山口県上関町の市民団体「長島(ながしま)の自然を守る会」(高島美登里代表、約180人)が日本自然保護協会の第11回沼田眞賞を受賞することが決まった。中国電力の上関原発予定地周辺の自然の豊かさを、研究者や学会と連携して訴えてきたことが評価された。
守る会は1999年創設。日本生態学会などと連携して希少な貝類を見つけたほか、国天然記念物の海鳥カンムリウミスズメが周辺海域に1年を通して生息していることも確認した。自然観察会や講演会もたびたび開き、「奇跡の海」「生物多様性のホットスポット」と訴えてきた。
高島代表は「上関の自然のすばらしさが全国の人々から評価された。反対運動に関わってきたすべての方に対して与えられた賞だ」と喜ぶ。2月下旬に再開された埋め立て工事は、福島原発事故で一時中断している。「多大な犠牲の裏で与えられた時間を、原発に頼らない町づくりに生かし、建設中止を勝ち取るのが私たちの使命」と話した。
沼田眞賞は例年、複数が受賞するが、今年は守る会のみ。自然保護協会は「原発の今後が問われる今だからこそ守る会に注目を集め、計画の完全な見直しにつなげたい」としている。
授賞式は1月22日、東京である。(渡辺純子)