ハウス食品が開発した「スペースカレー」=千葉県四街道市で、高山顕治撮影
宇宙飛行士たちが青い地球を眺めながら食べるカレーが地上でも楽しめる。ハウス食品が11月に発売したレトルト食品「スペースカレー」。通信販売などでの限定発売だが、宇宙気分を味わって頭脳明晰(めいせき)な飛行士たちにあやかりたいのか、予想以上の売れ行きだ。
狭い空間に閉じこめられる宇宙で最大の楽しみは食事だが、現在は米国とロシアのメニューが中心だ。そこで宇宙航空研究開発機構(JAXA)は国内の食品メーカーに「宇宙日本食」の開発を委託。ハウスも委託を受け、「おいしさと健康にこだわったオリジナルのカレーを作ろう」(ソマテックセンターグループ長の蔵本章雅さん)と、ゼロから開発することにした。
宇宙では無重力の影響からか、地上より強めの味が好まれるといわれる。ただ、宇宙での試食はできないので、夜勤明けの人と通常勤務の人の味覚を比べたり、飛行士たちの意見を聞いたりした。
それらの結果から決めた辛さは5段階の4(辛口)で、スパイスの量を通常より多くした。無重力で弱くなる骨を強化するため、カルシウムとその吸収を促すビタミンDなども加えた。さらに無重力でも飛び散らないように粘り気を通常の約1.5倍に。試食すると、味が濃く、後から辛みが広がる。
08年に予定されている若田光一飛行士の国際宇宙ステーションでの長期滞在時から、他の「宇宙日本食」とともにメニューに入る。日本人以外の飛行士にも提供する。
蔵本さんは「閉鎖空間でのストレスが軽くなるよう工夫したので、受験生にもいいかもしれませんよ」と話している。
●ラーメンやようかんも
ビーフ、ポーク、チキンの3種類を開発したが、市販しているのはビーフのみで税込み525円。ハウス食品の通販サイト(http://www.shop−house.com/)のほか、国立科学博物館(東京都台東区)、日本科学未来館(同江東区)、JAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)の売店などで購入できる。JAXAが6月に認証した「宇宙日本食」は、カレーやラーメン、サバのみそ煮、お吸い物、山菜おこわ、ようかんなど12社の29品目。