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棋士・羽生善治のお母さん ハツさん:4 じっと見守り、自分で考えさせる

2008年8月26日

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写真6月に名人位を奪回。熱戦から一夜明け、善治も笑顔に

 ハツ(75)は、けっこう照れ屋である。「子育てとはなんですか」と聞いたときの答えがそうだった。

 「まず、自分が楽しむことですよ」

 善治(37)の小学校時代、週末に将棋大会に連れて行ったのは、実は会場となる都心のデパートでショッピングしたかったからだと言った。本心はともかく。

     *

 「よくあれだけ考えられますね、あの人。よく飽きないものですよ」

 善治はいま、究極の「考える競技」でトップに立つ。プロ棋士がよく言うことだが、1時間も考えれば、1千手さきとか2千手さきまで読むことができる。

 善治はこの6月、名人戦直後のインタビューで、こう振り返った。

 「将棋の鉱脈の深さには本当に驚きましたし、将棋は簡単じゃないと感じることが多くなっています」

 夫・政治(74)は話す。

 「小学校時代から、善治が将棋を指して考えているときは、ちょっと話しかけられないほど深く入り込んでいるんです。まったく別の人物に見えました」

 善治はかつて、こんなことを両親に言ったことがあるという。

 「これ以上に集中すると、もう元に戻れなくなるのではないか、という瞬間があるんだよ」

 2人は「なにも特別なことはしていません」と繰り返した。ただ、意識的にしろ無意識にしろ、善治を「考える環境」に置いてきた。将棋だけでなく、人生の岐路で、すべてを善治に任せた。

     *

 政治とハツの話を聞いていて、はたと思う。この両人はすごいリスクを取ってきたのではないかと。小学生での奨励会入り。中学生でのプロ棋士。高校と棋士生活との両立。善治が大成しなければ、批判を受けたかも知れない。そこを、じっと、見守った。

 善治がよく繰り返す言葉がある。

 「将棋でいちばんの才能は、決断力です。勇気を持ってリスクを取る力です」

 ハツと政治の教えは受け継がれ、勝負師のかけがえのない資質として、名人を支える。(敬称略・石川雅彦)

      ◇

 次回からアルピニストの野口健さんです。

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