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お宝発見

源氏物語の写本 聖徳大

2008年03月07日

 ちょうど1000年前の平安時代にできたとされる源氏物語。紫式部が書いたオリジナル本は現存せず、後の人たちが筆で書き写した「写本」が100本ほどある。このうち「桐壺(きりつぼ)」から「夢浮橋(ゆめのうきはし)」まで、54帖(じょう)がほぼそろっているのが7本とされ、その中の1本を聖徳大(千葉県松戸市)が所蔵する=写真。59年、重要文化財に指定されたものだ。

写真

  

 漆塗りのキリ箱に入った計32冊は、縦と横が約17センチ。表紙の一部に金銀箔(きんぎんぱく)の模様がわずかに残り、鎌倉時代の歌人、藤原定家の写本を受け継ぐ「青表紙本」と、河内守(かわちのかみ)だった源親行(みなもとのちかゆき)の写本を受け継ぐ「河内本」が混在する。

 「焼けこげた跡、水をかぶった跡が目立つ本もあり、応仁の乱(1467年)の火災を免れた本とも考えられる」。古典文学を50年近く研究している山口博・聖徳大教授は言う。焼失した青表紙本を、後に河内本で補ったため、混在した可能性がある。

 筆者は不明。だが、鎌倉中期の写本と推定される。近代に入って由緒ある古書店が引き継ぎ、吉田幸一氏(故人)が91年、シリーズ「古典文庫」の1作品として写し取り刊行した後、聖徳大の所蔵となった。

 〈メモ〉聖徳大の川並記念図書館が保管しており非公開。ただ今年は「源氏物語千年紀」のため、秋ごろ記念講演会を催すのにあわせ、写本を一般向けに展示する予定。問い合わせは聖徳大(047・365・1111)の同図書館事務室へ。

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