、そこで働く一人ひとりの使命感だ。

(左から)講師役の保浦真美香さん、三嶋健太郎さん、徳田美妃さん

「生徒」として参加した社会人メンバー
《東亜グラウト工業》 本多さん、長谷川さん、大塚さん、横塚さん
《明電舎》 神前さん、前田さん、玉置さん
《レジリエンスラボ 沖山社長、伊東さん
  ※明電舎発のスタートアップ企業。防災・BCP対策に関わる事業を展開。

災害、そのとき 大切なのはBCP

 講師となる学生3人らは会場に集合し、授業はオンラインで配信する「ハイブリッド型」で開催した。受け手となったのは、若手社員から実際に業務で防災対策に携わる人まで、年代も担当業務も多様な社会人の参加者たち。世代や立場だけでなく場所の壁さえも超えて、様々なディスカッションが行われた。

 授業はまず今までの自然災害を振り返ることから始まった。東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、大阪府北部地震(2018年)を例に、そのとき自分は何をしていて、どんな被害があって、どんなことが印象に残っているか。それぞれの記憶を掘り起こしつつ、改めて自分の身に起こることとして防災対策を考えていった。

 ここでBCPというキーワードが提示される。Business Continuity Planの略で、事業継続計画のことをいう。緊急事態が発生したときに、企業の被害を最小限にとどめ、事業の継続や復旧を図る計画のことだ。

あらゆる事象を想定 でも…

 「あなたの会社のBCPは?」というテーマで、グループごとに話し合う。明電舎は「地震、風水害、感染症をはじめとする、事業の中断をもたらす可能性のあるあらゆる事象を想定しています」。東亜グラウト工業は「本社が東京都内のため、首都直下型・震度6弱以上の地震も想定しています」という。

 しかし、防災の意識を全社内に浸透させるには、課題もあるようだ。

明電舎・神前さん 先日、震度6強の地震があったときのシミュレーションを行う訓練がありました。どう情報を収集して、どうそれを共有していくのか。対策を社員一人ひとりがイメージする大切さを痛感しました。

東亜グラウト工業・梅林さん(事務局メンバーとして授業に参加)普段から意識しているかというと、あまり考えることはないなというのが正直なところ。考える機会を作るのはいいことですね。

大地震→ゲリラ豪雨→建物倒壊

 次に、具体的な災害を想定して、どのように対応するか。会社の防災対策を元に考えてみる。例えば、こんなシチュエーション。

朝の通勤途中に被災
8時20分 震度6強の揺れを観測。電車が緊急停止。
8時25分 ゲリラ豪雨発生。
8時30分 停電・通信障害発生。
8時50分 会社まで徒歩で向かう。解体中の建物が倒壊、水道管破裂などの被害。
9時20分 ゲリラ豪雨のため内水氾濫(はんらん)が発生。下水処理施設が損傷、未処理の水があふれ出る。

 困難に困難が重なり、「想定外」とも言える最悪のシチュエーション。文字どおり想定外の事象が次々に起きるなか、参加者は自ら「被災者」の立場で「もし自分なら……」と真剣に想像していた。

東亜グラウト工業・横塚さん 通勤途中の被災は考えたことがなかったですね。まずは慌てないことが大事だと思いますが、実際に被災したらパニックになりそうです。広域避難場所もすぐに見つけるのは難しいですし、その場にとどまるべきでしょうか。

明電舎・前田さん たぶん、私は何が起きたのかツイッターで情報を最初に集めると思いますが、停電と通信障害が発生しているので限界がありそうです。

 「通勤途中に被災」のほか「会社で被災」「テレワーク中に被災」のシチュエーションも用意され、グループに分かれてディスカッション。「災害対策に詳しい社員と連絡が取れない」「スマートフォンのバッテリー切れ」など、考えうる様々な困難な状況をどう打開していくかを話し合った。

一人ひとりが自己評価 結果は

 ディスカッションを終えた後は、これまでの会社や個人の防災対策を五つの観点で自己評価した。

 五つの観点とは……
・自分の命を守れるか?(安全性)
・業務にすぐ戻れるか?(実用性)
・誰でもどの状況でも実行できるか?(公平性)
・期限切れが近い備蓄品はないか?(循環性)
・対応できる体制を維持できるか?(継続性)

 例えば、レジリエンスラボの伊東さんは次のように評価した。

レジリエンスラボ・伊東さん 今回、私はテレワーク中での被災を想定しました。明電舎では、社員が初動で困らないよう災害対応カードが配られているので、それを元にしつつ、社員一人ひとりが感度を上げていくことが重要だと思います。また、自宅に水と食料の備蓄はある程度あるものの、電源は数時間程度の確保しかできていないことに気づきましたし、自宅近くの避難場所も改めて確認する必要があるなと思いました。

リアルなつながりこそ頼り

 授業の終わりに、講師役の学生がまとめとして語ったのは、デジタル化が進むにつれて希薄になる人間関係について。激甚化しているとされる災害に、私たちは立ち向かうことができるのか——。

DIALOG学生部・三嶋さん 今後ますます「自分で何とかする」という自己解決型社会、DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率性や快適性を求める社会になると思っています。確かに一人ひとりが高い能力を身に付け、効率よくやっていくことは重要ですが、何か歯車がずれた瞬間に、人とのつながりを煙たがる社会は逆に仇(あだ)となるのではないでしょうか。通信が切れれば「ただの箱」になってしまうデジタルデバイスもあります。災害にしなやかに対応できる社会にするためにも、人とのコミュニケーションやリアルなつながりを大切にすること。それが2050年、あるいはその先の未来をつくっていくと考えています。

まとめ
社会をよくする最強ツールは、やっぱりマンパワーなのでは?
 人と人との対話力∝幸せで豊かな社会
そのためには…
☑ フタツのセカイをバランスよく!
  仮想と現実を臨機応変に行き来。ちなみに、電話帳を見ずに何人と連絡とれますか!?
☑ 人との何気ないコミュニケーションを心がけよう!
  昨日、何人の人と話しました? 「初めまして」な人は? 誰かを褒めましたか?
☑ 変化を楽しめる、挑戦しやすい心理的安全性を!
  今後も避けられない自然災害。異なる価値基準を生かした盤石な社会をつくろう!

「インフラ企業 何としても社会を支える」

 最後に、参加者の気づきを紹介しよう。

災害へのアンテナ 高く張る(明電舎社員) いずれもインフラに携わる重要な企業であり、震災が起こった際は何としてでも事業を継続する必要があると感じました。その一員であるという自覚を持ち、災害に関してアンテナを高く張り、社会を支えていきたいと思います。

個人の力 企業の力 つながる力(レジリエンスラボ社員) 災害時の対応・BCPは、一人ひとりの意識・感度の高さと、企業としての行動指針、その両方が必要であると改めて認識しました。デジタルネイティブ世代のみなさまからのメッセージで、いくら社会が便利になろうとも、人と人とのつながりやコミュニケーションが重要であるということに、改めて気づかされました。

BCP・防災対策…多くを学んだ(東亜グラウト工業社員) 同じ会社内でもフロアや携わる業務によって考え方や実際にとる行動が異なることをより感じました。他社のBCPや防災対策についての意識を伺い、当社の対策についてより深掘りして考えることが必要だと改めて理解しました。

「30年以内に」気を引き締める(保浦真美香さん) 「30年以内に南海トラフ地震は発生します」。幼いころから聞かされてきた先生の常套句(じょうとうく)。しかし、大きな揺れは一度も体験せず、21年が経った。授業の参考にするため、大学での講義のノートやレポートを引っ張り出してきた。災害について真面目に考えるタイミングがたくさんあった。いやいや、この企画で多くの人と触れ合い、引き起こされたのか。確かに、人との交流こそが減災につながるのかもしれない。

触れ合う大切さ 伝え切れた(徳田美妃さん) 最も伝えたかったこと、それは「未来の災害と向き合う上で『人との関わり』を大切にすること」。減災や防災を今以上に意識していかなくてはならないと感じています。学生部メンバーでの準備は、全てオンラインで進めましたが、この状況においても人とのつながりの大切さを感じる場面が多くありました。これらの学びを今後の生活にも生かしていきます。

しなやかな社会 きっとできる(三嶋健太郎さん) 自由度の高いテーマ、リバースメンター、協働しての準備、ハイブリッド形式の授業進行。私にとって「初めて」の詰め合わせでした。無から有を生む大変さと面白さ、そして創造のタネは人との対話にあることを存分に体験した期間は、私にとって大きな財産です。人が主役の「災害にしなやかな社会」の実現に向けて、今をしっかり考え、出会いを大切にしながら生活しようと思います。

 「防災」を考えることは、すなわち未来を考えること。個人の目線で、会社の目線で、いまできること/やらねばならぬことを再確認できた「授業」だったのではないだろうか。

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