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脳を育てるからだ遊び(3)

2008年12月11日

  • 筆者 兵藤ゆき

 飯田君(前回参照)が、子どもの手足の協調運動の大切さについて考え出したのは、彼の長男君が幼稚園年長さんのときの運動会を見に行ったときのことだったそうだ。

 年長さんの競技の中に、「クモ」の形(体を上に向けて、両手両足を地について体を持ち上げる。四つん這いの反対)でやる競争があり、長男君はビリになってしまった。

 お父さんである飯田君は不思議に思った。

 長男君は、普段は足もとても速いし、ボール投げも得意だし、運動神経はいい方だと思っていたのに、クモの競技でビリ…。

 そこから飯田君は、子どもの成長、身体能力に興味を持ち、どういう子が、本当に運動神経が良くて、どういう子が、運動神経が鈍いというのだろう、その違いはどうしてできるのだろうと、いろいろ勉強したのだそうだ。

 そして、運動神経が鈍いと言われている子の中に、小さいうちから体全体を使った遊びをあまりしていなくて、体の使い方がわからない子がいるのじゃないかと思ったという。 うちの息子は飯田君の長男君より一つ下なのだが、生まれた時からお世話になっている助産師さんから、ハイハイの効用(ハイハイの動きには、両手両足を使って体のバランスを取ったりするような運動能力の基本になることがたくさん含まれている)を教えてもらい、ハイハイをいっぱいさせてあげるように言われた話を飯田君にすると、まさにそのハイハイを長男君にはあまりさせなかったのだという。

 何でも飯田君は、長男君に早く歩いて欲しくて、ハイハイはそこそこにして、すぐに歩行器に入れてあげたのだそうだ。

 長男君は嬉しそうに歩行器を使ってビュンビュン家の中を走り回っていたので、いいいぞ、いいぞ、と応援していたくらいだったそうだ。

 ところが、ハイハイで培われるはずの手足の協調がうまくできず、運動会のクモでビリに…、と猛反省し、長男君が両手両足などを自分でちゃんとコントロールできるようになるための運動を、飯田君がボクサーとしてやってきたトレーニングを参考にしながら作ってみようと思ったそうだ。

 長男君も一人でやるより、弟君や彼らの友だちも誘ってやったほうが楽しいかなと、家の近所の小さなスタジオを借りて週1回、「キッズ塾」というボックスファイ(現在の飯田覚士ボクシング塾。子ども向けと大人向けの教室がある)の前身の、子ども向けの小さな教室がスタートした。

 ところが、最初は10人くらいだったのだが、そのうちどんどん子どもが集まってきたし、長男君以外にも、びっくりするくらい運動能力に問題のある子たちがいたのには驚いたという。

 東京の飯田君が住んでいるあたりでは、昼間、外で遊んでいる子どもをほとんど見かけなかったし、アパートだったり、こじんまりした家だったりすると、部屋の中にすぐテーブルや椅子があり、赤ちゃんがハイハイしようとしてもつかまり立ちができるところがたくさんあり、ハイハイをしないまま歩き出したりする子もいるようで、ハイハイや外遊びで本来培われるはずの手足の協調性やバランス感覚を養ったりすることができないままの子がとても多いのじゃないかと思ったという。

 そんな、今の子どもたちが抱えている運動能力の問題を目の当たりにした飯田君は、この子たちのために自分は何かしなければならない、やりたい!と強く思いできたのが、飯田君のボックスファイでもやっている両手両足を連動させ、自分のからだを自分で自由に、また上手にコントロールできるようにするトレーニングだ。

 その中から、おうちで親と子が一緒に遊びながらできるものを飯田君に選んでもらい、「脳を育てるからだ遊び」の中にも収めました。

 では、からだ遊びでなぜ脳が育つのか、その話はまた次回に。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき

兵藤ゆき(ひょうどう・ゆき)

名古屋市出身。血液型O型。東京・名古屋・大阪で深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説等ジャンルを超えて幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークにで11年余り生活。2007年に日本に帰国。

主な著書に、「子どもがのびのび育つ理由」(2008年4月 マガジンハウス)(対談集)「頑張りのつぼ」(05年7月 角川書店)…ニューヨークで活躍する日本人8人の方との書き下ろし対談集(宮本亜門・千住博・宮本やこ・野村尚宏・平久保仲人・河崎克彦・高橋克明・小池良介)、(翻訳本)「こどもを守る101の方法」(06年7月 ビジネス社)などがある。公式ブログは、「子育ての話を聞かせてください―I‘m proud of you―」

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