2008年1月17日
「やっぱりニューヨーク(NY)はいいよなあ」
夫とふたりでNYに遊びに行って、日本に戻って来た息子の第一声だ。
「なんかね、街の匂いがなつかしかったー」
5カ月ぶりにNYに戻ったわけだが、ことのほか楽しかったようだ。
特に友だちとの再会は、
「最高―!」だったそうで、
「やっぱり直接会うのは楽しいよ」とのこと。
さもあらん。
なにしろ、彼が行っていたNYの学校は1学年1クラスで、それも20人ほどしかいなかった。
おまけに、キンダーガーデン(幼稚園年長)からエレメンタリー・スクール5年生(小学校5年生。アメリカの学校制度はここで小学校が終了)まで、ずーっと一緒の子どもたちがほとんどだった。
仲良しの子とは、もうそりゃ兄弟のように育ってきたといってもいいくらいなのだから、この再会は本当にうれしかったと思う。
さて、その仲良しの子の中には、年頃的(11、12、13歳)に、変声期を向かえている子もいる。彼が日本に帰って来てから、変声期を向かえた子もいる。そんな友だちとの再会は、どんな感じだったのだろう。
「なんかねえ、変は変なんだよ。顔は前と同じなんだけど、声が低くなってるでしょ。でもね、風邪をひいたときと同じみたいで、そんなにびっくりはしなかったな。それに性格は前と変わってないしね」とのこと。
なるほどね、そんな感じなんだ。
そういえば、私が小学校6年生や中学生の頃、周りの男の子たちが変声期を向かえていても、そんなに変わった感じはしなかったっけ。
毎日近くにいたし、それこそ息子の言うように、性格がいきなり変わったわけでもないので、自然に慣れていったような気がする。
まもなく、うちの息子も変声期が来るのだろう。
よくぞここまで無事に育ってくれたものだと、あらためて思ったりする。
NYから日本に帰ってくる前に、一足早く子どもが変声期をむかえたNYのアメリカ人のママ仲間は、
「なんかね、寂しい気持ちよ。背もすっかり抜かれてしまったし、声も低くなっちゃったし、もう子どもじゃないのよ。ハグしても、体つきががっしりしてきて、あの小さくて可愛かった私の息子はどこへ行ってしまったのって感じよ。息子がまだ赤ちゃんだった頃は、早く大きくなって欲しいと思ったけれど、過ぎてしまえばあっという間だったわね。とは言うものの、悔いはないのよ。私なりに精一杯子育てをしてきたから、楽しい思い出がいっぱい残っているわ。それに子育ては、ここからまたひと山来るのよ。ティーンネージャーの時期ね、どんなことが待ち受けているか、今から楽しみにしているの」
と、言っていた。
そうだよな、ひょっとするとこれからのほうがもっと大きな山なのかもしれない。
楽しみながら、でもしっかり乗り越えて行こうと、前向きに張り切るあのママ仲間に見習って、私も楽しみにしていよっと。
(次回に続く)
名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークにで11年余り生活。2007年に日本に帰国。
主な著書に、「子どもがのびのび育つ理由」(2008年4月 マガジンハウス)、(対談集)「頑張りのつぼ」(05年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(06年7月 ビジネス社)などがある。