主催者あいさつ|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

主催者あいさつ
朝日新聞社代表取締役社長 渡辺 雅隆

渡辺 雅隆

本日は、「朝日地球会議2019」にご来場いただき、誠にありがとうございます。

この連休中、日本列島を直撃した台風19号は各地に甚大な被害をもたらしました。いまなお被害の全容がわからないというたいへんな状況の中にあります。亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

さて、今年の朝日地球会議のメインテーマは「ひらかれた社会へ 多様性がはぐくむ持続可能な未来」です。今回の台風19号も無縁ではないと思いますが、異常気象に起因する自然災害が世界各地で起き、地球温暖化への対策は待ったなしの状況です。9月、ニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミットで、スウェーデンの16歳の環境活動家・グレタ・トゥンベリさんは、各国のリーダーにこう訴えました。「若者たちはあなたたちの裏切りに気づき始めている。もし私たちを見捨てる道を選ぶなら、絶対に許さない」と。怒りの涙を浮かべて訴えるグレタさんの厳しい表情をご記憶の方も多いと思います。サミット直前には、世界160カ国以上で、400万人を超す若者の一斉デモもありました。私たちは行動を起こした若者たちの思いを、しっかりと受け止めなければなりません。この地球で、これからも豊かに、そして安心して暮らす権利を、次の世代に引き継ぐことは、私たちの責務だと思います。

しかし、世界のリーダーたちの足並みは揃っているとは言えません。アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権はパリ協定からの離脱を決め、貿易による自国の経済的利益を巡って中国と対立を続けています。中東に目を向ければ、サウジアラビアの石油施設への攻撃を巡って米国とイランが対立を深め、平和が脅かされています。一方、南米では世界最大の熱帯雨林アマゾンが大規模な火災に見舞われ、その背後には、森林保護よりも開発を優先するブラジル・ボルソナーロ大統領の政策があるとも言われています。日本も、隣国・韓国と政治レベルの対立を深め、地球規模の課題に向けて地域で協調していく態勢からはほど遠い状態が続いています。

互いの違いを受け入れ、認め合い、多様性を大切にする。人種や性別、宗教や政治的な信条などに基づく差別や対立を超え、違いや差異に寛容で持続可能な社会を実現していく。そのために私たちはいま、何をすればよいのか――。この3日間、朝日地球会議で、みなさまとじっくり議論を深めていければと思っています。

今回、皆さんと議論するにあたって考えてきたいテーマの一つに、「AI=人工知能との向き合い方」があります。スマートスピーカーや自動運転など、AIはすっかり身近な存在になりました。しかし、生活が便利になる一方で、雇用が奪われるのではないか、教育格差が広がるのではないか、ひいては民主主義のあり方にも影響してくるのではないか、といった指摘もあります。

本日はまず、キャスターの国谷裕子さんにご登壇いただき、インターネット回線を通じ、ポツダム大学教授で地球環境問題の第一人者であるヨハン・ロックストロームさんと地球環境に対する国際社会の取り組みについて語り合っていただきます。その後、民主主義研究で有名な国際政治学者のヤシャ・モンクさん、AIやビックデータが社会に与える影響について発信しているキャシー・オニールさん、日本を代表するAI研究者の新井紀子さんらに、AI時代の民主主義のあり方について議論していただきます。

明日16日は、スポーツや医療、地方自治、ビジネス、ジェンダーなど、様々なフィールドで活躍される方々から、地球規模のそれぞれの課題解決に向け、知恵を出し合ってもらう場となります。会場の皆様からも、ご意見、ご質問をいただき、幅広く、深みのある議論にしていきたいと思っています。その模様は、朝日新聞の紙面や朝日新聞デジタルでも詳しくお伝えしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

会議の開催にあたり、今年もまた多くの企業のみなさまからご協賛をいただきました。ご協力、ご後援も数多くいただきました。この場をお借りしまして、みなさまに、心より御礼申し上げます。

「ともに考え、ともにつくる」。私たちはこの企業理念のもと、よりよい明日を皆さんともに考え、語り、若い世代に引き継いでいきたいと考えています。またこの朝日地球会議が、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」への道筋を考える場になることを期待しまして、主催者の挨拶とさせていただきます。ご静聴、ありがとうございました。

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