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NIE「ののちゃんのDO科学」

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なぜリンゴは切り口が変色するの?

埼玉県・羽龍円香さん(中2)ほかからの質問

図  

 ◇ののちゃん こないだ風邪(かぜ)をひいたとき、お母(かあ)さんがリンゴをすりおろしてくれたよ。おいしかったけど、だんだん茶色(ちゃいろ)くなっちゃった。

 ◆藤原先生 リンゴを包丁(ほうちょう)で切(き)ったときも、切り口(くち)が茶色くなるわね。リンゴの果肉(かにく)にあるポリフェノールと、ポリフェノール酸化酵素(さんかこうそ)という二(ふた)つの物質(ぶっしつ)のせいよ。もともと二つの物質はリンゴの細胞(さいぼう)の別々(べつべつ)の場所(ばしょ)にあるけれど、切ったり、すりおろしたりするといっしょになっちゃうの。この状態(じょうたい)で空気(くうき)にふれると、ポリフェノールが酸素(さんそ)とくっつく「酸化」という反応(はんのう)を起(お)こして色が変(か)わるわ。

 ◇ののちゃん あ、ポリフェノールって聞(き)いたことある。ワインや日本茶(にほんちゃ)に含(ふく)まれているんでしょ。お母さんが「体(からだ)にいいらしいのよ」って言ってた。

 ◆先生 よく知(し)ってるわね。ポリフェノールはいろんな食(た)べ物(もの)にあって、たくさん種類(しゅるい)があるの。リンゴに含まれて色が変わるのは、クロロゲン酸やエピカテキンというものよ。

 ◇ののちゃん リンゴのほかには、どんな野菜(やさい)や果物(くだもの)の色が変わりやすいの?

 ◆先生 果物だと、バナナやモモ、アボカドね。野菜だとナスやジャガイモ、レンコンの色が変わりやすいわね。

 ◇ののちゃん 切ったり、すりおろしたりしても、あまり色が変わらない野菜や果物もけっこうあるよね。

 ◆先生 そうね、切ったナシを冷蔵庫(れいぞうこ)に入(い)れておいても、それほどすぐには色が変わらないわね。リンゴとちがってポリフェノールの量(りょう)が少(すく)ない野菜や果物の場合(ばあい)は、酸化して茶色くなるまでに時間(じかん)がかかるの。

 ◇ののちゃん 色が変わって何(なん)の得(とく)があるのかなあ。

 ◆先生 表面(ひょうめん)が酸化することでカビや病気(びょうき)の攻撃(こうげき)から植物(しょくぶつ)が身(み)を守(まも)る、という説(せつ)があるの。ポリフェノールはすべての野菜や果物にあったのに、おいしい果物や野菜をつくるため、品種改良(ひんしゅかいりょう)するうちに減(へ)っていったのかもしれないわね。ポリフェノールがどんなはたらきをしているのか、まだよくわからないことも多いそうよ。

 ◇ののちゃん リンゴの色が変わらないようにできないの?

 ◆先生 薄(うす)い塩水(しおみず)やレモン汁(じる)を使(つか)うといいわ。塩はポリフェノール酸化酵素のはたらきを抑(おさ)えるし、レモンに含(ふく)まれているビタミンCは酸化そのものを防(ふせ)ぐのよ。ビタミンCはリンゴジュースの酸化防止剤(さんかぼうしざい)に使われているわ。酸化防止剤を使っていないジュースは茶色っぽいの。

 ◇ののちゃん 色の変わらないリンゴがあればいいのに。

 ◆先生 リンゴの種類(しゅるい)ごとにポリフェノールの量がちがうから、色の変わりぐあいにも差(さ)があるそうよ。いろんな種類のリンゴをかけ合(あ)わせてできたリンゴのなかには、切ったり、すりおろしたりしても色が変わらないものも見(み)つかっているわ。カットフルーツやジュースをつくるのに酸化防止剤がいらないから手間(てま)がはぶけるし、見た目(め)もいいわね。いつか果物屋(くだものや)さんに、切っても色が変わらないリンゴがならぶかもしれないわ。

(取材協力=青森県農林総合研究センターりんご試験場・今智之部長、赤田朝子研究管理員、お茶の水女子大・村田容常教授、構成=西川迅)

(朝日新聞社発行 4月13日付be)


◇調べてみよう

(1)身(み)のまわりにどんな酸化反応(さんかはんのう)があるか調(しら)べてみよう。
(2)リンゴの種類(しゅるい)で色(いろ)の変(か)わりぐあいや時間(じかん)がちがうかな。
(3)切(き)り口(くち)の色が変わらない野菜(やさい)や果物(くだもの)はどんなものがあるかな。

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