教えて! 共通テストの出題傾向 新高3生が文科省に聞いてみた!

英語の民間試験どうなる? 問題の難易度は? 地域格差が心配… 高校生が取材

2019.04.15

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水野 雅恵
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斉藤 純江
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2020年度から大学入試制度が大きく変わります。高校生たちはどのように考えているのでしょうか? 今年の全国高校新聞コンクールで入賞した滋賀県と北海道の公立校の高校新聞は、入試改革について特集しました。現役高校生の疑問に文部科学省はどうこたえるのでしょう。特集を担当した新聞部員とともに取材しました。

朝日新聞デジタル:入試改革、高校生の不安 新聞コンクールで2校が特集

3月8日、滋賀県立彦根東高校新聞部の新3年生3人が、エデュア編集部員とともに東京・霞が関の文部科学省を訪ねました。

「私たち新聞部が大学入試改革への評価を調べたところ、『よい』は1割、『よくない』は2割、7割近くは『どちらとも言えない』という答えでした」

明日海斗(あけひ・かいと)さんはこう切り出しました。昨年、当時の1、2年生を対象に実施したアンケートの結果です。

取材に対応した大学振興課大学入試室長の山田泰造さん(当時)は「我々は高校生に『大好き』と言ってもらえるような入試がしたいわけではないので……」と苦笑い。

アンケートでは、「新制度が不安だ」と答えた生徒が7割を占め、特に新しく始まる共通テストで大学入試を迎える新高2生では8割近くにのぼったといいます。不安に思う理由で目立ったのは「出題傾向がよく分からない」というものでした。

出題傾向、プレテスト2回目を参考に

明日さんは、新テストの試行調査(プレテスト)について一昨年の1回目と昨年11月の2回目では、問題傾向が変わり過ぎてイメージがつかめないと訴えます。「数学も1回目は書く量の多い記述問題が出たのに、2回目は解法を少し書かせる問題でした。勉強法のアドバイスをください」

これについて、山田さんは、5万人規模で実施した1回目の試行調査は「今まで出したことがないとんがった問題」を試し、反応を見たと説明しました。一方で2回目は本番を意識し、5割の正答率を目指して問題を作ったといいます。

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取材に答える山田泰造さん

「問題構成や難易度は、2回目の試行調査をイメージしてください。数学と理科の一部がまだ少し難しかったので、さらに難易度の調整はします。受験生が本番を具体的にイメージできるように、教科ごとの出題方針も公表していきます」と答えました。

改革不安で安全志向広がる?

同部員の馬場千瑳(ちさ)さんは「急な改革が不安で、安全志向から私大付属高などを選ぶ人が増えるのではないでしょうか」。

これに対して山田さんは、思考力・判断力・表現力という身につけるべき学力は変わらないとしたうえで、「それを測る方法が一定程度変わるだけ。過度な不安から、進路を狭く考えるようなことにならないよう、情報をきちんと伝えていきたい」としました。

センター試験は今年度(2020年1月実施)を最後に廃止され、明日さんら新3年生は浪人すると翌年度入試では新テストを受けることになります。「ぼくたちが浪人したら新制度で受験するため、現役より不利になるのではという声が多いです。救済措置はありますか?」と明日さん。

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「『変わる』とあおられると不安だよね」と、山田さん。「とはいえ、記述式が加わるといっても国語と数学に各3問ずつで、マークシートがほとんど。必要以上に心配しなくてもよいです」と繰り返します。「今の学習指導要領でも、思考力・判断力・表現力は重視されています。授業にしっかり取り組んでいればよく、全く新しいことをするわけではないです」と説明しました。

「高校生の感じ方と、文科省の狙いの間に結構な違いがあるように感じます。情報の行き渡らせ方が足りないのでは?」。最後にこう付け加えたのは新3年生の中嶋大智(だいち)さんです。山田さんは「どんな手段なら伝わるかなぁ。文科省のツイッターとかフォローしてくれないよね?」と逆取材。新聞部の3人は「冊子を作って全ての高校に配るのはどうでしょうか」と提案していました。

英語の民間試験 地方は不利?

北海道帯広柏葉高校の新聞も、新テストで英語に民間試験が活用されることなどを記事で取り上げました。

大学入試センターが認める8種類の民間試験のうち、帯広で受けられると予想されるのは3種類のみ。そのほかの試験を受けるには特急で3時間近くかかる札幌まで行く必要があり、「地方では大きな負担になる」と報じました。新3年生の田中大翔(ひろと)さんは「受けられる試験の数が少なく、地方は不利。公平性が保たれるような制度にしてほしい」。新3年生の佐藤涼香(すずか)さんは「地域事情や経済格差など、学力とは別のところで差が生まれるのはよくない」と話します。

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北海道帯広柏葉高校新聞局の佐藤鈴香さん(左)と田中大翔さん=北村玲奈撮影

この問題について、エデュア編集部が代わって尋ねました。

山田さんは「受験生が試験を受けやすい環境を整えていきたいですが、東京と帯広を全く同じにはできない。もし、地方で『この試験を受けたい』というまとまったニーズがあれば声を上げて欲しい」と話しました。

英語の民間試験、2種類解いて比べてみたら……

「帯廣柏葉高新聞」では、高校生記者が実際に2種類の民間試験の問題を解いてみた結果も紙面で紹介しました。成績を比較するのに用いられる欧州言語共通参照枠(CEFR・セファール)の6段階にあてはめてみたところ、試験の一つは「基礎段階」のA2、もう一つは「自立段階」のB1と判断されました。受ける試験によって結果に差が出たとして「公平性が保たれているのだろうか」との疑問を投げかけました。

(変わる大学入試2020)英語力の尺度「CEFR」とは?
欧州発の仕組み、民間試験の比較に導入

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(変わる大学入試2020)英語民間試験、受験生がやることは

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この点について、山田さんは「各英語の試験には特徴があります。自分の得意、不得意を考えて受ける必要があります」と述べました。

新聞ではほかに、高校生記者が1回目の試行調査の国語の記述問題を解いて、国語科の先生3人に採点してもらった結果、減点している部分に違いがあったとも報じました。そして「先生による採点でもバラつきがみられるのだから、民間事業者による採点が平等になるのか心配です」と結びました。

この指摘に対して山田さんは「記述式は採点基準をしっかりつくり、複数の人で何重にもチェックして万全を期します。マークシートだけではない評価をしていくべき時期にきています」と述べました。

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