「ストレス社会で闘うあなたに」というチョコレートの宣伝文句で一気に広まったGABA(ギャバ)。アミノ酸の一種で、満員電車でのストレスが半減したというデータもある。そのギャバが、子どもの学習にも「効果あり」とする実験結果が出た。
実験は昨年10月、中学受験をひかえた東京都内の小学6年生61人を対象に行われた。二つのグループに分け、それぞれに、ギャバ100ミリグラム入りチョコとふつうのチョコを食べて暗算の計算問題を解いてもらったところ、ギャバ入りグループの方が、回答数、正答数とも多かった。
テスト前後の唾液(だえき)を比較したところ、ギャバ入りグループはストレスが軽減していた。実験をした古賀良彦・杏林大学医学部教授(精神神経科)は「試験を嫌だなと思ったり、あがったりするのがストレス。それが抑えられ、本来の力を出せたのでは」と話す。
ギャバは、興奮をおさえる神経伝達物質として脳や脊髄(せきずい)などに元々ある。体内のギャバの働きを高める薬はてんかん治療に以前から使われてきた。01年に厚生労働省が「食薬区分」を見直し、食品としても製造・販売できるようになり、食べる効果が注目されるようになった。
ギャバは1回30ミリグラム以上食べるのが効果的とされるが、多く含む発芽玄米でも100グラム中10ミリグラム程度。ふつうの食品だけではなかなか難しい量だ。ギャバで国内トップのシェアを持つ食品素材メーカー、ファーマフーズ(京都市)は、キムチから見つけた乳酸菌を使いギャバを効率的につくることに成功した。大量生産されたギャバが、チョコなどに利用されているという。(星賀亨弘)
●チョコや飲料に
江崎グリコ(大阪市)の「メンタルバランスチョコレートGABAギャバ」は05年発売。チョコの原料となるカカオ豆には、わずかにギャバが含まれており、それがチョコの「ほっと」する効果につながるのでは、という開発者らの発想から生まれた。缶入り(473円)、袋入り(158円)、箱入り(138円、いずれも税込みの参考価格)。ほかにも、スポーツドリンクやグミキャンディー、ヨーグルトなど、多くのメーカーがギャバを配合した商品を売り出している。