私立大医学部「6年間でかかる学費」「女子率高い医学部」

2019.03.25

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庄村 敦子
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  • 医学部の不適切入試にも関連する「医師の偏在」「偏差値」「私立大医学部6年間の学費」「女子率」などの数字を分析
  • 入試と医学部の「数字」に注目することで、医療が抱える問題や志願者増減の要因などもわかる
  • 5分でわかる「医学部データ」

医師の偏在が問題になっている。

2016年度の厚生労働省の調査によると、人口10万人あたりの医師数の全国平均は240.1人。下の表をみてみると、西日本はほとんどの府県で平均を上回っており、逆に東日本はほとんどの道県で下回っていることがわかる。

私立大医学部「6年間でかかる学費」「女子率高い医学部」01

人口あたりの医師数は「西高東低」

300人を超えているのは徳島、京都、高知、東京、岡山。医師数が少ない順だと埼玉、茨城、千葉、新潟、岩手。首都圏では東京は304,2人と多いが、埼玉は160人で、約半数だ。千葉、神奈川も全国平均を大きく下回っている。全国平均を上回っている都府県でも、離島や山間部などでは医師不足に悩まされている。

これらの問題を解消するために導入されているのが「地域枠」だ。卒業後の一定期間、指定された医療機関に勤務すれば奨学金の返済が免除になる。

埼玉医科大では、19年入試から一般入試(前期)の出願時に申請する「医学部特別奨学金」を新設した。医学部長の村越隆之先生は「今までは入学後に募集していた『地域枠』も、推薦入試の出願時の申請に変更しました。両奨学金ともに、全国から募集します」と話す。

1170万円の大幅値下げも!? 私立大医学部の6年間の学費

学費が下がると、偏差値は上がる傾向にあるという。

私立大医学部「6年間でかかる学費」「女子率高い医学部」02

大学通信の安田賢治ゼネラルマネージャーは話す。「2008年に順天堂大が学費を900万円下げて志願者が増え、その結果、偏差値が上がりました。学費が安い大学は、一般的に偏差値が高いですね」。

その後、昭和大、東邦大、帝京大、東海大、藤田保健衛生大(現・藤田医科大)、愛知医科大、日本医科大も値下げをした。

進学塾ビッグバンの松原好之代表は「14年には、当時一番学費が高かった帝京大が1170万円もの大幅値下げを敢行。同大は1人最大3回受験できます。14年の延べ受験者数は8334人で、前年より3586人も増加し、偏差値も上がりました」と話す。

18年は御三家の日本医科大が570万円を値下げ。17年の偏差値は日本医科大68、順天堂大69だったが、18年の偏差値では日本医科大が上回った。

近年、医師国家試験対策に力を入れる医学部が増えている。一方で、見かけの合格率を上げるために、合格が難しそうな学生を20人以上留年させる大学もあるという。厚生労働省発表の「学校別合格者状況」で、出願者数と受験者数に大きく開きがないか、チェックすることも大切だ。

20年前の偏差値と比較して、「見えてくること」「わかること」

2018年の偏差値を20年前と比較してみた。

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私立大医学部「6年間でかかる学費」「女子率高い医学部」04

偏差値が5以上アップしたのは国立の山梨大、私立の東京慈恵会医科大、杏林大、順天堂大、藤田医科大の5大学だけだ。偏差値上昇の主な理由として山梨大は、現在は後期試験のみであること、東京慈恵会医科大は20年前には国公立大と併願できない入試日程だったこと、順天堂大は学費の大幅値下げがあげられる。

1997年と2017年の比較では、5以上偏差値が上昇した大学が13校もあったのに、1998年と2018年の比較では5校に減った理由を、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは次のように説明する。

「98年度は、地方に新設した国公立大医学部や私立の新設医学部のレベルアップが一段落した時期にあたります」

東大、京大などの難関大の偏差値が上昇した理由についてはこう話す。

「新設大学や地方大学から始まった医学部の難化ですが、失われた10年ともいわれたバブル崩壊後の景気が低迷した時代には、成績最上位層も理工系から医学部へという志望の変化が起きたことが要因です」(石原さん)

女子学生の医学部受験率と女子率1位の国公立大はどこか?

学部を志望する女子の割合は、1980年代には20%以下だったが、現在は約40%になった。医学部の女子率についてメディカルラボ本部教務統括の可児良友さんはこう説明する。

「女子は男子よりも浪人を敬遠するため、難関大は女子率が低くなります。また、女子は国語や英語が得意な生徒が多いため、国立大ではセンター試験の国語・英語の配点比率が高い大学を選ぶ傾向があります。私立大では英語の配点が高い国際医療福祉大、東邦大、数学よりも英語が難しい北里大、兵庫医科大、数学以外の科目で受験できる帝京大などが女子に人気ですね」

国公立大の女子率1位は島根大だ。

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「センター試験の国語の配点が他の科目の2倍の200点で、個別試験の科目が英語、数学、面接だけであることが、女子率が高いひとつの要因だと思われます。入試では、受験生を公平・詳細に評価しています」と並河徹医学部長は説明する。

私立大1位は北里大だ。「補欠者への電話連絡時に男子や若年者を優先していると文部科学省から指摘を受けたが、合否判定では、特定の受験者への加点、属性による加点及び減点は一切行っていない」旨を公表している。

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