パネル討論「森のSDGs 保全・再生から持続可能な消費まで」|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

パネル討論
「森のSDGs 保全・再生から持続可能な消費まで」
イオン環境財団 事務局長 山本 百合子
エシカル協会代表理事 日本ユネスコ国内委員会広報大使 末吉 里花
速水林業代表 FSCジャパン副代表 速水 亨
コーディネーター 朝日新聞科学医療部記者 神田 明美

森林守るための商品選びを

速水 亨さん

南米アマゾンや東南アジア、アフリカで乱伐や森林火災による森の減少が止まらない。森林利用の現場から消費までの課題を議論した。

速水林業代表の速水亨さんは「先住民族が生活を依存してきた森の木が切られ、パーム油を生産するためにアブラヤシが植えられる。日本はその木材やパーム油を輸入している」と、現地で起きている人権問題と日本の結びつきを指摘。消費者は国際的な認証制度FSCのロゴがついた商品を選ぶことで、森林の適切な管理に貢献できると語った。


山本 百合子さん

森林の再生に力を入れているイオン環境財団事務局長の山本百合子さんは、カンボジアの野生生物保護センターに植樹をしたり、安全な水を供給する施設を寄贈したりといった活動を例に「木を植えるだけでなく、森林の周辺に暮らす人たちのなりわいを理解して取り組むことが、持続可能な社会をつくる」と語った。

倫理的な消費の普及活動をしているエシカル協会代表理事の末吉里花さんは、牛の放牧地を増やすためにアマゾンの森が燃やされ、森林火災が広がっている現状について「私たちが身につけている靴や衣類が、そうやって飼育された牛の革を使っている可能性もある」と指摘。森林火災への対策に消極的なブラジルから革の購入をしないと決めた米国の企業の例を報告した。


末吉 里花さん

環境教育についても討論し、山本さんは「子供たちが日常的に学べる『環境』という科目ができるよう、声をあげることも大切」、速水さんは「企業が適切な情報を流してくれれば消費者は選択できる。それが一つの消費者教育だ」と話した。末吉さんは「若い世代は、地球をこういう状態にしたのは大人だと怒りつつ、大人と共にいろいろなことを具体的に実践したいと考えている」と語った。

コーディネーターから

自分が買ったり身につけたりしているものが、気づかないうちに森林破壊とつながっている。そう気づかされることがいくつもあった。不適切に伐採された木の製品や森林を切り開いて生産されたパーム油、牛肉や牛革……。以前から指摘されてきた問題とはいえ、熱帯雨林の状況は、日本の企業も消費者も「現地の問題」と積極的にとらえることが少なかった。

だが、企業はいまや製品を作って売るだけでなく、原料から消費者に届くまでのサプライチェーン全体に責任を持つことが重視されるようになった。合法だけでなく、持続可能かどうかが問われている。その方向へかじを切るため、企業と消費者がともにできることをする必要がある。(コーディネーター・神田明美)

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