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いろいろな犬種 |
◇ののちゃん ペットショップに行ったらいろんな犬がいて、とっても可愛(かわい)かった。うちにはポチがいるけど、もう1匹欲しいなあ。
◆藤原先生 どんな犬が好きなの?
◇ののちゃん チワワが可愛いと思うけど、面白(おもしろ)い顔のブルドッグも好き。ずいぶん姿(すがた)が違(ちが)うけど、世界には何種類(なんしゅるい)の犬がいるの?
◆先生 体の大きさや毛並(けな)みなど犬の種類(犬種(けんしゅ))の基準(きじゅん)を決めている国際畜犬連盟(こくさいちくけんれんめい)が認(みと)めているのは、336種類あるわ。まだ認められていないものも含(ふく)めると、700〜800種類になりそうよ。でも、生物学的(せいぶつがくてき)には、すべてがイヌという一つの種(しゅ)に属(ぞく)するのよ。
◇ののちゃん イヌの祖先(そせん)は何だったの?
◆先生 インド西部やパキスタンあたりに生息(せいそく)していた中型(ちゅうがた)のオオカミが祖先と考えられているわ。1万5000〜1万2000年前に狩(か)りをして生活(せいかつ)していた人間が、獲物(えもの)を探(さが)したり追(お)いかけたりするのに役立てるために、オオカミの子どもを飼(か)いならし始めたのよ。それがイヌの始まりよ。
◇ののちゃん どうしていろいろな犬が生まれたの。
◆先生 嗅覚(きゅうかく)がすぐれた犬や速(はや)く走れる犬など、利用(りよう)目的(もくてき)にあった特徴(とくちょう)を持つイヌを人間が選(えら)んでかけ合わせると、めざす能力(のうりょく)の高い子犬が生まれるでしょ。それを何世代(なんせだい)も繰(く)り返(かえ)すことで、目的にあった新しい種類ができるの。
◇ののちゃん そうか、人間が作り出したんだ。
◆先生 世界中で、いろいろな目的で改良(かいりょう)されたから、たくさんの種類ができたのよ。例えば、アナグマやウサギ狩りに使われていたダックスフントは、地面(じめん)を掘(ほ)って獲物の巣穴(すあな)に入り込みやすいように、年月(ねんげつ)をかけて胴長短足(どうながたんそく)の小型犬(こがたけん)に改良されたわ。
◇ののちゃん ずいぶん可愛い種類もいるね。
◆先生 最初は猟犬(りょうけん)や牧羊犬(ぼくようけん)として使われていたけど、17世紀(せいき)ごろにヨーロッパでペットとして飼われるようになると、可愛い姿や珍(めずら)しい形が求(もと)められるようになったのよ。江戸時代(えどじだい)に動物(どうぶつ)の殺生(せっしょう)を禁止(きんし)した「生類憐(しょうるいあわれ)みの令(れい)」を出し、特にイヌを可愛がって「犬公方(いぬくぼう)」と呼(よ)ばれた第5代将軍(しょうぐん)、徳川綱吉(とくがわつなよし)が江戸城内(じょうない)で飼っていたのが狆(ちん)よ。
◇ののちゃん 新しい種類は簡単(かんたん)につくれるの?
◆先生 種類が違ってもイヌ同士(どうし)であれば、理論的(りろんてき)には子どもをつくることか可能(かのう)よ。でも、体の大きさが違いすぎたりすると難(むずか)しいわ。目的の特徴をもった犬をつくるには、何世代もかけて、特徴を固(かた)めていかないといけないのよ。
(取材協力=東京大学農学生命科学研究科教授・林良博さん、岐阜大学応用生物科学科助教授・村山美穂さん、ジャパンケネルクラブ・八木秀和さん、構成=中村浩彦)
(朝日新聞社発行 2月12日付be)
◇調べてみよう
(1)日本犬(にほんけん)には、どんな種類のイヌががいるかな。
(2)世界には、オオカミのようにイヌの仲間(なかま)がたくさん生息しているよ。どんな動物がいるのかな。調べてみよう。