コオロギラーメン食べてみた 食の未来を考えた「エビやカニと同じかも」「これ蚕のフン?」:朝日新聞DIALOG
2022/08/20

コオロギラーメン食べてみた 食の未来を考えた
「エビやカニと同じかも」「これ蚕のフン?」

By 小原悠月、仲川由津、寺澤愛美(DIALOG学生部)

 虫を食べてみたい!……という企画案がDIALOG学生部の企画会議「集まれ!学生部」で出てきました。

 なぜ今、昆虫食なのか——。

 2050年に世界の人口は100億人近くに達すると予測され、食用たんぱく質の供給が追いつかなくなる「たんぱく質危機」が懸念されています。昆虫食は、生産しやすく環境に優しいたんぱく源として、注目されているのです。

 コオロギラーメンをはじめ、さまざまな昆虫食を提供するレストラン「ANTCICADA」を訪問。経営者の篠原祐太さんに話を聞いてきました。

 「A」とだけ掲げられたシンプルな外観の店に足を踏み入れると、コオロギの鳴き声が聞こえてきます。学生部メンバーはカウンター席に座り、メニューを眺めます。まずは全員でコオロギラーメン。そしてタガメハイボール、蚕沙(蚕のフン)ジェラート、佃煮(つくだに)コンプリートセット(コオロギ2種、イナゴ、カイコ、ザザムシ、ハチノコ)なども試しました。

 「体当たり」した学生部メンバーの感想は——。

※ザザムシは、長野県の伊那谷地域で食用とされるトビケラ、カワゲラなどの幼虫。

「珍しさ」入り口 バイアスに気づいた
小原悠月(DIALOG学生部)

(Q 虫を食べたことは?)ない (Q 食べた後のイメージ)甲殻類や魚介類と変わらない (Q おいしかったもの)蚕沙ジェラート、タガメハイボール (Q 食事で気をつけていること)旬の食材、その場所そのときしか食べられないものを選ぶ


 取材の後、道端でカメムシのような虫を見ました。東京育ちで虫を毛嫌いしていた私ですが、虫への独特の抵抗感がなくなっていました。

 エビやカニには抵抗感がないのに、同じような形をしている虫に抵抗感があるのは、勝手に否定的なバイアスをかけているからだと思います。

 幼いときから「虫は忌み嫌われるもの」として刷り込まれてきました。エビやカニとの違いは「食べるか食べないか」にも表れています。「食」は、生き物に対するバイアスを取り払うものだと思います。食べるという行為を通じて、虫の存在をより身近に意識することができるからです。

 「虫は特別な存在ではない。珍しいものとして取り上げられて一回きりにならないようにしていかなければいけない。そのために安い価格設定でやっている」という篠原さんの話が印象的でした。確かに私自身「珍しいものとして食べてみたい」という興味で参加しました。

 篠原さんの目標は、珍しい虫を取り上げて注目を浴びて終わり、ではありません。その先に、虫を身近に感じて可能性を知ってもらいたいという思いがあります。

 人間は、虫を含む多くの生き物に支えられて生きています。昆虫食は、生物が共存していく社会をつくる一助になるのではないでしょうか。

食べ物の食べ物は? 命の先に思いをはせる
仲川由津(DIALOG学生部)

(Q 虫を食べたことは?)ない (Q 食べた後のイメージ)まろやか (Q おいしかったもの)全部 (Q 食事で気をつけていること)安い材料でお腹を満たす
 


 昆虫食に興味を持ったのは「虫ってどんな味がするんだろう?」という怖いもの見たさです。虫には独特の苦みがあり、触感は柔らかそうだと思っていました。でも、実際に食べてみると、想像を超えるまろやかな味で、虫と言われなければ何も意識せず食べられると思います。

 特に衝撃を受けたのは、コオロギラーメンとタガメハイボールです。コオロギラーメンは麺や汁などいたるところにコオロギが使用されていて、その数なんと160匹相当! 味は背脂系と醬油系ラーメンをちょうど半分ずつ混ぜたような、あっさりとこってりの「いいとこ取り」でした。

 私がより魅せられたのは、同じ虫でも味の変化が楽しめたことです。篠原さんの話によると、同じ種のコオロギでも、汁向きのこってりした味になるか、素揚げ向きのあっさりした味になるのかが与えるエサによって変わり、それらを使い分けているそうです。

 タガメハイボールは原液が果実酒のようにフルーティーな香りで、味もさっぱりしていました。殺虫剤のような、鼻につくにおいをイメージしていたので、自分がいかに見当違いだったのかを痛感しました。

 肉や魚など生き物の命をいただく食事の新たな選択肢として、昆虫食が普及していくのではないかと考えました。

今日は虫の気分! そんな未来
寺澤愛美(DIALOG学生部)

(Q 虫を食べたことは?)ある(イナゴ、ハチノコ) (Q 食べた後のイメージ)おいしい (Q おいしかったもの)蚕沙ジェラート、タガメハイボール (Q 食事で気をつけていること)おいしさ、価格、健康への影響、旅先では珍しさ


 食べてみると、おいしい。けど、箸をつけるまでに葛藤がある。昆虫食にトライした感想です。

 祖父母の住む長野県では、地域によって昆虫食を食べる習慣があり、昆虫食のおいしさについて日常的に聞いていたり、実際に私も食べたりしていました。

 ですが、食べるときはいつも身構えてしまいます。今回も例外ではありません。コオロギやイナゴ、カイコ、ハチノコ、ザザムシの佃煮はシルエットが残っているので、食べるのには勇気がいりました。一方で、コオロギラーメンは一般的なラーメンと見た目が変わりませんでした。どれも香ばしくておいしく、クセになりそうで、最終的にはペロッと完食してしまいました。

 篠原さんは「研究を重ねれば重ねるほど魅力を引き出せる」と昆虫食の奥深さを語っていました。ラーメン向きのコオロギもあれば、味の濃い佃煮向けのコオロギもある。与えるエサや飼育環境で、味や風味が全く異なるそうです。

 「昆虫食ってちょっと面白そう」が入り口で、こうした昆虫のおいしさに気づく人が増えていけば、「今日は昆虫食の気分!」と、日々の食材の選択肢の一つになるかもしれません。

 私のお気に入りは、蚕沙ジェラートとタガメハイボール。ぜひワクワクしながら食べてみてほしいです。

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