経済産業省と自動車業界は19日、電気自動車(EV)に搭載された蓄電池を活用して、夏のピーク時の電気使用を抑える検討を始めた。東京電力管内を中心に電力の需給はここ数年、ひっぱくした状況が続くとみられ、普及が進むEVの蓄電池を、将来的に電力不足の解消にいかす考えだ。
経産省の「自動車戦略研究会」が同日、初会合を開き、トヨタ自動車の豊田章男社長やスズキの鈴木修社長兼会長ら自動車大手首脳が出席し検討が決まった。
検討する仕組みは、電気をあまり使わない夜間に家庭のコンセントを通じてEVの蓄電池を充電。電気が足りなくなる暑い日の昼間は、逆に車の蓄電池にたまった電気を家に流して、電力会社の供給量を抑える。
背景には、東日本大震災の被災地でEVが活躍したことがある。震災発生当初はガソリンが不足したが、コンセントから充電すれば動くEVは走行できた。
研究会は、自動車などからの電気供給量を把握し、その分だけ電力会社からの供給量を抑える「スマートメーター」の導入や、車から家に電気を送る技術的課題を協議していく方針だ。
このほか自動車部品の共通化で生産コストを下げ、国内生産の競争力を高める空洞化対策も検討。6月をめどに議論をまとめ、政府の新成長戦略実現会議の議論に反映させたい考えだ。