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シューカツ2010

就活早期化、ゼミ遠のく4年生

2010年4月28日

写真夕方、リクルートスーツ姿でゼミにかけつけた4年生(手前)。後ろは2、3年生=13日、東京都千代田区の法政大学市ケ谷キャンパス図

 企業の採用活動の早期化で、年度初めからゼミや授業が成り立たない大学が相次いでいる。勉強よりも就職活動を優先する学生が多いからだ。早期化に不満を抱きつつ、「内定獲得までは学問どころではない」と、休講にしたり、公欠を認めたりする大学も少なくない。

■夜間開講・公欠認定も

 新年度の始まり。3年生以下の学生が多い授業の教室がにぎわう一方で、4年生が中心のゼミや授業では「開店休業」状態が目立つ。出席していても、就活のエントリーシート作成などの「内職」をするスーツ姿の学生もいる。

 この時期、学生の関心は就活に集まり、教員も配慮や工夫を凝らす。欠席が続いても、黙認する教員は少なくない。「就活がらみの欠席は原則として認めない。ゼミと面接が重なる場合、相応の理由を文書で提出させる」(慶応義塾大教授)などは少数派だ。

 今月13日、法政大市ケ谷キャンパスで、佐野哲教授(経営社会学)の今年度、最初のゼミがあった。開始は午後5時。4年生の5人はリクルートスーツ姿でかけつけた。就活中の4年生も出席できるようにという配慮もあり、年間を通して夜間に開講している。

 すでに就活を終えたのは地方銀行に内々定した男子学生(21)の一人。ゼミの冒頭、新年度の役職を決める場面では、周囲から「もう終わったもんね」などと冷やかされ、4年生で唯一、役職を割り当てられた。

 夜間開講とはいえ、昨年の4年生3人は苦戦し、欠席や遅刻が続いた。佐野教授は「みんな1年次からのゼミ生で、3年間見てきたので(4年次に欠席が多くても)指導を工夫できたが、3年次からの加入であれば難しかったかもしれない」と話す。

 昭和女子大は数年前、就活を理由にした欠席を「公欠」とする制度を設けた。欠席回数が一定数を超えると、単位を取得できない仕組みがあるからだ。公欠を届け出る学生は増え続けているという。

 北関東の国立大ではこの時期、多くの教員が研究室を開放し、進路選びを迷ったり、面接で落ち続けて自信を失ったりする学生を迎え入れている。メールで学生の近況を確認したり、学外で面談したりすることも少なくない。ある教員(36)は毎年、3年生の2月から数カ月間、ゼミを休講にしている。「内定をもらうまでは勉強が手につかない、という声が多い。早く内定をもらえるよう、学生の相談に応じるのも、教員の役割だ」と話す。

 中央大の細野助博教授は、就活期間中、4年生には出席を求めない。代わりに月1〜2回、活動中の学生が集まりやすい都心で、活動状況を報告しあう「出前ゼミ」を計画する。「就職活動で社会との接点を多く持つ。卒業論文の作成は内定を得てから、その経験を生かして、しっかり取り組めばいい」と考えている。

■憲章空洞化、遅れる内定

 採用活動の早期化は、97年の「就職協定」廃止をきっかけに、一気に進んだ。大規模な就活イベントが開催される大学3年生の秋に始める学生が多い。

 国公私立の大学などでつくる就職問題協議会が、全国の大学など1237校に昨年6月に実施した調査では、今春卒業した学部生のほぼ半数が3年生の12月までに就活を開始した。一方、3年前は、2月に始める学生が3割近くと最多だった。

 日本経団連は、企業に卒業・修了学年に達しない学生への選考活動を慎む倫理憲章への賛同を呼びかけている。しかし、「賛同する」としながら、3年生の冬から選考を始める企業もある。「優秀な人材をいち早く確保するのが狙い。早期に就活を終えたいという学生も多い」(大手メーカー)というのが理由だ。

 早期化で学業に支障が出ているとして、協議会は昨秋、選考活動を卒業年次の4月以降、出来る限り休日や休暇期間に行うよう、企業側に求めた。

 また、関西の大学や短大など154校が加盟する関西学生就職指導研究会も昨秋、大手の就職情報サイトのオープン時期が3年生の10月というのは早すぎるとして、就職情報会社の団体に、「卒業前年次の進級試験が終了した、学業に支障のない時期(3月)」に変更するよう要請した。就職情報会社が開く合同企業説明会も、学生が授業を休まずにすむよう、土日や祝日のみの開催を求めた。

 早期化の一方で、面接回数を増やすことで内定を出す時期を昨年より1週間程度、遅らせる企業も出てきた。このため、ゼミや授業に出席しにくい期間は、さらに長くなる可能性がある。(小室浩幸、三島あずさ)

     ◇

 ■就職協定と倫理憲章 大学側と企業側が結んでいた「就職協定」は「会社訪問解禁7月1日、正式内定10月1日」と定めていたが、「青田買い」が続出。違反しても罰則はなく、実効性が疑問視されたことから、97年度に廃止された。代わりに企業側の自主ルール「倫理憲章」が定められた。「(3年生など)卒業学年に達しない学生に、面接などの選考活動を行うことを厳に慎む」と選考の早期開始の自粛を求めており、大企業を中心に925の企業・団体が賛同している。

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