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NIE「ののちゃんのDO科学」

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寒いところにすむ動物はなぜ大きい?

東京都・鈴木(すずき)みのりさん(小6)からの質問

図  

 ◇ののちゃん こないだの日曜日(にちようび)、動物園(どうぶつえん)に行(い)ったよ。

 ◆藤原先生 いろんな動物がいたでしょ。ののちゃんは、なにが好(す)きなの?

 ◇ののちゃん ホッキョクグマかな。体(からだ)が大(おお)きくて、かわいい顔(かお)だもん。「ホッキョクグマは体長(たいちょう)2メートル以上(いじょう)。地上(ちじょう)でいちばん大きい肉食獣(にくしょくじゅう)」なんだって。隣(となり)にいたマレーグマはホッキョクグマの半分(はんぶん)くらい。同(おな)じクマでも、ずいぶん体の大きさがちがうからびっくりしたなあ。

 ◆先生 いいところに気(き)がついたわね。哺乳類(ほにゅうるい)や鳥類(ちょうるい)のように体温(たいおん)を一定(いってい)に保(たも)つことのできる動物を恒温(こうおん)動物というの。恒温動物では、北(きた)の寒(さむ)いところにすんでいるものほど体が大きく、体重(たいじゅう)も重(おも)い傾向(けいこう)があるのよ。ベルクマンという人(ひと)が気づいたから、「ベルクマンの法則(ほうそく)」とよばれているわ。

 ◇ののちゃん へえー。クマだけじゃなくて、ほかの恒温動物でもそうなの?

 ◆先生 すべての動物にあてはまるわけじゃないけれど、ほかにもあるわ。たとえば、ニホンジカのうち鹿児島県(かごしまけん)の屋久島(やくしま)にすむシカは、肩(かた)の高(たか)さが65センチほどしかないの。それが九州(きゅうしゅう)の本土(ほんど)だと80センチ、本州(ほんしゅう)では85センチ、北海道(ほっかいどう)にすんでいるシカは1メートルにもなるのよ。北にいくほど体が大きくなっているでしょ。

 ◇ののちゃん あれ? そのシカはどれも同じニホンジカだけど、動物園にいたホッキョクグマとマレーグマは同じ動物じゃないよね。

 ◆先生 そうよ。どちらもクマのなかまだけど種(しゅ)がちがっているわ。ベルクマンの法則は、まったく同じ種だけじゃなくて近(ちか)い種でもなりたつの。

 ◇ののちゃん すむところによって体の大きさがちがってくるのはどうしてなの?

 ◆先生 寒いところで生(い)きていくには、体内(たいない)の熱(ねつ)が体の表面(ひょうめん)から逃(に)げるのを抑(おさ)え、体温が下(さ)がるのを防(ふせ)がないといけないの。体が大きく体重のあるほうが体内でたくさん熱ができるの。それに大きくなると、体重当(あ)たりの体の表面が狭(せま)くなって熱が逃げにくいから寒いところでは好都合(こうつごう)なのよ。逆(ぎゃく)に、暖(あたた)かいところでは、体重当たりの体の表面が広(ひろ)くなる小(ちい)さな体のほうが熱が逃げやすくいいってわけね。

 ◇ののちゃん すむところによって、ほかになにかちがってるところはあるのかな?

 ◆先生 同じ種や近い種では、寒いところほど耳(みみ)や尾(お)のように突(つ)き出(だ)した部分(ぶぶん)が小さい、という法則があるわ。「アレンの法則」というの。たとえば、アフリカにすむキツネのなかまのフェネックは大きな耳をもっているのに、ホッキョクギツネの耳は丸(まる)くて小さいの。どうしてなのかわかるわね。

 ◇ののちゃん 大きいと表面が広くなって熱が逃げやすくて、小さいと逃げにくいんでしょ。

 ◆先生 正解(せいかい)。長(なが)い年月(ねんげつ)をかけて、まわりの環境(かんきょう)にあうように進化(しんか)してきたのね。

 ◇ののちゃん じゃあ、急(いそ)いでフランスに引(ひ)っ越(こ)そうかな。パリジェンヌみたいに鼻(はな)が高(たか)くなるかもしれないもん。

 ◆先生 そんなに簡単(かんたん)にいかないわよ。

 (取材協力=東京大総合研究博物館教授・遠藤秀紀さん、上野動物園教育普及係・堀秀正さん、構成=中村浩彦)

(朝日新聞社発行 5月18日付be)


◇調べてみよう

(1)どんな動物(どうぶつ)でベルクマンの法則(ほうそく)がなりたつか調(しら)べてみよう。
(2)爬虫類(はちゅうるい)や両生類(りょうせいるい)でもベルクマンの法則はなりたつかな?
(3)アレンの法則にあてはまる動物を探(さが)してみよう。

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