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生き物がすみやすい環境か 開発事業の影響を点数化

2008年12月31日20時49分

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 生き物にとって50年後もすみやすい環境か――。そんな観点から、企業の再開発事業について、生物多様性への影響を評価する認証制度「JHEP(ジェイ・ヘップ)」を日本生態系協会(東京)がつくった。生物多様性が守られる度合いを測る日本で初めての指標になる。

 開発による環境への影響は、道路やダムなど公共性の高い大規模事業では調査が義務づけられているが、これまで日本の植生に合った生物多様性の評価基準はなかった。

 近年、企業がビルの建て替えなどで「環境保全」を計画に盛り込む例が増加。しかし、芝生の緑地を設けたり、元の植生と違う木を植えたりしても生物多様性の保全効果は薄いため、そこにすむ生き物の食料や繁殖条件が守られているかという指標を使う。

 リスやアナグマ、カマキリなど、その土地本来の自然を象徴するいくつかの「評価種」を選び、樹木の密度や土壌の水分など生息環境を調査員が調べる。例えばニホンリスの場合、「主食の多さ」という指標はオニグルミの木の密度で、「巣をつくる場所が豊富か」は常緑の大木の密度で、「タカなど外敵から身を隠せるか」は上層まで伸びている木の密度で測る。

 評価では、土地を取得した年を基準に、それまでの開発歴などから過去30年間で失われたと考えられる生息環境を「過去の自然価値」として点数化し、今後50年間の影響を計画から予測した「将来の自然価値」の点数と比べる。

 過去より将来の点数が高い場合をAAA〜Aの5段階評価で認証し、低い場合は認証不可とする。銀行と連携し、認証レベルに応じて金利を優遇する措置を設けることも計画している。(平井良和)

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