対談 プラネタリー・バウンダリーと地球の将来|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

対談
プラネタリー・バウンダリーと地球の将来
ポツダム気候影響研究所理事 ポツダム大学教授(地球システム科学) ヨハン・ロックストローム
聞き手 キャスター 朝日新聞SDGsプロジェクト エグゼクティブ・ディレクター 国谷 裕子

化石燃料依存、「最終日」決める時

インターネット中継で参加の
ヨハン・ロックストロームさん

気候変動の現状と温暖化を防ぐために取るべき対応について、ポツダム気候影響研究所理事のヨハン・ロックストロームさんとキャスターの国谷裕子さんが対談した。ロックストロームさんは家族の事情により、ドイツから動画中継で参加した。

記録的大雨となった台風19号への温暖化の影響を国谷さんが質問。ロックストロームさんは「災害を私たちが拡大、悪化させていると言える。海水温が上がることで台風のエネルギーになったのだろう」と答えた。

続いて、「プラネタリー・バウンダリー」についてロックストロームさんが説明。九つの要素で限界を超えると、不可逆的な変化が起きて人類の生存を脅かす可能性があるとした。具体的には氷床と熱帯雨林を挙げて「今、大きく変遷していて、一番大きな転換点を迎えるリスクをはらんでいる」と訴えた。


国谷 裕子さん

産業革命以降の気温上昇を1・5度未満に抑えるため、二酸化炭素(CO2)排出量を2050年に実質ゼロにするには年6~7%下げる必要があると、ロックストロームさんは指摘。国谷さんがCO2排出量が減っていない現状を紹介し、「本当に成功できるのか」と問うたのに対し、「大きな挑戦課題だ。(化石燃料の消費などに対する)炭素税などを設け、化石燃料への新たな投資をやめ、化石燃料に依存する『最終日』を決めるべきだ」と提案。化石燃料に依存する日本や、ドイツの責任はとくに大きいとした。

会場の中学生からは自分が90歳になる21世紀末の環境への質問が出た。ロックストロームさんは「最悪、かなりの確率で灼熱(しゃくねつ)の地球が現れる。だが避けられる。今後10年で温度の上昇を平坦(へいたん)化するために、今決断をしなければいけない」と答えた。

国谷さんは「温暖化問題は気候危機だと思えてならない。強いリーダーシップが、政治にも企業にも市民社会の世界にも必要だ」と締めくくった。


〈ヨハン・ロックストローム〉 ポツダム気候影響研究所理事 1965年生まれ。地球環境問題研究の第一人者。「プラネタリー・バウンダリー」の概念を掲げて世界に警鐘を鳴らす。2018年から現職。

〈国谷裕子〉 キャスター 1993年から2016年3月までNHK「クローズアップ現代」キャスター。本紙SDGsプロジェクトのエグゼクティブ・ディレクター。

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