チューインガムの研究室では、研究員が前日試作したガムの味を毎日チェックする=さいたま市南区のロッテ中央研究所で
「きっちり通る」とかけ、受験生の評判になったロッテの「キシリトールガム」。もともとは、大手予備校の売店での宣伝文句から始まったらしい。06年冬からは受験シーズンに合わせ、専用パッケージの商品も発売されている。
ガムの効用は験担ぎだけではなさそうだ。ガムメーカーなどでつくる日本チューインガム協会によると、ガム1枚をかむ数は平均550回。かむことで脳内の血流量は増え、脳が活性化するとされる。
協会は消化促進や歯の健康のためにも、もっとガムをとPRするが、売り上げは頭打ち。ガムの小売金額の総計は、ボトル型容器が人気を集めた04年の1881億円がピークで、その後2年微減が続く。ガムメーカーは07年後半に、中にミント味の液体などが入り、かむとジュワッと味が広がる新食感のガムを発売して巻き返しを図っている。
新製品も模索中だ。口臭予防の「フラボノ」、入れ歯でもくっつかない「フリーゾーン」などの機能性ガムを開発してきたロッテが注目する一つがイチョウ葉エキス。欧米では認知症などに使われる医薬品にもなっていて、日本では健康食品として売られている。中高年女性を対象に、同社が協力して実施した大学の実験でも、イチョウ葉エキス入りのガムをかんだ人に注意力や集中力の面で効果があったという。
難点は強い苦み。同社のガムで唯一イチョウ葉の成分を使っているのは「ブラックブラック」。メントールと共に「眠気スッキリ」の強い刺激のもとになっている。同社は、ほかにどんな活用ができるか、研究を続けている。
●服についたら冷やす
板ガムが主流だったチューインガムも、90年代から増え始めた粒タイプが今は多数派。小さくて食べやすいことや、表面を覆う糖衣の食感が人気だ。
新発売の液体入りガムはロッテの「SPASHうるおいリキッド」が128円、キャドバリー・ジャパンの「クロレッツアイス」が130円(価格はいずれもオープンなので、税込みの想定小売価格)。
困るのが服にくっついたガム。ついてすぐなら、氷で冷やし固めるとうまくはがせる。