パネル討論 東京オリンピック・パラリンピックはSDGsに応えられるか|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

パネル討論
東京オリンピック・パラリンピックはSDGsに応えられるか
元マラソン選手 有森 裕子
日本スポーツ振興センター理事・新国立競技場設置本部長 今泉 柔剛
コーディネーター 朝日新聞スポーツ部記者 前田 大輔

スポーツの目的、考える機会に

今泉 柔剛さん

スポーツの祭典、2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、夏季大会として初めて、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った大会運営を目指す。なぜ、スポーツに持続可能性が求められているのか。完成間近の新国立競技場などを事例に探った。

競技場をめぐっては、まず、日本スポーツ振興センター理事の今泉柔剛(じゅうごう)さんが、建設費が膨らんで白紙撤回に追い込まれた旧デザインは「全天候に対応できたが、空調にエネルギーが相当量必要だった」と指摘した。そのうえで、現行の建築家・隈研吾氏によるデザインは、大きなひさしが客席を覆うようにしたり、風通しをよくしたりして環境への負荷を抑えたことで、「むしろSDGsに対応できるポテンシャルを持っている」と語った。


有森 裕子さん

スポーツとSDGsの関係については、女子マラソン五輪メダリストの有森裕子さんが「スポーツ自体がSDGs的な要素を含んでいる」とし、実例として、自らがカンボジアで20年来支援してきたハーフマラソン大会の体験を語った。

内戦後の荒廃が続く1996年に開かれた初回の大会では沿道の子どもたちは無表情だったが、翌年の2回目には、街中の人々が大会を心待ちにしていたという。「たった一つのマラソン大会が人や国を動かせると知った」と振り返った。

有森さんは、ニューヨークマラソンががん患者の支援を目的にしていることを紹介し、「日本では『何時間で走った?』という会話になるが、海外では『何のチャリティーだった?』と聞かれる」と、マラソン大会の社会的な意義を説明。東京オリンピック・パラリンピックについて、日本人がどんな目的でスポーツをするのかを考えるために「ものすごく大事な時期になる」と語った。

<今泉柔剛> 日本スポーツ振興センター理事・新国立競技場設置本部長。1969年生まれ。94年、文部省(現文部科学省)入省。スポーツ庁国際課長などを経て、2018年から現職。

<有森裕子> 元マラソン選手 1966年生まれ。バルセロナ、アトランタ両五輪のマラソン競技メダリスト。途上国のマラソン大会支援などスポーツを通じた社会課題の解決に尽力している。

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