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千住博、明、真理子のおかあちゃま 文子さん:1

子育てのエキスパート、目標に

2009年7月7日

 私って、子どもをどう育てたかったのかしら。答えが、見つからないんです。

 〈長男の博(51)は日本画家。京都造形芸術大学学長で、大徳寺聚光院別院のふすま絵も手がけた。次男の明(48)は、映画やドラマの音楽から純音楽まで幅広いジャンルを扱う作曲家。長女の真理子は世界的なバイオリニスト――。それぞれが、芸術の第一線で活躍する。3人を育てた文子(ふみこ)(83)は、「千住家の教育白書」などの本を執筆し、各地で教育の講演もしている。子育てを支えたのは、経済性工学の草分けで、9年前に亡くなった夫の鎮雄(慶応大名誉教授)だった。〉

 25歳で結婚すると「売れ残りのクリスマスケーキ」と言われていた時代に、私は30で結婚しましたのよ。

 軍国少女が、敗戦で絶望しました。女専予科で国文を学んでいたのに、生きている意味が見いだしたくて、戦争孤児の手助けやYMCAのボランティアリーダーに夢中になりました。ところが、新制大学ができると聞き、今度は大学で化学を猛烈に勉強しました。民間の研究所で抗生物質の開発の研究員をしていた時に、主人を紹介されて。

 〈鎮雄は1歳半で父が死に、母もまもなく他家へ嫁いだ。祖父母と暮らし苦学して慶応大卒業。大病にかかって生死をさまよったが奇跡的に生き残り、30歳になってから学者の道を選んだ。〉

 私にしかできない仕事ってないのだろうか、と思い始めていたころの出会い。「よし、たった一人で日本の工業のために尽くそうとしているこの人の助手になろう」と決意しました。家庭の味、家族のきずなを知らない主人と、家庭を築き、支えていこうと……。

 結婚して1年半後、高齢出産で博が生まれました。さらに2年半後に明が。主人と子どもの健康が第一ですから、まず栄養学を勉強しました。でも、さらに1年半後に真理子が生まれて。もうこうなっちゃうと、秩序もなくなり、育児書通りになんて、とてもいきません。

 そんな時、主人に言われましたの。「子育てのエキスパートになってみたら」と。「そうか。子育てのエキスパートをめざせばいいんだ」と思った瞬間に胸が躍り、子育てが楽しくなりました。(敬称略、聞き手・宮坂麻子)

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