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大学合格実績が伸びている中高一貫校の取り組みとは?前編・本郷中

2019.04.04

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林 郁子
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東大、京大といった難関国立大や、早慶、上智、東京理科、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)などの私立難関大への合格者数を、この10年で伸ばしている中学・高校があります。どのような取り組みが成果を上げているのでしょうか。首都圏の特色ある学校を紹介します。前編は東京の男子校、本郷中学校です。

本郷中学校(東京都・男子校)

先輩が後輩を指導する伝統が「学び合う」姿勢を育てる!

本郷中学校では、以前は成績が伸び悩む生徒たちを対象に、放課後、教員がつきっきりで授業の復習や単語練習などを行っていた。しかし、こうした補習では一時的に成績は上がっても、生徒自身が学ぶ習慣を身につけることはできなかった。そこで、学校側は「自学自習」を促すため、教員の役割を「生徒たちの面倒を見る」から「見守る」にシフトチェンジした。代わって生徒の面倒を見るのは、「先輩」だ。

この一見、思い切った転換には、「本郷中学校ならではのバックグラウンドがあった」と話すのは、入試担当の野村竜太先生。

大学合格実績が伸びている中高一貫校の取り組みとは?前編・本郷中01

「昔から運動部、文化部ともに部活動が盛んなため、部活を通じて、先輩が後輩に練習方法を指導したり、稽古をつけたりする伝統が根付いていました。それを勉強にも取り入れられないか、と考えたのです」

最初の取り組みとなったのが「本郷数学基礎学力検定試験(本数検)」というオリジナルの数学検定試験だ。出題範囲は学年ごとに異なるが、学年を超えた共通問題もあり、点数ごとに級や段位が与えられる。検定結果は全学年に公開されるため、生徒たちはそれまで部活動を中心に評価していた先輩や後輩を、勉強でも意識するようになったという。本数検を導入してから、部活の後輩が過去の検定や問題の解き方について先輩に質問したり、先輩が後輩に勉強を教えたりする場面が増えていった。

「仲良く教え合うだけでなく、先輩後輩という縦の繋がりがあるからこそ、『部活でかなわないなら、数学で先輩に勝ちたい』『後輩には負けられない』と、本数検に力を入れる生徒も多く見受けられます。導入の数年後には、参考用に配布した高校3年生の問題をすべて解いてしまう1年生が出てきたため、高校の本数検では上の学年の検定も受験できるようにしました。生徒たちがよい意味でルールを変えてくれます」と、野村先生は続ける。

各自の目標となるオリジナルの「検定試験」

大学合格実績が伸びている中高一貫校の取り組みとは?前編・本郷中02

本数検は、中・高の全校生徒を対象に、長期休み明けの始業式に実施される。学年別のテスト内容は「その時までに習った全範囲」と幅広い。点数に応じて級や段位が認定されるため、生徒は自分の目標を定めて長期休みを検定対策に充てる。高校になると、学年の枠を超えて検定に挑戦することもでき、高校1年生で2年生や3年生の検定に100点満点で合格する生徒もいる。数学のほか、中学校では、中学3年間で学ぶすべての英単語を対象にした「本郷英単語基礎学力検定試験(本単検)」も実施されている。

2年生が1年生の「先生役」に

本数検に続いてスタートしたのが、中学2年生が先生役となって、1年生にマンツーマンで数学を教える「合同授業」の取り組みだ。授業そのものは年に4〜5回だが、1年生と2年生のペアは年間を通じて同じなので、授業時以外でも、「勉強を教えてくれる先輩」として、部活とは別の先輩後輩の繋がりが生まれる。

「年の近い先輩に1対1で熱心に教えられることで、1年生も相手の言うことを理解しようとがんばります。合同授業では、お互いに努力して学び合う空気があります」

「自学自習」の精神に基づき、通常の授業でもグループワークなどを積極的に取り入れているが、「学び合う」校風の土台をつくりあげているのは、先輩と後輩の絆だ。

「先日、中学校の受験生向けの説明会のために、中学1年生全員に受験生へのメッセージを書いてもらいました。すると、受験をするときの具体的なアドバイスや、中学校と小学校での勉強方法のちがいなど、生徒それぞれの視点で考えられた言葉がびっしりとつづられており、我々教員も、その熱意と愛情に非常に驚きました」と野村先生。
中学1年生であっても、未来の後輩に対して「先輩」としての自覚を持つ。本郷中学校の学び合う伝統は、こうして先輩から後輩へと受けつがれている。

中学2年生が1年生を教える「合同授業」

合同授業は、8年ほど前に始まった試みだ。1学期の最初の授業では、間近に控えた中間テストについて、「どのくらい勉強したらいいのか」「前日は何時に寝るとよいのか」など、さまざまな質問が1年生から飛び出すという。

その後は、「因数分解」などのテーマに沿って、2年生がそれぞれの工夫をこらした手法で「授業」を行う。本人の成功体験や失敗体験に基づいた先輩の指導やアドバイスは、1年生にとって身近で取り入れやすい。2年生にとっても、学習内容の復習になるだけでなく、後輩からよい刺激を受けることが利点だ。

(記事は『カンペキ中学受験2019』より引用)

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