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横綱・白鵬のおかあさん ウルジーウタス・タミルさん:1

「報恩」の心が彼を支えてきた

2011年2月8日

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写真:支度部屋で関係者と優勝を喜ぶ白鵬。右は宮城野親方=1月23日拡大支度部屋で関係者と優勝を喜ぶ白鵬。右は宮城野親方=1月23日

 昨年11月の大相撲九州場所を、来日していた私(63)は毎日、テレビで観戦していました。初日、連勝記録を「63」に伸ばして、江戸時代の伝説の大横綱・谷風に並びました。でも2日目、稀勢の里関に敗れて、昭和の偉大な横綱・双葉山の「69」に届かなかった瞬間、私は「まだまだだな」と思ったのです。

 日本やモンゴルの相撲ファンをはじめ多くの皆さんは、「白鵬が偉大な記録を超えられるか否か」に大きな関心を寄せてくれていたと思います。白鵬自身、日本で相撲を志して以来、双葉山を心の底から尊敬し、双葉山に学ぼうという一心で精進を重ねてきたことは、親の目にもはっきり分かります。

 しかし、母親の私は、偉大な関取による69連勝という大記録を、たった25歳の若輩者が簡単には破れまい、決して生やさしいことではないだろう、と思っていました。だから、連勝が途切れて残念という気持ちより、むしろ、白鵬がけがをせず、九州場所も横綱として無事に務め上げ、優勝をしてくれたことに、安堵(あんど)の気持ちを抱いたのでした。

 場所後のインタビューで、「(稀勢の里に敗れた)あの直後、休場も一瞬考えた」と答えた白鵬の様子から、69連勝に挑戦する気持ちが、ポキッと折れたのだと見受けました。

 それでも、白鵬はそのこと自体を乗り越えて進んで行こうと思っている。私は正直、日本の皆さんが、これほど白鵬を応援してくれるとは思いませんでした。

 彼にはきっと、モンゴルや日本で受けたたくさんの人たちのご恩に報いたいという思いが強く、その「報恩」の心が彼を常に支えてきたと思います。

 所属する宮城野部屋の新師匠、宮城野親方(元幕内竹葉山)には来日以来ずっとお世話になり、日本相撲のしきたり、振る舞い、技量など一からこつこつと教えていただきました。「日本は自分を迎え入れて、育ててくれた」という感謝の気持ちが、逆境に負けない勇気を与えている、と母親として感じています。

 モンゴルには古くから、「右の肩に父が、左の肩には母がいる。そして、額の上には先生(師)がいる。師の恩こそ永久(とこしえ)に続く」という格言があります。その言葉を忘れずにいてくれる息子である限り、いつもきっと、立ちあがることを忘れないでいてくれると、私は信じるのです。(聞き手・羽毛田弘志)

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