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自転車が倒れないしくみ |
◆藤原先生 あら、ののちゃん、遊(あそ)びに行くの。新(あたら)しい自転車ね
◇ののちゃん 背(せ)が伸(の)びたんで、買(か)ってもらったんだ。前のよりずいぶん大きいけど、すぐ乗(の)れるようになったよ。
◆先生 一度覚(おぼ)えると、違(ちが)う自転車でも大丈夫(だいじょうぶ)ね
◇ののちゃん でも、どうして自転車は倒れずに走(はし)れるのかな。
◆先生 人が乗っていない自転車は、止(と)まっていると、倒れてしまうでしょ。でも、走っていると、倒れにくいの。10円玉を転(ころ)がしたり、コマを回(まわ)したりしているときを想像(そうぞう)してみて。回転(かいてん)する面(めん)を一定(いってい)の向きに保(たも)とうとする力が働いて、倒れにくくなるのよ。自転車も同じ。ただ、自転車がずっと倒れないでいられるのは、人がハンドルをこまめに動かして、バランスを取っているからなのよ。
◇ののちゃん 私、そんなにハンドルを動かしているかな。
◆先生 そうよ。たとえば、車体(しゃたい)が左側へ傾(かたむ)きかけると、乗っている人はハンドルを左へ切りながら、体を少し右側へずらすの。
◇ののちゃん ハンドルを切ったら曲(ま)がるでしょ?
◆先生 走っているときにハンドルを切ると、ハンドルの向いた方向(ほうこう)と反対(はんたい)の方へ車体を押(お)す力が働くの。その力で、傾いていた車体が起(お)きあがるわ。そのままいくと、今度は車体が反対側へ傾きそうになるから、ハンドルを逆(ぎゃく)に戻(もど)すのよ。そういう動作を繰り返すから、まっすぐ走れるの。正確(せいかく)には、こまかくクネクネ走っているわけね。
◇ののちゃん じゃあ、曲がるときは?
◆先生 ハンドルを切った方向と同じ側へ、車体や体を傾ければいいのよ。
◇ののちゃん 自転車って、どうやって練習(れんしゅう)したんだっけな。
◆先生 後ろからささえてもらうとか、練習方法はいろいろあるわね。横(よこ)に降(お)りてハンドルを持ちながら自転車を押すことから始めるといいんだって。押しているうちに、すぐハンドルが傾くことや、ハンドルを戻すときの力の入れ具合(ぐあい)など、自転車の癖(くせ)を体で覚えるられるわ。
◇ののちゃん 倒れにくい自転車ってあるの。
◆先生 重心(じゅうしん)が低いとか、前輪(ぜんりん)と後輪(こうりん)の間が広いと、倒れにくいけど、そのために曲がりにくくなることもあるの。競走(きょうそう)用の自転車、山道を走る自転車、重い物を運ぶ自転車などで形が変わるのは、どの性能(せいのう)を大事にするかなのよ。
◇ののちゃん 自転車を操(あやつ)るのは人間なんだね。
◆先生 そうね。どうやったら人間並みに自転車が運転できるか、ロボットに操縦(そうじゅう)させて研究(けんきゅう)している人もいるんだって。
(取材協力=自転車文化センター・新井次郎さん、構成=岩切勉)
(朝日新聞社発行 5月22日付be)
◇調べてみよう
(1)自転車が発明(はつめい)されて以来、いろいろな形の自転車が作られたよ。どんな形があるかな。
(2)上手な人は、止まっていても地面(じめん)に足をつかずに自転車をたたせておくことができるよ。どうやっているのか、考えてみよう。