対談 東京五輪公式映画監督と語る|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

対談
東京五輪公式映画監督と語る
映画監督 河瀬 直美
聞き手 朝日新聞編集委員 石飛 徳樹

自然への畏怖、共存の鍵

河瀬 直美さん

「東京五輪公式映画監督と語る」と題した対談では、映画監督の河瀬直美さんが登壇した。河瀬さんは、出身地で今も暮らす奈良の美しい自然を描写した作品や、監督として手がける2020年の東京五輪公式映画について語った。

カンヌ国際映画祭で最年少の27歳でカメラドール(新人監督賞)に輝いた「萌の朱雀」(1997年)の撮影では、カメラマンから「風の通り道を見ろ」と言われたエピソードを紹介。風鈴が風に揺れるショットで、ひたすら風が吹くのを待ったという。「昔の人は経験の中で、自然の言葉のようなメッセージを読み取っていた。あんなに豊かな撮影はなかった」と振り返った。

自然との共生をテーマに作品を撮影してきた河瀬さん。地方の山あいや海沿いに生きる人には、自然への畏怖(いふ)、畏敬(いけい)の念があると感じてきた。「その感覚は、自然と対峙(たいじ)したときの生き方や哲学に通じる。世界や地球に通じる平和、共存のヒントが絶対にある。それを映画で伝えたい」

21年完成予定の東京五輪公式映画にも話題が及んだ。現時点では誰が金メダルをとるのかも分からず「映画でいうと、キャスティングもされていない状態。ドキュメンタリーは先が分からないからこそ、ドキドキワクワクで、ある種の冒険」。「どれだけ面白い物語を作り上げられるか。私にしかできないものをつくらないと意味がない」と意欲をにじませ、「具体的な内容は何も言えません」と笑いを誘った。


<河瀬直美> 映画監督 1969年生まれ。カンヌ国際映画祭など各国の映画祭で受賞多数。代表作は「萌の朱雀」「殯(もがり)の森」「あん」など。東京五輪の公式映画監督に就任。

PAGE TOPへ戻る