営巣地では多くの黒いヒナが育っていた=伊豆諸島・鳥島、長谷川教授提供
営巣地では多くの黒いヒナが育っていた=伊豆諸島・鳥島、長谷川教授提供
1949年の絶滅宣言から60年。伊豆諸島・鳥島で育つ国の特別天然記念物アホウドリのヒナが初めて300羽を超えたことが長谷川博・東邦大教授の調査でわかった。
昨年12月の調査では島全体で418個の卵があった。4月からの今回の調査で306羽のヒナが育っているのを確認した。2月に小笠原諸島・聟島(むこじま)に15羽移送しているので鳥島生まれのヒナは321羽となる。移送した15羽を除いた繁殖成功率も73%を超え、長谷川教授が調査を始めた76年以降で最高となった。
島の南側にある従来の営巣地は火山灰が流れて不安定なため、92年から島の北西斜面にデコイ(模型)を置いてアホウドリを呼び寄せていた。その新営巣地でも37羽のヒナが育ち、順調に新営巣地のアホウドリが増えている。無事に巣立つと鳥島のアホウドリは推定2360羽となる。
ただ、新営巣地はまだ50つがい。長谷川教授は「従来の営巣地には常に砂が流れ込む危険があり、保全を続けることが大切」と話す。