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犬と少年(2)―「くう」と「かい」

2008年6月26日

  • 筆者 兵藤ゆき

 くう(前回参照)が訓練所に行く日、お兄ちゃんと弟はくうと一緒に写真を撮った。

 離れていても、写真の中のくうとは毎日会えるからだ。

 なにせ、くうとは4カ月ほどお別れになる。

 訓練所に預かってもらい、そこで毎日訓練するほうが早くしつけができるからなのだそうだ。

 くうは、(警察犬になるなど)特別な訓練を受けに訓練所に行くわけではない。

 「お座り」「待て」などの簡単なコミュニケーションから、飼い主と一緒に安全に散歩ができたり、フリスビーで遊んだり、大型犬が人間と楽しく暮らすために必要な基本的なしつけを受けるのだ。

 訓練所に預けられるのは、家から通うのだと、家のほうが甘えられるので訓練所に行きたがらなくなるかもしれないし、プロに集中して訓練してもらったほうが、結果的に短期間ですむということもあるからなのだそうだ。

 訓練所によって方針の違いもあるし、犬の性格にもよるのだそうだが、くうが行くことになった訓練所では、犬が落ち着いて訓練ができるようになるまでの1カ月ほどは、飼い主は犬と面会できないのだそうだ。

 その間、くうも寂しいが、家の人たちもみんな寂しい。

 兄弟は納得して訓練所に連れて行ったので、くうと別れるときはさほど寂しそうではなかったそうだ。

 でも、夜になって、いつもならそばに寄って来るくうがいないことに気付き、急に寂しくなったようで、お兄ちゃんはくうの匂いのするクッションをしばらく抱いていたという。

 それから1カ月後、晴れて訓練所から面会の許可がおりた。

 家族は喜び勇んでくうに会いに行った。

 くうはそりゃもう大喜び。

 会いに行ったみんなももちろん大喜びで、別れの時間がきてもなかなか訓練所をあとにすることができなかったそうだ。

 くうは、みんなと面会した後1週間ほどは、訓練に身が入らず、落ち着きがなかったと訓練士の人が言っていたそうだ。

 それからはまた落ち着きが戻ったので、兄弟も、いつでも訓練所に面会に行ってもいいことになった。

 訓練所に行くと、今度は飼い主も犬がどんなしつけをされたか講習を受けるのだそうだ。

 たとえば散歩のときに、飼い主は犬に対してどう接したらいいかとか、その犬の特性をしっかり教えてもらい、コミュニケーションの上手なとり方を飼い主もしっかりしつけられるというわけだ。

 それは飼い主が納得いくまで、訓練所に行けば何回でも教えてもらえるのだそうだ。

 さて、くうが訓練所に行っている間に、彼らの家にもう一匹犬がやってきた。

 お兄ちゃんに弟がいるように、くうにも兄弟のようにして一緒に遊べる犬の仲間がいたら、たとえば1匹で留守番するよりは寂しくないのではいかとお母さんは考えていた。

 子どもたちも同じ考えだった。

 お父さんに相談すると、お父さんも納得してくれたので、もう1匹飼うことになったのだ。

 ちょうどくうが預けられていた訓練所で、くうと同じ犬種のラブラドールレトリバーのブラック(くうはイエロー)の子犬が生まれていた。

 くうとも相性の合いそうな子ということで、生まれてまだ2カ月の、「かい」と名づけられた子犬が彼らの家にやって来たのは、くうが訓練所から帰ってくる1カ月ほど前のことだった。

   ◇

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兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき

兵藤ゆき(ひょうどう・ゆき)

名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークにで11年余り生活。2007年に日本に帰国。

主な著書に、「子どもがのびのび育つ理由」(2008年4月 マガジンハウス)(対談集)「頑張りのつぼ」(05年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(06年7月 ビジネス社)などがある。

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