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平和な光景

2008年1月3日

  • 筆者 兵藤ゆき

 明けましておめでとうございます。

 年末から私と息子は名古屋の実家に戻っている。

 いつものように、私たちが実家に着くと、アチャ(「ペットがいるということ」参照)はワンワン吠えながらくるくる回って、喜びを体中で表してくれた。

 息子も私も、アチャをしっかり抱きしめ、彼に応える。

 しばらく歓迎モードが続くのだが、落ち着きを取り戻したアチャは、今度はお気に入りの自分のおもちゃをくわえてきて、一緒に遊ぼうと誘ってくる。

 姉にたくさん話しかけられ、愛情たっぷりに育てられたアチャは、ずいぶん私たちの言葉がわかるようだ。

 「じゃあ、遊ぼうか」と言うと、またまたくるくる回って大喜びをし、おもちゃをぶんぶん振り回す。

 実家の近所にはドッグ・ラン(前回参照)がないので、散歩に行っても彼女を鎖から離して思いっきり走らせてあげることはできない。

 でも、近所に犬を飼っている人が多いので、朝晩、散歩に行くたび、いろいろな犬に出会える。

 そして、いろいろな飼い主に出会う。

 犬を連れていなければ、きっと話すことはなかったかも知れないなあ、と思う人もたくさんいる。

 残念ながら犬同士の相性が悪いのか、お互い見かけただけで、ワンワンワン!と険悪な雰囲気で吠えあう場合は、飼い主同士、ちょっと会釈する程度で、さっと犬を連れて違う道を行くことにする。

 幸い、嬉しそうなしぐさでしっぽを振って犬同士が近づいて行く場合は、飼い主もほっと一安心。

 たいていの飼い主は、「どうも、どうも」とニコニコしながら犬と一緒に近づいてくる。

 犬好きな人を犬もよく知っているようで、犬に近づきたいわけではなく、その犬の飼い主に撫ぜて欲しくて近づいて行く場合もある。

 アチャは完全にそのタイプで、犬には目もくれず、一目散に飼い主に近づいて行き、撫ぜてもらうのをとても楽しみにしている。

 近所の家で、アチャが散歩で通るのを見かけると、家から出てきてアチャを撫ぜてくれる人が何人かいる。

 アチャはそういう家をよく知っていて、散歩の途中で必ず寄って行く。

 しばらくその家の前で待っているが、留守の場合もあり、いつも出てきてくれるとは限らない。

 しばらく待って誰も出てこないと、アチャは私を振り返り、

 「いないようだから、次に行きますか」とでも言っているような素振りでまた歩き出す。

 なんとも平和な光景だ。

 家に帰ってくると、風呂場で足を洗ってやり、彼女は家の中に入る。

 今は寒いので、アチャはすぐにコタツの中にもぐり込む。

 実家にはキティーという猫もいる。

 長生きの猫で、もう17、8年は生きている三毛猫だ。

 彼女も、2階の部屋で湯たんぽの入った布団にもぐり込んでいる。

 アチャがもぐり込んだコタツには息子も足を突っ込み、みかんを食べながらマンガの本を読んでいる。

 これもまた、なんとも平和な光景だ。

 こんな普通の生活が普通に過ごせることに感謝して、今年も頑張ろう。

 どうぞ今年もよろしくお願いいたします。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき

兵藤ゆき(ひょうどう・ゆき)

名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークにで11年余り生活。2007年に日本に帰国。

主な著書に、「子どもがのびのび育つ理由」(2008年4月 マガジンハウス)(対談集)「頑張りのつぼ」(05年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(06年7月 ビジネス社)などがある。

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