世界中でカエルなど両生類に壊滅的な被害を与えているツボカビの新しいタイプが国内に50種類いることを、国立環境研究所(茨城県つくば市)のチームが確認した。海外ではこれほど多様なツボカビは見つかっておらず、日本では両生類と共生しながら進化してきた可能性も出てきた。今後、外来のツボカビによる国内への影響のほか、東南アジアでも実態を調べる。
ツボカビは欧米、中南米、アフリカなどで両生類を激減させ、生態系に深刻な影響を与えている。国内でも06年にペット用の輸入カエルから初めて確認されたが、野外での大量死は見つかっていない。
環境研の五箇(ごか)公一さんらは、国内各地で両生類の粘膜約5500検体を採取。うち、約160検体からツボカビが見つかり、遺伝子分析した結果、約60種類に分けられることがわかった。このうち、海外で報告されているのは約10種だけで、残りは新タイプだった。
一方、米国、パナマ、オーストラリアでも計約300検体分のツボカビを調べたが、数種類しか確認できなかった。海外ではこれまで15種前後が報告されている。
五箇さんは「日本では、両生類とツボカビが共存しながら進化してきた可能性がある。国内では大量死が起きていないことも説明がつく。ツボカビはアジアに起源があるのかもしれない」という。
ただ、国内の両生類が外来のツボカビにも抵抗力があるのか不明だ。五箇さんらは今後、東南アジア、中南米などでも実態調査する予定だ。
この結果は7日、奈良県で開催中の日本爬虫両棲類(はちゅうりょうせいるい)学会で発表した。(田之畑仁)