パネル討論 広がる「地産地消」の水素社会|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

パネル討論
広がる「地産地消」の水素社会
トヨタ自動車先進技術開発カンパニー 先進技術統括部 環境技術企画室 担当部長 小島 康一
根本通商代表取締役社長 根本 克頼
明治大学3年 朝日新聞DIALOG学生記者 亀山 真央
コーディネーター 朝日新聞編集委員 堀篭 俊材

温暖化防止、次世代引き継ぐ

小島 康一さん

異常気象の連鎖を断ち切るために、自分たちにできることは何か。低炭素社会の主役として期待される水素エネルギーについて話し合ったのは、東日本に記録的な豪雨をもたらした台風19号の直後だった。

パネル討論では、二酸化炭素(CO2)を出さず、水素で発電する燃料電池の普及を目指す各地の取り組みを紹介。ホテルや、コンビニの物流網で使われる燃料電池で走る大型車の例などを動画を交え報告した。


根本 克頼さん

そのひとつ、福島県いわき市で今春、燃料電池車のガソリンスタンドにあたる水素ステーションを開いた根本通商社長の根本克頼さんは、台風で地元の約4万戸が断水したままだとし、「水素は地球温暖化を防ぐ切り札だ」と力をこめた。

東京電力福島第一原発近くの福島県浪江町では太陽光で水素をつくる世界最大級の工場が建設中。根本さんは、いわき市で広がる燃料電池車を購入する動きと合わせ、「地産地消の水素社会をつくる」と語った。


亀山 真央さん

討論が進むにつれ、「次世代につなぐ」がキーワードになった。いわき市で開かれたイベントで、燃料電池の仕組みを学ぶ小学生の姿を動画で伝えた。現地で取材したのは、若い世代が発信するプロジェクト「朝日新聞DIALOG(ダイアログ)」の学生記者、亀山真央さんだ。「様々な試みを私たちが引き継ぎ、発展させることが大事だと痛感しました」

開発する側にも粘り強い取り組みが欠かせない。燃料電池車「ミライ」の開発に携わったトヨタ自動車の小島康一さんは、来年末に新型を投入する計画を紹介し、「いまから開発を進めなければ、約30年後に水素社会は実現できない。そういう思いで開発を続けている」と語った。

持続可能な社会を未来に残したい――。関係者の願いは同じだった。

コーディネーターから

電池産業を集めて地域おこしを図るイベントを取材するため、福島県いわき市を訪ねた。会場となった海沿いの公園には、東日本大震災による津波の高さを示すパネルが残っていた。

地元が未来を託す電池産業の中心であるリチウムイオン電池では、吉野彰さんがノーベル化学賞に決まった。リチウムを使う電池は発火するリスクが高く、実用化の大きな壁だった。


水素にも多くの壁がそびえる。今の主流の方法は化石燃料から取り出すため、CO2が発生する。太陽光や風力を使い、水を電気分解すれば脱炭素化できる。

津波や河川の氾濫(はんらん)で災禍をもたらす水をエネルギーに。壁はこえられるはずだ。(コーディネーター・堀篭俊材)

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