家族のとなりに新聞を

子供が生きる近未来で求められる資質・能力とは?

2019.03.14

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関口 修司
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  • 10~20年後、日本の労働人口の半分がAIに代わられる可能性も
  • 近未来は、答えが一つでない・答えが予測できない社会。自ら学ぶ力と意欲が大事
  • 多様性を認め、他人と協力して価値を創造する。AIにはない資質・能力を伸ばすべき

AIやロボットに仕事を奪われる!?

「答えは一つじゃない」未来をどう生きる

「子供の将来が不安だ」という言葉に対し、「いつの時代もそうだった。私たちが子供の頃も人生の先輩方が同じことを言っていた。だから心配することなんてない。何とかなる」などと、のんきな言葉を返す人がいます。本当にそれでよいのでしょうか。

「AI」「イノベーション」「グローバル」。このような言葉を新聞で見かけない日はありません。現代は、かつてなく劇的に変化している社会と言えます。働き方や教室風景を見るだけでも、この10年でそれ以前の数十年分、いや、それ以上の変化が見られます。未来社会の研究をするアメリカの大学教授は「2011年秋に小学生になる子供の65%は、今は存在しない職業に就く」と予測しました。「大きくなったら、〇〇屋さんになる」と夢を語っていた子が大人になったとき、その職業は存在しないかもしれません。

また、すでに変化は起こってきていますが、10~20年後には日本の労働人口の半分がAI技術やロボットにとって代わられる可能性があるともいわれています。では、AIやロボットに仕事を奪われないために、どのようにしたらよいのでしょうか。

子供たちが大人となって生きていく近未来は、今までと同じ考えや行動のままでは活躍できない時代になります。答えが一つでない時代、答えが予測できない時代になるのです。つまり、一つの正答を出せばよかった今までの勉強法では十分ではないのです。そんな時代に生きるために、どのような力を学習で身につける必要があるのでしょう。

AI時代を生きるために必要な能力とは

文部科学省(文科省)は、当然のことですが、これからの時代を見据えた教育の方向性を示しています。今回告示された新学習指導要領は、資質・能力の育成を強調しています。これからは、何を記憶しているかではなく、何ができるようになるかが大切だと言っています。つまり、基礎的な知識は必要ですが、それ以上の知識量を増やすことは求めていないのです。自ら学んでいける力や意欲を伸ばすことが重要だと言っています。

文科省は、身につけるべき資質・能力の代表として、思考力、判断力、表現力を挙げています。言い方を変えれば、物事をじっくり考え、根拠をもとに判断し、相手に分かりやすく伝える力です。さらに、コミュニケーション力の育成にも重点を置いています。一人の優れた力はもちろん大事ですが、これからは、コミュニケーションにより、一人では生み出せないようなよりよいアイデアを創り出していくことが期待されています。

これらの力はAIやロボットが苦手とする分野です。これこそ、これから社会に出て活躍していく子供たちが備えるべき資質・能力なのです。

そのためには自分の考えを主張するだけでなく、考えの違いを認め、考えのよさを受け入れ、新たな考えを創造しようとする姿勢を身につけなくてはなりません。文科省がこれからの学び方を「主体的・対話的で深い学び」と言っているのも、以上のことからうなずけます。

しかし、世の中は子供の教育にとって好ましい方向に進んでいるとは言えません。子供たちを取り巻く教育に関わる課題について、教育行政や学校、保護者、そして、子供自身が真剣に向き合わなければならないのです。

それは、例えばスマートフォンとの付き合い方です。次回は、このことから考えてみたいと思います。

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