2009年10月20日
国語科主任 小林絵里先生
友達が作った辞書を見て感じたことを「私の発見カード」に書き込みます
翠陵といえば、充実した英語教育と国際色豊かなプログラムで、世界で活躍できる女性を育成していることで知られています。こうした教育が実を結んでいる背景には、「考えることのできる女性」という未来像、そしてそれを実現するための<世界を知る、違いを認める、自分を知る>という教育目標が、学校生活のすべてに渡って意識されていることが挙げられます。
今回は「考えることのできる女性」の第一歩となる中学1年生の国語科での取り組みをご紹介します。
◆言葉には人の数だけ意味がある
「中学入学後の1か月間は、徹底して『人によっていろいろな考えがある』ということを実感させる授業を行います」と話して下さったのは、国語科主任の小林絵里先生。「自分たちの辞書作り」や「自分の考え紹介」などを題材に、考えを発信し、互いの考えを認め合える環境づくりを集中して行っています。
例えば「友情」という言葉にどんなイメージを持つかを仲間と話し合ってみましょう。するとそこには、各々の体験が含まれた様々なイメージが出てきます。漠然と使っていた言葉でも、改めて考えてみると、目の前の相手が言葉をどう捉えるか、自分とは捉え方がどう違うかが実感できます。すると生徒たちは、自分の使う言葉に敏感になり、言葉をしっかり選んで話すようになります。
こうした学習で重視されるのが、自分の答え(発信)には常に根拠を持つということ。単に「違うね」という感想で終わるのではなく、「この人はこんな考え方をする人なんだな」と知ることが、翠陵の学びのスタートになるのです。
◆言葉磨きで感性を豊かに
言葉に対する鋭敏な感覚は、友人同士の関係においてだけでなく、文章に触れていく過程でも大切になってきます。「自分たちの辞書作り」では、“夕なぎ”や“時雨”など情景描写によく使われる表現を取り上げ、「辞書に書いてある意味」に加えて「こんな気分」「こんなイメージ」を自分たちで考えて書き込んでいきます。話し合う中で、“夕なぎ”から美しさを感じる人もいればさびしさを感じる人もいて、自分一人では想像もしなかった解釈が見えてきます。
この発見が大事なのだと小林先生は言います。「読書をする時には、自分の主観を排除することで初めて、様々な解釈をめぐらせながら読むことができます。文章の背景にあるものに目を向け、それを理解しようとすることは、後々の国際理解においても大切になってきます」。
◆読書は自分を知る鏡
読書指導でも、<自分を知る>ことにポイントを置き、無理に文章全体を理解させるのではなく、「自分が好きな言葉、好きな部分」を中心に読んでいきます。同じ文章でも、心にひっかかる部分は人によって様々。自分の感性がどのような部分に反応するかを知ることで、興味のあるものが絞れてきます。さらにここでも、自分がなぜその部分が好きなのかという根拠が問われます。ひとつの作品を鏡にして、そこに映し出される自分自身が、少しずつ見えてくるのです。
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翠陵には「隣の子も異文化」という考えがあります。異文化とはなにも外国人だけを指すのではなく、普段机を並べている友人も、自分とは異なった価値観を持っているのだという意味です。自分を知り、他者との違いを認められる女性になるために。翠陵ではこの大きな目標に向かって、日々の学びがデザインされています。
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