最高は119.5倍! 2019年度 医学部最新志願状況分析

2019.03.19

author
庄村 敦子
Main Image

2018年の夏に発覚した東京医科大不正入試で注目を集めた医学部入試。国公立大の志願者数をみると、 前期は微減だが後期は増加した。一方、私立大は志願者増加と減少の大学が明暗を分けた。 最難関学部の志願状況を分析する。

国公立後期は微増、私立は明暗分かれる

「18歳人口が前年より減少していることなどから、国公立大医学部医学科の前期の志願者数は、対前年比97と微減です。しかし、後期は111と増加しています」。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、この理由についてこう話す。

「今年の大学入試センター試験の英語と国語は、前年よりも易しかった。例年、後期は出願を諦めたり、医学部以外の学部に出願したりする生徒も多いが、センター試験で点数がとれたため、強気に医学部に出願したのだと思います」

国公立大の志願者の増減に大きく影響する要因として、センター試験の難易度、試験の科目数や配点の変更、入学定員の増減、2段階選抜の導入、第1段階選抜の倍率変更、前年の志願者数などがある。

このなかで、前年の志願者が減った大学は反動で翌年に増え、増えた大学は翌年減る「隔年現象」は、特に医学部で多く見られる傾向だ。徳島大のように、毎年増減を繰り返している大学もある。

2月20日時点の国公立大医学部医学科の前期試験の志願状況を表にした。では、志願者が増加した大学から見ていこう。

最高は119.5倍! 2019年度 医学部最新志願状況分析01
最高は119.5倍! 2019年度 医学部最新志願状況分析02

「新潟大は2次試験の英語、数学、理科2科目の配点が各150点から各400点と、2次試験重視になりました。センター試験の結果が芳しくなかった受験生の出願が、増えたのだと考えられます」(石原さん)

浜松医科大もセンター試験の配点と、2次試験の面接点を変更した。

「面接点が150点から100点に減ったことと、前年減少の反動から増えたのだと思います」(同)

センター試験の理科が生物必須から選択に変更になった九州大も、受けやすさからか、志願者が増加した。前述の「隔年現象」で増加したとみられる大学は、群馬大、徳島大、愛媛大、福島県立医科大、和歌山県立医科大などだ。

門前払いを敬遠して志願者が減った東大理Ⅲ

「東大理Ⅲは、第1段階選抜の倍率を約4倍から約3.5倍と厳しくしたため、門前払いを敬遠して志願者が減りました。同様に、筑波大も第1段階選抜の倍率が約5倍から約2.5倍になったうえ、募集人員が63人から58人に減ったため、志願者が減少しました」(同)

2段階選抜を導入した名古屋市立大、個別試験の面接を点数化した山形大、募集人員が減った大阪市立大も志願者が減少した。 秋田大と岐阜大は3年連続で増加した反動、長崎大と大分大は2年連続で増加した反動、金沢大、鳥取大、高知大などは「隔年現象」で減少した。

不正入試で話題の東京医科大、聖マリアンナ医科大は激減

一方、私立大医学部の志願状況はどうか。4月以降に公表する大学もあるが、2月23日時点の志願状況を、ホームページや電話取材をもとに表にした。

最高は119.5倍! 2019年度 医学部最新志願状況分析02

受験生の保護者が医学部受験をしていた頃と比べ、私立大医学部の学費が下がったことや、地方国公立大の地域枠拡充で都市部在住の受験生の併願先として狙われた結果、私立大の偏差値は軒並み上がり定員増以上に志願者が増えた。住居費などがかかる地方国公立大より、自宅から通える私立大に進学するケースも増えている。

志願倍率の最高は、杏林大の119.5倍

表で志願倍率を見ると、一般入試は20倍以上で、東海大は82.7倍。センター試験利用入試は定員が少ないこともあり、最高倍率の杏林大が119.5倍。東海大、福岡大も100倍を超えている。

私立大は何校も受験できるため、入試日の重複が志願者の増減に影響する。今年は昨年よりもセンター試験が約1週間遅かった影響で、1月27日から2月2日までほぼ毎日、複数の大学の1次試験が行われた。

不適切入試の影響は大きかったのか?

今年はこれらの要因に加え、「不適切入試」の影響が大きい。文部科学省から指摘を受けた10大学のうち、東京医科大、岩手医科大、順天堂大は2月23日時点で志願者数を公表していないが、東京医科大は大幅に志願者を減らしたようだ。

「東京医科大は、二つ予定していた試験会場が1カ所となり、志願者数は昨年の半分以下です。本校でも、志願者は昨年の約半数でした。追加合格により、一般入試の定員が75人から34人になったことも敬遠された要因です」と、医系専門予備校メディカルラボ本部教務統括の可児良友さんは話す。

また、聖マリアンナ医科大も志願者数が前年比約4割減となった。

「昨年は単独日程だったのに、今年は3大学と1次試験日が重なった影響も大きいと思います」(同)

試験日の重複により、多くの大学が志願者を減らすなか、センター試験の2日後に入試を行った国際医療福祉大と愛知医科大、2大学同一日から単独日程になった東京女子医科大、3大学同一日から単独日程になった獨協医科大は志願者が大きく増えた。

「私大で一番学費が安い国際医療福祉大は国公立大志願者の併願先として、標準レベルの問題を出す愛知医科大は私大専願者が最初に受ける大学として人気を集めました」(同)

国際医療福祉大の志願者増の理由として、前述の石原さんは医学部特待奨学生枠の大幅拡充をあげる。

「昨年は一般入試の成績上位30人でしたが、今年は一般入試の上位40人、センター利用方式の上位5人の計45人になりました。さらに、1年次から英語で基礎医学を学ぶなどの国際的な教育も評価されたのだと思います」

東京女子医科大の志願者増について、石原さんは「女子差別がない医学部を受けようと考えた女子受験生も多いと思います」と指摘する。

2月23日時点で公表されている私立大の1次試験の合格者数を昨年と比べると、金沢医科大と藤田医科大以外は大きな減少はない。両大の合格者数が減った理由について、可児さんはこう推測する。

「金沢医科大は2大学同一試験日から、藤田医科大は単独日程から、どちらも4大学同一試験日になり、志願者が減りました。4大学のなかから選んだ受験生は、『入学の意向が強い』と考えて、1次試験の合格者数を絞ったのだと考えられます」

生物問題の難化が、女子学生にとっての高いハードルに

問題の難易度などに変化はあっただろうか。医学部予備校メディカ代表の亀井孝祥さんはこう分析する。

「生物は考察系の問題が増えて、かなり難化した大学が多かったです。一般論ですが、物理は男子、生物は女子が選択する割合が高いため、生物難化により、女子はハードルが高くなっていると感じました」

前期試験の合格発表が終わり、これからは後期試験の合格発表が行われる。各大学の合格者の現浪比、男女比などに変化が出るか注目したい。

dummy
医者と医学部がわかる 2019 (週刊朝日ムック)
朝日新聞出版
価格:1,320円

新着記事