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イノシシ前線北上中 日本海側の豪雪もなんの、被害多発

2009年3月14日15時3分

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写真富山市の林道脇で夜間に撮影された泥浴びするイノシシ=07年撮影(富山県自然保護課提供)

写真イノシシに荒らされた水田=07年9月、富山市(富山県自然保護課提供)

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 イノシシが日本海沿いを「北上」している。農作物被害も福井、石川、富山の各県の順に増え、新潟県南部でも被害が出始めた。豪雪地帯で本来はイノシシが生活しにくいはずだが、暖冬や里山の荒廃などの影響もあって急増している。農作物被害額がこの1年で3倍に増えた県もある。

 富山市中心部から車で約50分。岐阜県を源流とする神通川沿いに山田が連なり、すぐ横には杉林が茂る。5年ほど前の夏、農家の村田秀夫さん(74)は、穂が伸びた稲が一晩で泥の中にベタッと倒れているのを見て驚いた。「猟師に聞いて、初めてイノシシだと分かった」

 脚が短く、植物の根などを食べるイノシシは雪の多い場所は苦手だ。富山県内では江戸〜明治期に農作物被害や毛皮生産の記録があるが、大正末以降の捕獲はわずか。それが99年度から増え始めた。

 県自然保護課などによると、05年度に捕獲数が100頭を突破。農作物の被害は01年度から出始め、08年度には2823万円(2月現在)と前年度の約3倍に。

 西隣の石川県の捕獲数の増加は富山より約10年早い。環境省の調査では、25年で生息域も福井県境から金沢市まで拡大。石川県の農作物被害は07年度、1191万円に。同じ調査で約30年前は生息情報がなかった新潟県でも05年度から農作物被害が出ている。

 なぜイノシシの分布が広がっているのか。

 一つの理由は暖冬だ。富山市科学博物館主幹学芸員の南部久男さんによると、北陸3県と岐阜県飛騨地方の13観測地点で、イノシシの自然分布限界とされる「積雪30センチ以上の日数が70日以上」の地点は87年冬を境に、8から1に減ったという。南部さんは「移動しやすい川や丘陵地帯を伝い、北へと広がり、繁殖した」とみる。

 もう一つの大きな理由は里山の荒廃だ。草の茂る休耕地や耕作放棄地は、イノシシにとって格好の寝床や泥浴びの場。田畑の近くにあれば、そこへの侵入口にもなる。

 03年度に農作物被害が約1億円を超えた福井県は、電気さくの設置や有害獣捕獲を強化した。富山県は09年度を「対策元年」と位置づける。休耕地の草刈りなど「近づけない」工夫を記した対策マニュアルを配布。電気さくの設置方法の研修会も開く予定だ。(増田愛子)

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