飲み会ってもう古い? みんなで考えるハッピーアワーとり生・お酌…若い世代は お酒って免罪符かも:朝日新聞DIALOG
2022/11/17

飲み会ってもう古い? みんなで考えるハッピーアワー
とり生・お酌…若い世代は お酒って免罪符かも

By 寺澤愛美(DIALOG学生部)

 おいしいお酒が飲みたい! 飲み会の楽しい雰囲気が好き! でも、飲み過ぎるのは怖い——。

 みんなは、お酒とどんな付き合い方をしているのだろう。

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 もしかすると、飲み会ってもう古い? DIALOGメンバーが、飲み会の今と未来について語りました。

参加メンバーと一言
愛美(大学4年) 少人数・大人数問わず、飲み会は好き。1杯目はビール!
文香(大学4年) 少人数で飲むことが好き。緑茶ハイは二日酔いしにくい!
萌栞(大学3年) コロナ禍で大学関連の飲み会が少ない。ソルティードッグおすすめ。
有沙(大学3年) サークル飲みが多い。カルーアミルク、甘いのでぜひ。
(大学4年) 飲むのはノンアル。みんなのおすすめにチャレンジしたい。
夢真(社会人) アマレットジンジャーが好き。日本酒やワインもよく飲む。
※20歳以上限定で議論しています。

ハタチになった! でもコロナ

愛美 20歳になったのがコロナ1年目で、「人と会うな」という状況でした。コロナ以前は、大学生って20歳になればサークルやバイトの仲間と飲んだりするのが当たり前だったと思うんです。でも、私たちのときは集まること自体が禁止されて、お酒が飲める年齢になっても、飲む機会がほとんどなかったですね。少しずつ社会が動き始めてお酒を飲む機会も増え、最近は親しい友人と、よく飲みに行くようになりました。

文香 飲み会は月イチあるかないか。コロナ禍の初期、オンライン飲み会がはやった時期がありました。そのときは卒業してからなかなか会えていなかった中学校の同級生と、オンラインで集まることがありました。切れていた縁が復活することがコロナ禍で逆に増えて、すごく良かった。お酒も交えて話せたので、中学生のときとは違う感じで、大人の話ができました。

オンライン飲み ビミョーかも

 オンラインでみんながめちゃくちゃ酔っていて自分だけしらふだと、ビミョーになってしまいます。みんなが同じテンポで盛り上がっていくのを感じにくいから、リアルな飲み会のような楽しさは感じにくいかもしれないですね。

有沙 私もコロナ1年目に大学に入学しました。当時はサークルにも入れなくて……。最近やっと活動できるようになって、週に1、2回ほどサークルに参加しています。サークルの後、ご飯を食べに居酒屋さんに行って自然と飲み会になります。屋外で散歩しながら飲むこともありますね。コンビニで唐揚げを買って、公園や川沿いの広場みたいなところで。

カラオケ飲み曲 どこで飲む?

夢真 私の学生時代は週に1、2回はサークル仲間と飲みに行っていました。居酒屋の後、2軒目でカラオケに行くのが定番でした。お酒をたくさんコンビニやスーパーで買って、飲み曲で騒ぐ!っていうのは「大学生あるある」だったと思います。社会人1年目が終わるころにコロナ禍が始まってしまい、飲み会はなくなりました。今は旅行に行って各地の地酒を飲んでお土産に買って帰る、みたいな感じです。お酒の楽しみ方が、コロナ禍で変わったかもしれません。

 夢真さんは社会人で、学生メンバーとは年が離れています。そんな夢真さんから「一気飲みやコール、ゲームのような飲みカルチャーは今も健在?」と質問が投げかけられました。

  飲み曲はありますね。大塚愛さんの『さくらんぼ』は有名です。歌のここで飲む!とか、ここで指名して飲む!とか……知らないと、「え? どこで飲めばいいんですか?」ってなりますね。

愛美 コールやゲームは、脈々と受け継がれていると思います。ただ、私は少し苦手で、コールやゲームの種類を全然知らないんです。どうやって乗ればいいかわからなくて、困ることも多いです。

夢真 サークルで先輩と一緒に飲んだりしないと、そういった飲みカルチャーって受け継がれないもんね。

とりあえず生 とりあえず従う

 1杯目は「とりあえず生!」。「とり生」カルチャーは、どう映るのでしょうか。

萌栞 私は「何を飲む?」って聞いてもらえることが多くて、最初から好きなものを頼みます。今のところ「とりあえず生」に遭遇したことはないです。でも、私はビールが飲めないので、できることなら「とり生」カルチャーは変えたいですね。

有沙 私もビールが飲めなくて……。ビールを飲める人たちの中には、メニュー見るのが面倒っていう理由で「とりあえず生!」っていう人もいますね。

 私は、そういうときノンアルビールを頼みますね。

夢真 ノンアルでも、そこはビールに合わせるんですね。

愛美 私はもともとビールが飲めなかったんですが、「とり生」は暗黙の了解だったので周りにあまり「飲めない」と言えなくて。「まあ、頑張って飲もう」と繰り返し飲んでいたら、飲めるようになりました。

萌栞 年配の方はビールを頼みがちな気がする。社会に出たら会社などのカルチャーに従わなきゃいけないって思うのかもしれない。今は友だち感覚の人としか飲まないから、そんな気負いはいらないのですが。

上司と飲み会 説教会

 飲み会で「残念」と思ったエピソードに話題が移ります。「上司に誘われて飲みに行ったら説教会」といった経験はあるのでしょうか。

萌栞 20代から50代までという年齢層が幅広い大きな飲み会に参加したとき、残念だったのが、やはりボディータッチやセクハラです。お酒を飲んで心がオープンになるからこそ、普段できないような深い話ができるところが飲み会の良いところだと思うのに、変な方向にオープンにしちゃう人がいるのが残念。

文香 バイト先の社員さんと飲みに行ったら、社員さんがずっと一人でしゃべっていましたね。「こういうマインドでいなきゃいけないんだ!」みたいな話を熱っぽく語っていて、それを大学生6人で聞くという感じでした。説教体質なことを知らなくて、キャラ変ぶりにびっくりしました。

夢真 仕事関係の飲み会で、偉い人から若いころの自慢話を延々と聞かされて、周りの人が持ち上げる、みたいな場面はありました。会話のキャッチボールがうまくできればいいですよね。ボール投げっぱなしの人がいると疲れちゃう。でも、お酒を飲むと、何か言いたくなっちゃうんだろうな。普段から何か言いたいけど、我慢しているのかも。

お酌は女性? 変わりつつある

 お酌や食事の取り分けは女性の役割——。一昔前は、そんな雰囲気が当たり前でした。飲み会での男性の振る舞いは変わってきてはいますが、性別役割分担の意識について若い世代はどう感じるのでしょうか。

萌栞 嫌ですね。気配りができる人がやる!っていうならいいけど、女性だからやる!っていうのは嫌です。

夢真 下っ端だからやってるつもりなんですよね。「若い女だからやってんだな」って思われるのは、すごく嫌。でも、気配りできる人がやるとなると、動く人が限られてしまうんですよね。私は、年齢が近い男性に「一緒にやりましょう」って誘ってます。

有沙 お酒の場ではないのですが、実家で近いものを感じることはありました。家族みんなが食卓についているとき、「これ持っていって」って食事を運ぶのを手伝わされて、私と母と祖母が動いている、ということがよくありました。「女の子だから」って言われることはないけど、絶対に弟には言わないので、母にも「女の子がやる」みたいな潜在意識があるんだろうな、と思いました。

料亭政治 午後5時のシンデレラ

 ここでDIALOG編集部から問題提起です。子育て中は、午後5時を過ぎると子どものお迎えに行って晩ご飯を作って……のように忙しくなります。子育ては女性が担うことが多く、午後5時ごろに退勤しなければいけないので「午後5時のシンデレラ」と言えるかもしれません。一方、「料亭政治」と言われるように、夜の非公式の場で重要事項が決められることも多くあります。女性は、重要な意思決定に関わりにくいのではないでしょうか。

夢真 夜が深まるほど深い話になる傾向はある気がします。例えば、1次会よりも2次会のほうが参加者が少なくて、「さっきは言わなかったけど、この案どう?」みたいに仕事の話が始まって、気づいたら話がまとまっている、ということはありそうです。

愛美 意思決定の全てが夜に行われてしまうのは絶対に避けるべきだとは思います。でも「明日には忘れてる」みたいな空間だから、上司や同僚に本音で相談できるってこともあるかな?と思いました。女性がそういった「飲みコミュニティー」に入りづらいのは、難しい問題ですね。「ちょっと今から一杯!」から偶然生まれるコミュニケーションも圧倒的に少なくなってしまいますし……。

鎧を脱ぐ コーヒーじゃダメ

 「飲みーティング」に課題があるとすれば、お酒がないとダメ? コーヒーじゃダメ?という疑問につながります。

夢真 コーヒーや紅茶だと、やっぱり盛り上がらないのかな。アルコールって必須なんですかね。

萌栞 昼間、職場で話すのと、夜に飲みながら話すのとでは、明らかに話の質や内容は違いますよね。誰しも、人には言えないけど普段から思っていることってあるじゃないですか。アルコールの力を借りると、それが言えることがある。普段はみんな鎧(よろい)を着ているけど、鎧を脱いでもいい雰囲気が生まれると思いますね。自己開示が進むのかな。

愛美 飲みの場がうるさいっていうのも大事なのかも。昼間にカフェで大きな声で話したら、白い目で見られたり「なんだあいつら」って見られたりするじゃないですか。でも居酒屋だと、みんながオープンになって大丈夫な雰囲気があると思います。好きなようにしゃべっても不自然に思われないし、何を話していても気にされない。それでポンポン話が出てきて、普段話せないことまで言えるのかなって思います。

叫びたい 王様の耳はロバの耳!

萌栞 お酒って免罪符になりません? 「お酒入ってたから、忘れて~!」って。泣いても騒いでも大丈夫。感情をオープンにしやすいんでしょうね。

 飲みニケーションと言っても、居酒屋とバーとでは、質が違ってきますよね。バーだと静かだし。

 バー通いは、学生メンバーにはちょっと早いかもしれません。2時間近くに及んだ議論は、DIALOG編集長の「締めの一言」でお開きとなりました。

今村 バーにはバーテンダーさんがいて、自分の話を全部受け止めてくれるところがいいですよね。人間って、自分の中に何かをためたままにするのって、すごくストレスなんですよ。「王様の耳はロバの耳」じゃないですけど、根源的に「あの上司はひどい!」とかって誰かに言いたくなっちゃうんでしょうね。でも、現代社会にはそれを吐き出せる場所が少ない。たまには本音をこぼせる場所が、あってもいいかもね。

本当の自分に帰れる場所
寺澤愛美(DIALOG学生部)

 大人はなぜ、こんな苦いものをおいしそうに飲んでるの? なぜ、そこまで飲みたがるんだろう?——初めてお酒を飲んだときに頭をよぎった疑問がよみがえりました。

 最近、お酒を飲みたくなる理由が少しずつわかってきた気がします。それは、お酒を飲むと心が少し緩むから。お酒を飲み、たわいのない話をしながら、相手の本音や悩み、野望がポロッとこぼれる瞬間に何度も立ち会いました。

 忙しい毎日の中で、自分の気持ちを押し殺し、歯を食いしばって踏ん張っている人がたくさんいます。内に秘めた思いを、誰かに聞いてほしい。誰しもそうだと思います。お酒は本当の自分に戻るための、切り替えスイッチなのかもしれません。

 酒は飲むとも飲まれるな。でも、お酒を飲んで相手の素顔が垣間見える瞬間が私は好きです。みんなが自分らしく楽しめる飲み会、増えてほしいな。

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