講演・対談 ジェンダー格差「世界最小」のアイスランドに学ぶ|2019講演記録|朝日地球会議2019|朝日新聞

講演・対談
ジェンダー格差「世界最小」のアイスランドに学ぶ
アイスランド女性権利協会事務局長 ブリュンヒルドゥル・ヘイダル・オグ・オゥマルスドッティル
聞き手 朝日新聞社会部記者 三島 あずさ

不平等 若者敏感になった

ブリュンヒルドゥル・ヘイダル・オグ・オゥマルスドッティルさん

世界経済フォーラムの男女格差ランキングで、アイスランドは10年続けて「世界一男女平等な国」とされてきた。どのように格差を縮めてきたのか。アイスランド女性権利協会事務局長のブリュンヒルドゥル・ヘイダル・オグ・オゥマルスドッティルさんが、その歩みや課題について語った。

現首相は43歳の女性で、国会議員の4割近くが女性だ。ただ、「最近まではかなり不平等な国だった」として、変化が加速したこの10年間の歩みを紹介した。

アイスランドでは2009年、世界金融危機の余波で銀行が軒並みつぶれ、政府の信用も失墜。銀行や政府のトップはほぼ男性で占められていたため、「意思決定の場に多様性が必要」との声が高まり、女性議員が初めて4割を超えた。

それによって、社会はどのように変わったのか。

ブリュンヒルドゥルさんは「男性に有利に働いてきた法律が、全ての人を利するかたちに見直されてきた」として、ジェンダーに配慮した政府予算の編成や、男女で同じ賃金基準を設ける義務ができたことなどを挙げた。多くの高校でジェンダー平等について学ぶ機会があり、様々な不平等に敏感な若者世代が育っていることにも触れた。

一方で「まだまだ不平等は残っており、パラダイスではない」と強調。家事育児負担が女性に偏りがちで、時間ベースの賃金差は縮んでいても月収の差は大きいことなどを挙げ、「これらを克服しない限り、真の平等はない」と述べた。

日本については、平等を徹底的に追求していく政治の強い意志と、それを後押しする草の根の動きの必要性を強調。「非常に人的資源に恵まれた国。女性がもっと能力を生かせる環境を整え、ジェンダー平等の分野でも地域のリーダーになってほしい」と語った。

コーディネーターから

ずらりと居並ぶ男性の中に、ひと握りの女性。国会や省庁の会議、シンポジウムの壇上など、日本ではまだ「あるある」な光景だ。

それだけに、ブリュンヒルドゥルさんが「意思決定の場に男女が同等にいることは、もはやありふれた光景。平等は私たちの大きな強みだ。男性もメリットを実感しており、後戻りは考えられない」と話したことが印象的だった。

不平等をなくすための行動計画を示すことが企業価値を高めることや、基準を満たす企業に認証マークを与えて消費者が商品を選びやすくすることなど、アイスランドの10年間の歩みから日本が学べる具体例はたくさんあった。「優れた人材を無駄にする余裕はない」のは、日本も同じだ。(コーディネーター・三島あずさ)

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